中井学の「不安に打ち勝つゴルフの法則」第4回~「練習場と違う」のは当たり前!コースには傾斜があることを忘れるな
中井プロに質問!
Q. コースに出ると、ボールがまったく当たりません。何が原因ですか?
コース上はほとんど傾斜している
練習場ではボールがしっかり当たるのに、コースに出ると突然トップやダフリになってしまうのは、アベレージゴルファーなら誰にでも経験があると思います。
原因として考えられるのは、コースのほとんどの場所に傾斜があるためです。その傾斜を考えずに、練習場と同じ平らな場所からのイメージでスイングすれば、ミスショットするのは当然です。
しかも、練習場と違って芝の上は地面がとてもやわらかいので、スイングのバランスを崩しやすいということもミスにつながります。
まず、コース上は地面が緩いということと傾斜地でスイングしているということを、常に頭に入れておかなければいけません。だからこそ、普段よりコンパクトなスイングを心がけることが大切なのです。
プロゴルファーは、傾斜の度合いを常に頭に入れてショットしています。プロがどんな傾斜の所からでも打てるのは、その傾斜を踏まえてスイングできるテクニックを持っているからです。
たとえば、左足下がりの場所で、平らな場所と同じようにスイングをすれば、ボールの手前を大きくダフってしまいます。そこで、プロは軽いアウトサイドインのカット軌道にします。カット軌道にすれば、クラブの最下点が左に移動するので、簡単にダフらないようになるからです。
コースに出るとまったく当たらないという人は、そういった傾斜地に対して対処する方法を知らないだけなのです。
傾斜地に対応できるショットを練習する
プロプロゴルファーは、(1) 立ち方や (2) クラブ軌道で、傾斜をどう相殺させるのかを考えています。
たとえば、ツマ先上がりだとクラブをアップライトに構えているので、そのまま打てばドローボールになりやすいですが、それをカットに入れてストレートに変えるというようなことなどをしています。
しかし、(2) クラブ軌道を変えて打つのはややレベルが高いです。そこで、100切りを目指すアベレージゴルファーは、(1) 傾斜に対して垂直に構えられるスタンスやスイングをまず覚えることが大切です。平らな練習場でも、傾斜に対応したスイングを練習することができます。
・ スタンスを広くしてスイングする
[理由] → さまざまなライで垂直に立てるようになる
・ スタンスを狭くしてスイングする
[理由] → どの程度スイングしたらバランスが崩れるのかが分かる
この練習をすることで、傾斜が多少ついている場所でも、スタンスをやや広くして傾斜に対して垂直に構えられるようになります。そうすれば、スイングはいつもどおりで問題ありません。
実際にやってみるとどうでしょう。
バランスが取れない状況でスイングすると、まずフルショットはできなります。バランスが崩れない範囲で、スリークオーターあるいはハーフショットを練習することが大切です。また、どんな傾斜だとどちらの方向にボールが飛ぶのか、傾斜に対してボールが飛ぶ方向やボールが曲がるということも覚えておいてください。
傾斜があると、弾道の高さ・球筋が変わります。
たとえば、右利き場合、
・ 左足が下がっていたら、ボールはどのくらい低く出るか
・ 左足が上がっていたら、ボールはどのくらい高く上がるか
・ ツマ先が上がっていたら、ボールはどのくらい左に曲がるのか
・ ツマ先が下がっていたら、ボールはどのくらい右に曲がるのか
ツマ先上がりの場所からボールを打てば必ず左に飛びます。
それを「あ、左に飛んだー!」とミスだと感じてまったら、ゴルフは上手くなりません。「こういう状況なら左に飛ぶので、やや右を狙おう」という具合に、ボールの飛ぶ方向をイメージできるようになるのかで、スコアは大きく変わってきます。ボールが曲がる傾斜地から打って、「あ、曲がっちゃった!」と思ってもそれはミスではなく、当然のことです。それはナイスショットです。
実際、ある程度練習しているゴルファーなら、概ね練習場と同じスイングはできています。コース上はほとんどが傾斜しているので「曲がって当然」を受け入れるようにしましょう。そうしないと「コースだと練習場のようにまっすぐ飛ばない、何がいけないんだろう」と軽くパニックになってしまいます。
最後に、ボールは傾斜の高いところから低いところに曲がると思っておいてください。
・ツマ先上がりなら、右から左へ曲がる
・ツマ先下がりなら、左から右へ曲がる
予備知識があれば、練習場と違うのは当然と考えられるようになり、それはミスだと思わなくなります。
教えてくれた人 中井学(なかい・がく)さん
JGTOツアープレーヤー/プロコーチ
1972年4月14日生まれ、大阪府出身。14歳からゴルフをはじめ、高校3年生で日本ジュニアに出場。卒業後に渡米し、大学選抜で活躍。97年に帰国し、2003年よりプロコーチとして活躍。15年はプロテストに合格し、16年、17年はJGTO(国内男子ツアー)東建ホームメイトカップに出場。現在はテレビや雑誌等のレッスン企画に携わるほか、東宝調布スポーツパーク(東京都)でレッスンを行っている。
<スタッフクレジット>
撮影/石上彰(gami写真事務所)
撮影協力/東宝調布スポーツパーク(東京都)
中井学の「不安に打ち勝つゴルフの法則」記事一覧
(1) 楽しみで眠れない夜は編 - (2) プレー前は体温を上げろ編 - (3) ティの緊張は気にするな編 - (4) 練習場に傾斜はないから編 - (5) ハーフショットに救われる編 - (6) 長いパットは入らなくて当然編 - (7) ポジティブさでスコア向上編 - (8) 急いでもショットは焦るな編