平野茂の100切りラウンド術・第4回~アプローチが劇的に変わるイメージのつくり方
100切りを達成するには、グリーンまわりではピンの近くには寄らないとしても、確実にグリーンに乗せて2パットでホールアウトできる力をつけたい。
グリーンまわりからピンに寄せようとしたら、結果はザックリ、トップ、シャンクなどのミスのオンパレード。ひどいときにはグリーンまわりを行ったり来たりして、同伴のプレーヤーたちを待たせることにもなる。
多くのゴルファーを100切りに導いてきた平野茂プロは「アプローチはうまくなるにはイメージづくりが肝心です。ボールをどのように上げて転がすかを想像してから打つ習慣をつけましょう」と語る。イメージづくりの仕方を教えてもらうとしよう。
ピンを見るよりもボールの落とし場所を見て打つことが大事
ドライバーショットのように遠くの目標を狙って打つとき、ツアープロは目標に意識を持っていくが、多くのアマチュアはボールにうまく当てようとして下ばかりを見てしまう。目標意識が欠如しているわけだ。
ところがグリーンまわりからのアプローチでは目標ばかり意識して、下をあまり見ようとしない。そのためにヘッドアップして、ザックリやトップなどのミスが発生しやすくなるのだという。
ツアープロは逆にインパクトの精度を上げて方向性と距離感をしっかりと合わせるために下を見て打っている。
「どんな球を打ってピンに寄せるかのイメージづくりはアドレスの前にやっておく作業であって、クラブを構えたらボールをよく見て打つことに集中することが大切です。多くのアマチュアは目標ばかり見ているようで、打つ前のイメージづくりができていません。ピンばかり見ないで、ボールをグリーン上のどのあたりに落とすかを決めて打つようにしましょう」
ピッチングウエッジのアプローチならキャリー15ヤードに対してランが15ヤードといった数値をひとつの目安にして、ボールの落とし場所を明確に決めてから打つことだ。
サンドウエッジの場合はキャリー20ヤードに対してランは10ヤードとすれば、ボールがこんな感じで飛んで、グリーンに乗ってから傾斜に乗ってこんな感じでピンに近づいていくといったシーンを想像することができる。
ピンに寄るか寄らないかの結果はともかくとして、ボールを打ったあとのワンバウンド目をグリーン上のどこに設定するかの目標設定が肝心だという。
左のお尻を絶対に浮かせないでインパクトする
アプローチショットで注意したいのは、ボールを決して上げようとしないことだ。バンカー越えなど高さを出したい場面では、ボールを上げようとしてダウンスイングで右肩が下がったり、インパクトで手首をこねたりしてザックリやトップなどのミスが特に発生しやすい。高さを出したいのならサンドウエッジのようにロフト角の多いクラブを選択すればいいのであって、あとはロフト角にまかせてスイングするだけでいい。スイングでボールを上げようとしてはいけない。
「ミス防止の一番のポイントは、インパクトで左のお尻を絶対に浮かせないようにすることです。すくい打ちになる人はインパクトで左のお尻が浮いて、体の左半身が伸びてしまっています。浮かせるのは右のお尻のほうで、左のお尻を下げて打つようにすればボールを正確にヒットできます」
サンドウエッジで高さを出したいときも、スイングの感覚としては7番アイアンなどでボールを低く打ち出すアプローチと変わらないというのだ。
体重を左足に多めに乗せて構え、左のお尻を低くしたままでスイングする。
左の股関節の上でクラブを振るイメージを持つことでインパクトの正確性がアップし、ザックリやトップなどミスが激減する。ピンの近くに寄る回数も増えて、アプローチの醍醐味を見出せればゴルフの楽しさ倍増! 100切りもすぐそこだ。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロ野球選手を志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/鈴木祥 撮影協力/富里ゴルフ倶楽部(千葉県)