平野茂の100切りラウンド術・第2回~OBを減らすためにはスライスは直さなくていい
100切りを目指すゴルファーにとって、OBは致命傷となる。
スライスを直すのは簡単ではないが、スライスのままでもOBを打たない方法はある。しかし、単純に左を向くとスライスはどんどん大きくなってしまう。
多くのゴルファーを100切りに導いてきた平野茂プロは、「大切なのはイメージです。自分の球筋をイメージして構えるだけで、ティーショットがフェアウェイに運べる確率がかなり上がりますよ」と断言する。
ティーショットのミスが減ってくればそれだけで何打も縮められる。90台のスコアをマークするチャンスが増えるということだ。ティーショットでOBしないためのコツをレクチャーしてもらおう。
スタート前の練習で「今日の球筋」を必ずチェック
スライサーの人もフッカーの人も、どんな球筋が出るかをある程度予測した上でアドレスをつくることが大切だ。
スライスが出るのであれば、どんな高さでどこからどれくらいの曲がり幅で飛んでいくかのイメージを働かせて、その球筋に合わせてターゲット方向を決めて、すっとアドレスの姿勢をつくれるようになりたいものだ。
これは確実にステップアップしていく上で絶対に欠かせない要素であり、確実にハンディキャップを減らすための儀式ともいえる。
「スタート前に自分の球筋を必ずチェックしておくことが大事です。日によって体調が違えばスイングの感覚も変わるので、レンジで実際に打ってみないことには、その日の球筋が確認できません。スタート前に打っておかないとスタートホールのティーグラウンドに立ったときに自分の球筋を予測できず、どこを向いていいかわからなくなってしまいます」
ツアープロはスタート前にその日の自分の球筋をチェックし、その球筋に合わせて一日のゲームプランを組み立てているという。
ただし、スタート前の練習は球筋のチェックの場であり、スイング修正の場ではない。
いつもより曲がり幅が大きいからといってスイングをいじっても、限られた時間と球数では修正は到底不可能だし、かえって迷いが深くなってしまい、逆効果だ。
球筋を把握すれば、どこを狙って打てばいいかがわかる
今日の球筋の傾向や、曲がり幅をスタート前に確認しておけば、ティーグラウンドに立ったときも自分の球筋をイメージできるようになる。
どのくらいから曲がり始め、どのくらい曲がるのかをしっかりと把握し、そのホールのレイアウトに当てはめること。OBや林の中に打たないためには、どこを向いて構えればよいかの判断もつく。
自分の球筋を考えず、フェアウェイの中央ばかり狙って打ったところでスコアメイクに直結しないということがわかれば、それだけで100切りはかなり近づいたといえる。
「いつもより右に曲がるのであれば、今日はいつもより左を向いて構えるとか、逆に引っかけが多く出るのなら今日はいくらか右を向いて構えるという具合に、球筋に合わせて構えを調整することです。自分の球筋を欠点とネガティブにとらえないで、スコアをつくるための手段と考えて、自分の球筋を利用すればいいのです」
その日の球筋をイメージし、曲がり幅に合わせてターゲットを設定すれば、結果的にフェアウェイの幅が広く使えることにもなる。間違ってもOBに打ち込んでしまうことがないし、悪くてもラフでボールが止まってくれるから、セカンドショットでグリーンを狙いやすくなる。
ショットをつなげることができ、それだけでスコアのロスを防げることになる。100切りのためには無駄なストロークは1打ずつでいいからしっかりと減らしていきたい。
球筋を把握することはその日のラウンドが充実することにもつながるから、少し早くゴルフ場に入って、ラウンド前に練習する習慣をつけたいものだ。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロ野球選手を志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/富里ゴルフ倶楽部(千葉県)