稲津暢の「ゴルフの上達が早い人遅い人」第8回~上達が早い人はベストより平均にこだわる
PGAツアーではこのところ、50台のスコアが頻繁に出るようになってきました。欧米のゴルフの研究でも、18ホールすべてでバーディを取って「54」というスコアをマークすることを目標にした取り組みが盛んになっています。
アマチュアのゴルフの目標としても、「ベストスコアを出したい」という欲求は当然あると思います。100を切れない人は90台のスコアで回ることを目指しているでしょうし、90台前半のスコアが出るようになったら、次は80台のスコアを目指すのは当然の流れです。
最大値を上げるよりも平均値を上げることが大事
ただ、ゴルフの上達に主眼を置いた場合、ベストスコアを出すことよりも、ワーストスコアを減らすことで平均値を上げることのほうが重要だと僕は思います。
プロの世界は極限状態ですから、ゾーンに入るとか、いろんな特殊環境が揃うと、ビッグスコアを出せる可能性はあります。ただ、ツアーで長年にわたって活躍している選手を見ると、ビッグスコアは出せなくても、平均スコアが安定しています。
年間30試合前後の4日間競技を戦っていく中では、結局のところ平均値の勝負になってきます。平均ストロークを上げることが、ツアーで長生きするポイントになります。
上達が早い人はベストスコアよりも平均スコアにこだわる
これをアマチュアのゴルフに当てはめると、上達が早い人は平均スコアにこだわり、上達が遅い人はベストスコアにこだわるということになります。
ベストスコアが70台であったとしても、調子が悪い時は簡単に100を超えてしまうというのであれば、上級者と見なしてもらえません。
一方で、70台のスコアはなかなか出なくても、ほとんどのラウンドで80台のスコアが出せるということであれば、周囲に一目置かれるはずです。
したがって、上達を早めたいのであれば、すべてのラウンドのスコアをしっかり記録して、平均スコアを算出することをオススメします。
そして、平均スコアを上げるためには、調子がいい時にベストスコアを狙うよりも、調子が悪い時にどうやってワーストスコアを回避できるかを考えることが重要になります。どんな悪いスコアになろうとも上がり3ホールで1打でも少なく、トラブルになっても落ち着いてフェアウェイに出してスコアメイキングに徹してほしいと思います。
教えてくれた人:稲津暢(いなつ・とおる)さん
1979年生まれ。國學院大學経済学部卒、テキサス州立大学大学院にて経営学修士(MBA)。MBA取得後にプロ宣言し、PGAツアーのマンデー予選を中心にアメリカのミニツアーに参戦。その後、国内大手コンサルティング会社に入社し、基幹業務システム導入やマーケティング戦略立案に従事。2008年、IF Business Consulting株式会社を設立。企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスを提供している。
構成/保井友秀(ゴルフライター)
稲津暢の「上達が早い人遅い人」記事一覧
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