稲津暢の「ゴルフの上達が早い人遅い人」第7回~上達が早い人は数字をしっかり見る
松山英樹選手や石川遼選手が参戦しているPGAツアーは世界最高峰のゴルフツアーですが、レベルの高さや賞金額の多さだけでなく、スコアデータに関する分析(スタッツ)でも世界最高水準を誇っています。
フェアウェイキープ率やパーオン率といった一般的なものだけでなく、ティーショットからパッティングまでのうち、どの分野でスコアを稼いでいるのかという分析が細かくなされています。そして、トップ選手であれば間違いなく、スタッツをしっかりと見ています。
なぜ彼らがスタッツをしっかりと見ているかというと、自分のゴルフが今、どういう状態であるかを把握する目安になるからです。
感覚だけに頼ると本質を見誤ることがある
僕は経営コンサルタントとして、いろんな会社の経営状態を見ていますが、経営者の方が「これは感覚的にこういう感じじゃないか」と思っていても、実際に数字を見ると全然違っていることがけっこうあります。
ゴルフもそれと同じで、感覚だけでゴルフの状態を判断しようとすると、本質を見誤ることがあります。特にスランプに陥った場合、感覚だけに頼ると軸が取れないので、ブレやすくなってしまいます。
ゴルフのショットはスイングという体の動きとゴルフクラブというギアの二つの要素があります。ゴルフクラブは、物理的な損傷を受けない限りは不変のものです。ですが、スイングは、人間が行うもので常に不確定なものです。数値化しなければ、スランプを迎えたときにその原因を探るための根拠を見失うことになります。
たとえば、パッティングが入らないからパッティングストロークに原因があると思っていても、実際にはアイアンショットの精度が下がってピンに寄らないことがパッティング数に影響しているようなケースもあります。そのような誤解は、数字をしっかりと見れば、なくすことができます。
上達が早い人は数字をしっかり見る
これをゴルフの上達に当てはめると、上達が早い人ほど数字をしっかり見ることになります。PGAツアーのように細かな分析はできないとしても、そのホールのスコアがいくつだったかということだけでなく、ティーショットがフェアウェイに飛んだかどうか、パット数は何打だったかも数字として記録しておけば、上達の糸口になります。
そして、数字をしっかり見れば見るほど、ゴルフのスコアにおけるパッティングとショートゲームの割合の多さに気づくはずですから、その打数を減らすことが上達の近道であることにたどり着きます。
教えてくれた人:稲津暢(いなつ・とおる)さん
1979年生まれ。國學院大學経済学部卒、テキサス州立大学大学院にて経営学修士(MBA)。MBA取得後にプロ宣言し、PGAツアーのマンデー予選を中心にアメリカのミニツアーに参戦。その後、国内大手コンサルティング会社に入社し、基幹業務システム導入やマーケティング戦略立案に従事。2008年、IF Business Consulting株式会社を設立。企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスを提供している。
構成/保井友秀(ゴルフライター)
稲津暢の「上達が早い人遅い人」記事一覧
(1) 能動的な発言を心懸ける編 - (2) 短期集中タイプが強い編 - (3) 長期間通うレッスンは苦手?編 - (4) 自分をレーダーチャート分析編 - (5) 歳をとってからでも上達編 - (6) 仕事と両立でどちらも伸びる編 - (7) 数字をしっかり見る編 - (8) ベストより平均にこだわれ編 - (9) 上達できる環境に飛び込む編 - (10) できない理由を並べない編