平野茂の100切りラウンド術・第5回~ペットボトルでアイアンのダフリ&トップを防ぐ
100切りを目指すゴルファーにとって、アイアンショットでミスする要因はアドレスでの、ボールとスタンスの距離感の狂いである場合が多い。
しかし、そこがある程度クリアしたはずなのにダフリ、トップが出るということがある。
多くのゴルファーを100切りに導いてきた平野茂プロは、「アドレス以外でミスをするとしたら、ゴルフ場の景色に惑わされてスイングに狂いが生じてしまった可能性があります」と語る。
たとえプレッシャーを感じても、スイングのあるポイントさえ遵守すればダフリやトップを未然に防げるという。さっそく教えてもらおう。
左足の内側に立てたペットボトルを倒さないようにスイングする
練習場ではボールを打つ方向の風景は一定だ。ところがコースに出ると、1球打つごとに風景が変化する。
池があったり、バンカーがあったり、グリーンが砲台だったりとシチュエーションは様々だが、視覚的にいってボールを上げたくなる状況がかなり多いことに気がつくだろう。
そのため、練習場ではダウンスイングからインパクトにかけて体重が左足に乗って、フィニッシュまでクラブがきれいに振り抜ける人でも、「上げたい」心理が働いた瞬間にダウンスイング以降で体重が左足に移行しなくなってしまうのだ。
「左足の内側に500ミリリットルのペットボトルを立ててみてください。ダウンスイングで体重が左足に乗らない人は、インパクトで左足が回ってしまうのでペットボトルが倒れます。でも上級者は左足の内側にペットボトルを置いても最後まで倒れません。自分がどんなスイングになっているかのチェック法として役立ちますよ」
ダウンスイングで体重が左足に乗らないと、体重が右足に残って左腰が引けてしまう。すると左足がめくれてつま先が外に、かかとが内側に回転し、ペットボトルを倒してしまうことになるのだ。
ボールを上げたくなると、このように下半身がどんどん後ろにいこうとする。右のお尻が下がり、左のお尻が浮き上がる。結果クラブヘッドがボールに届かず、ダフリやトップが発生するというわけだ。
インパクトで左のお尻を下げて打つイメージを持とう
左足の内側にペットボトルを置いて打つ練習は、ダウンスイングからインパクトにかけて体重を左足にしっかり乗せることの確認作業といえる。
そのためにはインパクトで左のお尻を下げる感覚が絶対に欠かせない。左のお尻を下げて、右のお尻を浮かせるのだ。そして、左のお尻の上で体を回転し、フィニッシュへと振り抜いていく。
「池越えやバンカー越えなどボールを上げたくなる状況はたくさんありますが、そんなときこそ左足の内側に置いたペットボトルを倒さないイメージでスイングしてください。上げたくなったら、左のお尻を下げて打つ。これを意識するだけでダフリやトップは出なくなりますよ」
体重が右足に残っても、たまにクラブヘッドがボールに届いてグッドショットになることもある。
しかし、フェース面が寝た状態でボールに当たるため、ロフト角が2番手ほど多くなり、ボールが高く上がりすぎてキャリーが不足してしまうという現象が起こる。
また、フェースの芯に当たってボールが目標の左にまっすぐ飛んでいく引っかけとなる場合もある。いずれにしてもグリーンに運べないのではスコアのロスにつながる。
左脚の内側にペットボトルが立っているイメージを大事にすれば、コースの景色にまどわされて、右足に体重が乗ったまま起きるミスは防げる。100切りが見えてくるはずだ。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロ野球選手を志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/鈴木祥 撮影協力/富里ゴルフ倶楽部(千葉県)