中井学の「不安に打ち勝つゴルフの法則」第5回~「万振りがフルショット」は間違い!ハーフショットの練習がピンチを救う
中井プロに質問!
Q. グリーンをオーバーしたり、ショートしたりして正確な距離を狙えません。番手選びはどうやって決めるのがいいですか?
あなたはフルスイングを誤解している
アイアンショットでは自分の飛距離を知ることは大切です。ですが、そもそも自分の飛距離ってどうやってイメージしていますか。
たとえばラウンド中に「ピンまで150ヤードだから、7番にしよう」とすれば、7番アイアンを手にしますが、その番手に決めた理由は何でしょう。
番手を選ぶ前に、本来ラウンドでは、ショット地点とグリーン面の高低差、風の方向、アンジュレーションの度合いなどいろいろ自然要素を考慮しないといけません。これらの読みが上手くできてないと、ボールがグリーンオーバーやショートすることになるでしょう。ですがその前に、ここではあえてそれらの自然状況を一切無視して、ショット本来の飛距離について考えてみることにします。
飛距離と番手の関係には個人差はありますが、先ほどの「7番で150ヤード」に決めた理由は、おそらく練習場の150ヤードの看板に7番でだいたい飛ばせる…ぐらいの感覚で決めているのだと思います。
アマチュアの場合はこの程度で仕方ありません。一方プロは、実際のコースと同じ芝の上から、ラウンドで使うボールを使用して飛距離を計測し、正確なデータを取っています。
このようなプロのような場合なら「飛距離」ですが、アマチュアの場合は「推定飛距離」になってしまいます。ですから、飛距離が正確にならないのも当然です。
それに、スイングの強さも大きく影響しています。
フルショットと聞いて、あなたはどんなスイングをイメージしますか。
ほとんどの人が「フルショット=めちゃ振り、万振り」とイメージしていますが、実は「フルショット=スイングして最後までバランスが保てる最も強度なもの」のことをいいます。限界を超えたスイングがフルショットだと思っていた人は、いますぐ考え方を直したほうがいいですね。
めちゃ振りする間違ったフルショットのまま番手の飛距離を決めてしまうと、それが自分で飛ばせる距離だと勘違いしてしまいます。それに、コース上は地面が柔らかく足元が不安定なので、フルショットするとスイングも不安定になり、ショットの精度が落ちます。
ですから練習場では、安定したバランスの範囲で最もしっかり振れるスイングをフルスイングとし、これをマスターすることが大切なのです。
ピンチに対応できるハーフショットこそ練習すべし
練習場ではほとんどのアマチュアゴルファーが、フルショットしかしていません。もちろん、スイングチェックならフルショットしてもいいのですが、スコアアップを目指している人なら、もっと実際のラウンドを想定した練習をするべきです。
まず練習しておきたいのが、ハーフショットです。
とりあえず、ハーフショットでボールを打ってみてください。普段軽く打つ練習をしていないと、ハーフショットがいかに難しいのかが分かるでしょう。
ハーフショットといってもスイングの幅でイメージするのではなく、5番(あるいは6番でも可)で50ヤードと距離を決めて、そこに低く打ち出すイメージで練習します。これは、ショットを曲げてしまい林の中からフェアウエーにボールを出す実践的な練習です。
5番で50ヤードですから、本当に軽くショットしないといけません。慣れないとスイングが緩み、ミスショットします。この練習を何回も繰り返して自分のものにすれば、50ヤード、100ヤードといった具合に、番手の距離感が徐々につかめてきます。そうなれば、自分の番手でフルショットしたときに何ヤード飛ばせるのかが、感覚的に分かってくるでしょう。
やはりラウンドでは、普段練習していることしかできません。
「何番でどのくらいのスイングで何ヤード飛ぶのか」――。
これを練習場で覚えることが大切です。
5番(もしくは6番)で低くボールを出す練習。50ヤード、100ヤードと距離を決め、ボールを低く出すイメージで練習すると、スイングの最も大切なインパクトゾーンを覚えられます。そうなれば、スイングがよくなるし、ボールのコンタクトもよくなるばかりか、それほど曲がらなくなります。
フルショットして「今日はボールが曲がるなあ」と思ったら、その日はこのような感じでコンパクトに打とう、と考えればいいんです。
技をひとつだけ持っていると、ラウンドはかなり楽になります。コースはピンチなことだらけです。コースでピンチになったときに行なう、このようなショットの練習はとても有効でしょう。
教えてくれた人 中井学(なかい・がく)さん
JGTOツアープレーヤー/プロコーチ
1972年4月14日生まれ、大阪府出身。14歳からゴルフをはじめ、高校3年生で日本ジュニアに出場。卒業後に渡米し、大学選抜で活躍。97年に帰国し、2003年よりプロコーチとして活躍。15年はプロテストに合格し、16年、17年はJGTO(国内男子ツアー)東建ホームメイトカップに出場。現在はテレビや雑誌等のレッスン企画に携わるほか、東宝調布スポーツパーク(東京都)でレッスンを行っている。
中井学の「不安に打ち勝つゴルフの法則」記事一覧
(1) 楽しみで眠れない夜は編 - (2) プレー前は体温を上げろ編 - (3) ティの緊張は気にするな編 - (4) 練習場に傾斜はないから編 - (5) ハーフショットに救われる編 - (6) 長いパットは入らなくて当然編 - (7) ポジティブさでスコア向上編 - (8) 急いでもショットは焦るな編