ジュン羽生が答える!第4回・アイアンの正しいスイング、ダウンブローを身に付ける方法
アイアンショットは距離と方向性が求められます。ドライバーと比べると長さが短くなるため、打ちやすさを感じると思います。とは言え、地面にあるボールを打つアイアンショットも意外と難しいものです。
今回は基本に立ち返り、スコアメイクのカギを握るアイアンの正しいスイング法や打ち方、飛ばし方について、過去の成績からミスター29の異名を持ち、数々のゴルフスクールを経営する羽生淳一プロに聞いてみました。
アイアンの正しいスイングはダウンブロー
地面にあるボールを打つアイアンは、他のクラブとそもそも、クラブの軌道が全然違います。
ここでは、アイアンの理想的な軌道を実現するために大切になる、正しいスイングを身に付けるために、アイアンに最適なスイング方法はどんなものなのかを紹介していきます。
アイアンをうまく打つためにもダウンブロー
「ティーアップするドライバーと違って、アイアンは地面にあるボールを打ちますから、実は意外と難しいのです」(羽生プロ)
初心者の特徴ですが、地面にあるボールを打つ際、ボールを上げようと思うあまり、ボールをすくいあげようとします。これが諸悪の根源になっています。実は、トップやダフリなど、アイアンのミスの原因は同じすくい打ちなのです。
ですから、アイアンを上手く打つためには、「ダウンブローを覚えることが大切です」。
ダウンブロースイングとは
ダウンブローとは、スイングの最下点の手前でボールがヘッド当たり、ボールをとらえるスイングになります。ボールの先の芝を削り取るイメージになります。
ダウンブロー軌道で打つことができれば、最下点までの間にボールにヘッドが当たればボールが上がりますから、ミスショットが出にくく、ライが悪くてもきれいにボールをとらえることが出来ます。
一方、初心者の方は、スイングの最下点でボールを打とうとする傾向があります。しかし、最下点は1点しかありません。そこで打つのは難易度が高く、技術が必要になります。
まずは、今あなたがダウンブロー軌道で打てているか、チェックするポイントをあげてみますので、ご自身でチェックして下さい。
【ダウンブローに打てているか3つのチェックポイント】
(1) ボールの先の芝が削れているか?(ボール真下、手前ではダメです)
(2) グリーンに落ちたボールに、バックスピンが掛かって、しっかり止まるか?
(3) 芝に沈んでいてもボールを上げることが出来るか?
アイアンをダウンブローで打つための方法
アイアンをダウンブロー軌道に打つと、アイアンのミスショットが減り、グリーン上にしっかりとボールを止めることができるようになります。しかし、アイアンをダウンブローで打てないという方も多いはず。
では、どうすればアイアンをダウンブローに打てるのでしょうか?
アイアンをダウンブローに打つための構え
ダウンブロー軌道でアイアンを打つにはどうしたらいいのでしょうか? ドライバーはヘッドを地面と水平の軌道で打ちたいと以前説明しました。
アイアンは、ヘッドを上から下に動かしたいので、ボールを横から捉えるドライバーショットとは違う構え方が必要となります。この構え方こそ、ダウンブローにスイングするための、重要なポイントになります。
ドライバーよりもスタンスは狭く、ボールの位置は、スタンスの真ん中ぐらい。上から打ち込める構えをつくります。
そして上からボールをヒットしやすいように、ボールの位置より、グリップの位置が、飛球線方向にある「ハンドファースト」の構えをします。このハンドファーストを崩さないようにスイングすると、ダウンブローにインパクト出来ます。
【構え方のチェックポイント3点】
アイアンをダウンブローで打つためには、まず構えた時点で、以下のチェックポイントを忘れないようにしてください。
(1) ボールは体の真ん中、もしくは左耳の真下にセット(ドライバーよりも左足寄り)
(2) 肩幅と同じぐらいのスタンス幅
(3) ヘッド位置よりグリップ位置が飛球線方向にあること(ハンドファースト)
アイアンをダウンブローに打つインパクト
アイアンの構え方がわかったら、次に大切なのは、トップの時に作った手首の角度を維持することです。これによって、ハンドファーストにインパクトを迎えることができるため、ダウンブロースイングが完成します。
この写真のように、トップで作った手首の角度をキープして、ダウンスイングすると、ヘッドが上からボールに向かって降りますから、ハンドファーストをキープしたインパクトになります。
実は多くのアマチュアゴルファーは、トップの位置から手首の角度を保ったままインパクトを迎えられずに、ボールを打とうとしてしまうのです。
ダウンブローの最大の敵、アーリーリリースを治す
アイアンの正しいスイング、ダウンブローがわかってきましたか? 言葉にすると簡単そうですが、「ダウンブローは難しい」と言うベテランゴルファーも多いです。
そこで、なぜダウンブローが難しいのか、その理由と、ダウンブロースイングを身に付けるための自宅でできる簡単な練習法をご紹介します。
ダウンブローが難しい理由
どうしてダウンブローに打つのが難しいのでしょうか?
「アイアンは地面からボールを打つクラブです。地面から打つということは、地面に当たらないように気をつけながら、ボールに直接ヘッドを当てないといけません。しかしボールにヘッドを当てようとすると、ボールをすくい上げるようにヘッドを使おうとしてしまうのです」(羽生プロ)
すくい上げる、つまりヘッドを下から上に使う動きになりますから、体重は右体重のまま。すくい上げようとしても、地面がありますからヘッドを入れるスペースがありません。だからトップ、ダフリの両方のミスが出ます」
つまり多くの初心者は、ダウンブローの真逆の軌道でアイアン打とうとして、ミスショットを繰り返しているわけです。
ダウンブローにスイングするための練習法
そこで、ハンドファーストのインパクトを身に付けるため簡単な練習法を紹介したいと思います。これを練習すれば、トップの位置で作った手首の角度(コック)を保ったままインパクトを迎えられる=ダウンブローに打てるようになります。
自宅でもできる練習ですから、トライしてみて下さい。
まずは左手一本でアイアンを持ちます。クラブは9番アイアンでも7番アイアンでも構いません。そして片手でトップの位置を作ってみてください。
この時に、左手親指にグリップが乗ります。その時にクラブの重さをほとんど感じないポジションがあります。この位置にクラブが上がれば、手首の角度を保ったままクラブをスッと降ろすことができます。
このポジションを自分で見つけて、キープしてください。トップの位置で止まっているだけで、正しいトップの位置、切り返しの位置を身体が覚えてくれます。鏡の前やスマホなどで撮影して、ポジションをしっかりとチェックしてください。
アイアンのミスが多いという人は、スイングのトップの位置で、いいポジションにクラブが上がっていないことが原因と考えられます。このトップの位置を見つけられないと、クラブの重さが手に思いっきりかかってしまうので、アーリーリリース(手首の角度を保てない状態)しないとクラブが降ろせなくなってしまうのです。
このポジションはドライバーも同じです。飛距離アップにも繋がるので是非マスターしましょう。
羽生プロが導く、斬れるアイアンショットを生むダウンブローの極意
ダウンブローと言う言葉は、あまり耳慣れなかったと思います。しかしアイアンをダウンブローに打つスイングは、ミスショットを減らしてくれますし、飛距離も稼げる一石二鳥のスイングです。
ダウンブローで打つためには、まず上からヘッドを入れるために、適した構え方をすること。そして、手首の角度をキープし、ハンドファーストにインパクトをするのが極意です。
ぜひ今回紹介したトップの位置を覚えて下さい。この打ち方ができると、ドライバーの飛距離も劇的に伸びます! このスイングに筋力は必要ありませんから、女性ゴルファーも挑戦してみて下さい。
教えてくれた人: 羽生淳一プロ
1984年生まれ、茨城県出身。サンクチュアリゴルフスクール代表、JGTOツアープロ。
取材協力・ライター:T島
1963年生まれ、広島県出身。中古ショップ運営会社でゴルフ部門の店舗運営責任者を務め、2008年からマーク金井氏の主宰するゴルフスタジオ「アナライズ」に参加。毎日更新のブログ「アナライズT島の商売してまっせ~ vol.3」がコアゴルファーに人気。最新クラブのスペックから歴史的名器まで造詣が深いゴルフライター。ベストスコア68。
羽生淳一の「ジュン羽生が答える!」記事一覧
(1) スライスしない方法編 - (2) 正しいアドレス編 - (3) 正しいドライバースイング編 - (4) アイアンの正しいスイング編 - (5) クラブの役割と飛距離の把握編 - (6) ドライバーの飛距離アップ編 - (7) ミスしないアプローチ編 - (8) 楽しいアプローチ練習編 - (9) シャンクの原因と直し方編 - (10) トップする原因と対策ドリル編 - (11) バンカーショット一発脱出編 - (12) フォロースルーは大きく!編 - (13) 素振りの重要性と練習編 - (14) ダウンスイングの練習編 - (15) ドライバーとアイアンの違い編 - (16) テイクバックのコツをつかむ編 - (17) パッティングのコツ編 - (18) 平均飛距離と打ち方のコツ編