ジュン羽生が答える!第5回・ゴルフクラブの役割と飛距離の把握が上達への近道
ゴルファーなら誰しも、自分の飛距離が気になるはず。できるだけ飛ばしたいというのが本音かと思いますが、すべてのゴルフクラブが飛べばいいというものではないのが、ゴルフの難しいところです。
実は、自分のゴルフクラブごとの飛距離を正確に把握して、狙った距離をしっかり打つことこそがスコアアップにつながるのです。
自分が持っているゴルフクラブが、どの番手でどれくらい飛ばせるのかご存知ですか?
今回は100切りに必要な、ゴルフクラブの各番手の飛距離の基準を、過去の成績からミスター29の異名を持ち、数々のゴルフスクールを経営する羽生淳一プロに聞いてみました。
ゴルフクラブの飛距離の基準は?
ラウンド中に使えるゴルフクラブは、14本とルールで規定されています。
できるだけ飛ばしたいと思う気持ちはわかりますが、大切なのは自分のゴルフクラブセット、何番で何ヤード飛ぶか把握し、その飛距離に打つことです。ゴルフは狙ったところに球を飛ばすことこそスコアアップの近道なのです。
では、どうやって自分のゴルフクラブの飛距離を把握すればいいのでしょうか?
9番アイアンが飛距離の目安
ゴルフクラブの飛距離の目安を作るのは、9番アイアンです。
ですから、まず9番アイアンを打ってみてください。何ヤード飛びますか?最大飛距離ではなく平均飛距離です。例えば120ヤードだとすると「9番アイアンの飛距離×2→ドライバーの飛距離」となるはずです。
120ヤード × 2 → 240ヤード
このことを念頭に置いて、もし9番アイアンが120ヤード飛ぶのに、ドライバーが240ヤード飛んでいないということは、ドライバーショットに問題があると考えられます。特にスライスに悩んでいる人は、長いドライバーほどスライスの度合いが強くなり、想定される飛距離をかせげていないことになります。
ドライバーのヘッドスピードで飛距離の目安を知る方法もありますが、「9番アイアンの倍がドライバーの飛距離」という目安はシンプルでわかりやすいと思います。
飛距離の階段(想定飛距離)と実際の飛距離を比較してみよう
では基準飛距離(9番アイアンの飛距離)からゴルフクラブの各番手の飛距離を見直してみましょう。
キャディバッグに入っているクラブ各クラブが持つ性能を引き出した時に、どれくらい飛距離が出るか。表にして下さい。
皆さん「ナイスショットした飛距離=想定飛距離」を前提に、コースマネージメントをしているはずです。ですからまずはナイスショットした場合で想定距離を算出していいでしょう。
そして実際に各番手5球ずつ打って平均飛距離を出して、この表に書き出してみてさい。100切りを目指すレベルだとこんな感じになるのではないでしょうか?
9番アイアンの飛距離が120ヤードということから、クラブの難易度を考慮し、各番手の平均飛距離を予測しました。100切り目標の皆さんいかがでしょう? まんざら外れていないはずです。
ここで大切なのは、想定飛距離を知ることではなく、ゴルフクラブの実際の飛距離を把握することです。自分の正確な飛距離がわかれば、コースでのマネージメントの精度が格段に上がるはずです。
飛距離から考えるセッティング提案
ゴルフクラブの飛距離の階段がわかると、セッティングの見直しの必要性も出てくるかと思います。
ここで、羽生プロが薦める、セッティングのコツを紹介していきましょう。
フェアウェイウッドを抜こう!
フェアウェイウッドは、当たれば距離が出ますが、ミスした時の怪我が大きいクラブです。特にスプーン(3番ウッド)は、練習場でも上手く打てないのに、コース内の様々なライで上手く打つのは至難の業です。
フェアウェイウッドは90切りするのに必要なクラブです。100切りするには、必要ないと割り切って、バッグから抜くのも手です。想定飛距離と平均飛距離の差が極端にあるクラブは、必ず爆発する時限爆弾と一緒ですから、コースに持っていかないことをおすすめします。
ティーショットを刻む必要があるホールの場合は、ティーショットに限ってフェアウェイウッドを使ってもいいでしょう。しかし何度も言いますが、地面からは使わないで下さい。
魔法のクラブ、ユーティリティを活用しよう
フェアウェイウッドを抜くとPAR5や距離のあるホールはどうすればいいのでしょうか? そこでおすすめなのが「魔法のクラブ、ユーティリティ」です。
ユーティリティをオススメする3つの理由
(1) 長さがフェアウェイウッドより短いので、斜面に対応しやすく、ボールに当てやすい
(2) ソール幅が広いので、ある程度のラフなら問題なく打てる
(3) ボールに当てやすく、飛距離も出せるので、安心感がある
こんな便利なユーティリティですが、意外と初心者からアベレージゴルファーはユーティリティを使っていないことが、多く見受けられます。
100切りの秘密兵器であるユーティリティ。是非購入してバッグに入れて下さい。そして、しっかりと練習してください。打ち方はアイアンと同じ。飛距離はアイアンより少し飛びますから、だまされたと思ってセッティングに加えてみましょう!
飛距離の把握と同じくらい、クラブの役割を知ることが大切
フェアウェイウッドを抜くという提案でわかるように、テーマが100切りであれば、飛距離の階段の想定飛距離通りに打てなくても、さほど問題ありません。
では100切りにとって必要なことはどんなことでしょうか? クラブの役割をハッキリさせることで課題が見えてきます。
ドライバーは当てるクラブ
極端な話、ドライバーは当てるだけでOKです。羽生プロは「170ヤードくらい飛べばいい」としています。
全ホールボギーでも90であることを考えると、必ずしもパーオンしなくていいので、ボギーオン狙いなら最低170ヤードでオッケーという計算です。
「170ヤード飛べばいい」と考えれば、当てるだけでいい。そうすると200ヤードぐらいは簡単に飛ぶのがドライバーです。まずドライバーは、170ヤードを狙って打ってみて下さい。狙った方向へ200ヤード以上飛んでいってくれるはずです。
ユーティリティは運ぶクラブ
フェアウェイウッドは抜いていること前提なので、省略します。続いてユーティリティは、運ぶクラブと認識してみてください。
ユーティリティはグリーンに乗せると思わなくていいです。グリーン近くの広いエリアにボールを運べればいいのです。距離は150ヤード以上出ればいいので、少々当たりは悪くても150ヤードぐらいを、コンスタントに運べることが理想です。
5~9番アイアンも運ぶクラブ。ハザードや飛びすぎだけ注意
アイアンを持つとつい狙いたくなってしまうと思いますが、無理は禁物です。実は5~9番も運ぶクラブなのです。狙った距離に打つことが難しいクラブですから、5~9番アイアンも運ぶクラブと決めて使いましょう。
注意したいのはハザードと飛びすぎ。バンカー超えや池超えでは使わないのが無難です。また、トップしてグリーンオーバーしてしまうのも、スコアを崩す要因になりますから、気をつけて下さい。
100ヤード以内は乗せるクラブ
さすがに100ヤード以内ならグリーンを直接狙ってもいいです。アプローチやウェッジはグリーンに乗せるクラブという認識を持ってください。
しかし、狙うのはピンの位置にかかわらずグリーンセンターです。ピンに打ってはいけません。なぜなら入れるクラブではないからです。グリーンになんとしても乗せることが目的です。
アプローチはとにかく1回でグリーンに乗せるクラブ
グリーン周りからのアプローチは、とりあえず1回で乗せましょう。グリーン周りでは特にトップに注意し、1回でグリーンに乗せる意識を持ってください。
アプローチは、入れにいかないこと。カップに寄らなくてもいいので、とにかく1回で乗せましょう。またバンカーからは、1回で出ることが目標です。グリーンに乗せるという意識よりは、無理せず1回でバンカーから脱出するのが、ウェッジの役割です。
羽生プロが導く、飛距離の階段と各クラブの役割の重要性
飛距離の階段を作って、コースマネージメントできるようになれば、70台やパープレイでラウンドできるはずです。しかしテーマが100切りなら、クラブの役割、目的をハッキリさせて、マネージメントしていきましょう。
まずは課題を明確にするために、飛距離の階段の表をぜひ作ってみて欲しいと思います。ユーティリティをもし使っていない人がいるなら、ぜひこの機会に手に入れて下さい。
もちろん「ゴールは100切りではない」という方がほとんどでしょうから、そういう人は、持っているゴルフクラブをすべて想定飛距離に飛ばせるように、しっかりと練習してください。
教えてくれた人: 羽生淳一プロ
1984年生まれ、茨城県出身。サンクチュアリゴルフスクール代表、JGTOツアープロ。
取材協力・ライター:T島
1963年生まれ、広島県出身。中古ショップ運営会社でゴルフ部門の店舗運営責任者を務め、2008年からマーク金井氏の主宰するゴルフスタジオ「アナライズ」に参加。毎日更新のブログ「アナライズT島の商売してまっせ~ vol.3」がコアゴルファーに人気。最新クラブのスペックから歴史的名器まで造詣が深いゴルフライター。ベストスコア68。
羽生淳一の「ジュン羽生が答える!」記事一覧
(1) スライスしない方法編 - (2) 正しいアドレス編 - (3) 正しいドライバースイング編 - (4) アイアンの正しいスイング編 - (5) クラブの役割と飛距離の把握編 - (6) ドライバーの飛距離アップ編 - (7) ミスしないアプローチ編 - (8) 楽しいアプローチ練習編 - (9) シャンクの原因と直し方編 - (10) トップする原因と対策ドリル編 - (11) バンカーショット一発脱出編 - (12) フォロースルーは大きく!編 - (13) 素振りの重要性と練習編 - (14) ダウンスイングの練習編 - (15) ドライバーとアイアンの違い編 - (16) テイクバックのコツをつかむ編 - (17) パッティングのコツ編 - (18) 平均飛距離と打ち方のコツ編