関浩太郎の「30パットに収めるパッティングテクニック」第2回~距離感と適切なストローク!「1分間85拍」が精度を上げる
方向性の練習よりも距離感の練習のほうが大事
30パットを実現するためには、安定したストロークを身につけることが大事です。安定したストロークの話をするにあたって、方向性を安定させることと、距離感を安定させること、どちらが大事なのかをお伝えしておきます。
これは、圧倒的に距離感を安定させることが大事です。
それなのに皆さん、パッティングを練習する際も、パターを探す際も、方向性をチェックすることが非常に多いんですね。
なぜ距離感が大事なのかが分かるエピソードを一つご紹介します。カップから10メートル以上離れたところにボールを何個か並べて、パターを構えることもせずに右手1本でポンポンと打っても、ボールはそれなりにカップの方向へ行きます。でも、距離感を見ると、カップの倍の距離まで転がったり、カップの半分の距離しか転がらなかったりします。そんなに離れていたら、3パットしちゃいますよね。
みなさんが考えているより、距離感をつかむのは難しいのです。
ストロークの3原則は、「等速」、「等幅」、「適正な幅」
したがって、安定したストロークを身につける練習とは、パットの距離感を適正にコントロールする練習ということになります。そして、パットの距離感を適正にコントロールするためには、「等速」であり、「等幅」であり、「適正な幅」であるというストロークの3原則を身につける必要があります。
まず「等速」から説明します。テークバックを速く上げて、フォロースルーをゆっくり出すことを「緩んでいる」と言い、テークバックをゆっくり上げて、フォロースルーを速く出すことを「パンチが入っている」と言いますが、これはどちらも距離感が合わないパッティングです。
でも、テークバックを速く上げて、フォロースルーを速く出すのも等速ですし、テークバックをゆっくり上げて、フォロースルーをゆっくり出すのも等速ですよね。それでいいかと言ったら、それじゃダメです。適正なテンポで等速である必要があります。
じゃあ、「適正なテンポって何だ?」という話になりますが、これを探すための方法があります。A4サイズの紙などの両端に赤い点を書いて、点と点をペンで真っすぐに結ぶという作業を行うのです。
ボクが「真っすぐですよ」と強調すると、ほとんどの人は方向性のことで頭がいっぱいになり、ゆっくりと丁寧に線を引こうとします。でも、ゆっくりと丁寧にやれば線が真っすぐに引けるというものではないんですね。ゆっくりだと線が揺れてしまうのです。…じゃあ、速くやればいいかと言うと、それも違います。ゆっくり過ぎず、速すぎず、ちょうどいいテンポというのがあるのです。
実際にやってみると分かるのですが、点と点を真っすぐに結びながら何度も線を引いていくと、だいたいの人が一定のスピードになるんですよ。そして、そのスピードを数字にすると、1分間に85拍なんです。これはパッティングのストロークにも当てはまります。
パッティングの適正の速さは1分間に85拍のスピード
今どき、メトロノームはわざわざ買わなくてもスマートフォンから無料でダウンロードできますから、1分間85拍に合わせて、パターを振ってみてください。1拍目でテークバック、2拍目でフォロースルーというテンポです。このテンポで振れば、ストロークがものすごく安定します。
こうしてストロークの速度が決まれば、インパクトのスピードが安定しますので、あとは振り幅だけで距離感が決まることになります。
教えてくれた人 関浩太郎(せき・こうたろう)さん
1974年6月10日生まれ、茨城県出身。米国で最新のゴルフ理論を学び、帰国後は有名クラブ職人の下でフィッティング理論とクラフト技術を取得。2005年4月からは東京都目黒区でスイングレッスン、クラブフィッティング、チューンナップ、ショップとゴルフのすべてをサポートする「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰している。
構成/保井友秀(ゴルフライター) 撮影/中野義昌
関浩太郎の「30パットに収めるテクニック」記事一覧
(1) 練習するならロングとショート編 - (2) 1分間85拍が精度を上げる編 - (3) ストロークな適正な幅とは編 - (4) 入るより停めることが大事編 - (5) 上りと下りの曲がり幅編 - (6) ショートパットの苦手意識編 - (7) ロングパットのセットアップ術編 - (8) ミドルパット精度向上編 - (9) 顔と地面を平行にする編 - (10) アドレス3原則とは編 - (11) パットを安定させる屋内練習編 - (12) 全てのショットは繋がっている編