関浩太郎の「30パットに収めるパッティングテクニック」第1回~プロでもミドルは入らない!練習すべきはロングやショートから!
12ホール×2パット+6ホール×1パット=30パット
皆さん初めまして、ゴルフインストラクターの関浩太郎です。
今回は編集部から「パット数を30パットに収めるためのテクニックを教えてほしい」という依頼を受けまして、お話しさせていただきます。
まず、30パットというのがどういう数字かと言いますと、18ホールすべて2パットだと36パットですから、それよりも6打少ない数字ということになります。
したがって「18ホール中6ホールを1パットで収めて、残り12ホールを2パットで収めると、合計30パット」ということになります。
1パットを増やすより3パットを減らすのが先
このように説明すると、皆さん1パットを増やすということを、最初にやろうとするんですよ。でも、実はそれが間違いの元です。
物事にはマックス値と、アベレージ値と、ミニマム値っていう3本のラインがありまして、ミニマム値が低いまま、マックス値を上げようとするのは、ほとんど成功例がありません。
ゴルフのパッティングにおいて、マックス値というのは1パットを増やすことで、ミニマム値というのは3パットをなくすことです。だから、1パットを増やすためには、3パットをなくすことから始めなければならないのです。したがって、まずは3パットがほとんど出ないという状態にならないと、1パットを増やそうとしてもダメなんです。
それと、1パットを増やすということについて、皆さんが誤解されていることがもう一つあります。
ここに面白いデータがあるんですが、PGAツアーの全選手の15フィート(約4.6メートル)のパットが入る確率が何パーセントくらいかお分かりでしょうか。なんと23パーセントなんですね。
PGAツアーの優勝争いを見ていると、そのくらいの距離をポンポン入れているように錯覚してしまうのですが、60台を出さないといけない世界のトッププロたちでさえ、10回に2~3回しか入っていないんです。
だから、アマチュアの方が「4~5メートルのパットを10回打って、5~6回入るようにならないとシングルハンディになれないから教えてくれ」と言われたら、「それは無理です」と私は言います。
じゃあ、その人はパッティングにおいてスコアを縮める余地がないのかというと、そうではなくて、「そこには石油が埋まっていないですよ」と言いたいんです。
2~5メートルのミドルパットの練習はやっちゃダメ
たとえば、1年間で石油を掘り当てろと言われた時、「1年間しかないから急げ!」と何も調べずに「どこだ?どこだ?」と掘るのではなく、最初の10カ月は調べるんです。調査に調査を重ねて、石油を掘り当てることができる最も浅い場所を探します。
ゴルフのパッティングもこれと同じで、2~5メートルのミドルパットというのは、ロングパットやショートパットに比べて難易度がダントツに高いんです。いくら練習しても2回を1回にするのは、ほぼ不可能です。
そして2~5メートルであれば、3パットの可能性も低いじゃないですか。つまり、練習しても練習しなくても2回なんです。だから、ミドルパットの練習をするのは時間のムダだと考えています。
プロゴルファーはミドルパットしか練習しません。それはなぜかって言うと、プロゴルファー同士の戦いですから、浅いところはもう全部掘り尽くしているのです。深いところが掘れるかどうかで勝負が決まる世界です。
だから、プロゴルファーの練習内容を見て、「よしっ、オレもマネしよう」ではなく、浅いところがまだ残っている人は、浅いところから掘り始めてください。
教えてくれた人 関浩太郎(せき・こうたろう)さん
1974年6月10日生まれ、茨城県出身。米国で最新のゴルフ理論を学び、帰国後は有名クラブ職人の下でフィッティング理論とクラフト技術を取得。2005年4月からは東京都目黒区でスイングレッスン、クラブフィッティング、チューンナップ、ショップとゴルフのすべてをサポートする「SEKI GOLF CLUB目黒」を主宰している。
構成/保井友秀(ゴルフライター) 撮影/中野義昌
関浩太郎の「30パットに収めるテクニック」記事一覧
(1) 練習するならロングとショート編 - (2) 1分間85拍が精度を上げる編 - (3) ストロークな適正な幅とは編 - (4) 入るより停めることが大事編 - (5) 上りと下りの曲がり幅編 - (6) ショートパットの苦手意識編 - (7) ロングパットのセットアップ術編 - (8) ミドルパット精度向上編 - (9) 顔と地面を平行にする編 - (10) アドレス3原則とは編 - (11) パットを安定させる屋内練習編 - (12) 全てのショットは繋がっている編