稲津暢の「ゴルフの上達が早い人遅い人」第9回~上達が早い人は上達できる環境に飛び込む
2017年の全米オープンは松山英樹選手が2位タイに入り、メジャー優勝にあと一歩のところまで迫りました。実は私も、米国アラスカ州で行われた全米オープン予選に参加した一人ですので、そのすごさがよく分かります。
松山選手が世界で活躍できるようになったのは、若いうちからPGAツアーに挑戦したのが最大の要因です。日本の環境でゴルフをしていて世界で通用するかといったら、絶対に通用しませんからね。日本ツアーに比べてPGAツアーは圧倒的に戦略的ですから、そのような環境での練習量を増やすことが世界での活躍につながります。
上達が早い人は上達できる環境に自ら飛び込む
これをゴルフの上達に当てはめると、ゴルフの上達が早い人は上達できる環境に自ら飛び込みます。誰もが海外のコースに行って練習する必要はありませんが、日本の中でもコースの難易度には違いがありますから、どのような環境で練習すれば上達につながるか自分で判断して行動できます。
上達が遅い人は、与えられた環境で、ただ何となく練習しているだけという傾向が強いかもしれません。自分が伸び悩んでいると感じる人は、新しい環境を探してみるのも選択肢の一つでしょう。
一方で、初心者のうちから難しいコースをプレーしたほうがいいのかと聞かれたら、必ずしもそうではないかなという気もします。たとえば、日本でしかプレーしないと決めているのであれば、日本の環境で練習をしたほうが結果につながるでしょう。
要するに、自分がどこまでの上達を目指しているかによって、練習環境やプレー環境を考えていく必要があるということです。
恵まれた環境を与えてしまうと人は伸びない
それと、松山選手の活躍を見ていて感じるのは、彼は若いうちにチヤホヤされなかったのがよかったのかなとも実感します。2011年にマスターズでローアマチュアを獲得した後はもてはやされたでしょうが、高校時代は同学年で彼より目立つ存在がいましたからね。
ビジネスの世界でよく見かけるのは、会社の2代目や3代目が若いうちからチヤホヤされたことによって、ビジネスマンとしてまったく結果を出せず、結局、会社を潰してしまうケースです。
そのことをよく分かっている起業家の方は、息子さんや娘さんにも「ゼロからやりなさい」と恵まれた環境を一切与えない教育をされています。
それはゴルフの世界も一緒で、恵まれた環境を与えたから上達につながるかといったら、むしろ上手くいかない事の方が多いように感じます。
教えてくれた人:稲津暢(いなつ・とおる)さん
1979年生まれ。國學院大學経済学部卒、テキサス州立大学大学院にて経営学修士(MBA)。MBA取得後にプロ宣言し、PGAツアーのマンデー予選を中心にアメリカのミニツアーに参戦。その後、国内大手コンサルティング会社に入社し、基幹業務システム導入やマーケティング戦略立案に従事。2008年、IF Business Consulting株式会社を設立。企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスを提供している。
構成/保井友秀(ゴルフライター)
稲津暢の「上達が早い人遅い人」記事一覧
(1) 能動的な発言を心懸ける編 - (2) 短期集中タイプが強い編 - (3) 長期間通うレッスンは苦手?編 - (4) 自分をレーダーチャート分析編 - (5) 歳をとってからでも上達編 - (6) 仕事と両立でどちらも伸びる編 - (7) 数字をしっかり見る編 - (8) ベストより平均にこだわれ編 - (9) 上達できる環境に飛び込む編 - (10) できない理由を並べない編