平野茂の目指せコースデビュー!第6回~インパクトは人さし指でフェースの向きをコントロール!初心者は身体を回すより腕を振れ!
ボールを狙った方向に飛ばすには、インパクトでフェースの向きが目標方向に正しく向いていなくてはならない。アドレスで構えたときと同じようにインパクトでもフェースの向きがスクエアに戻ることがまっすぐ飛ばすための絶対要素なのだ。
――と、くれば、ダウンスイングからインパクトにかけては、いかにクラブを振り下ろしてフェースの向きをスクエアに戻すかが重要なポイントになる。
とはいえゴルフを始めたてのうちは、どのように体を回して、腕や手をどう振ればいいかがよくわからず、フェースをなかなかスクエアに戻せないものだ。
多くの初心者ゴルファーを指導してきた平野茂プロは、「最初のうちは体を回すことよりも、腕をしっかり振ることを重視してください」とアドバイスする。インパクトでフェースをスクエアに戻せるようになるポイントを教えてもらおう。
右手を左手よりに先に戻すイメージで振り遅れを防ぐ
まず、クラブを持たずにアドレスの姿勢をつくり、シャドウスイングしてみよう。
アドレスの姿勢をつくるときは右手と左手の位置を平行に保ったまま、両手の間隔を20センチほど離しておく。そして、インパクトの地点で両手を最初の位置に同時に戻せるかどうかを試してみるのだ。壁や柱を利用してもいいし、キャディバッグを立てて両手を一緒にたたいてみるのもいい。
「ほとんどの人は左手が先に戻り、右手が遅れて下りてきます。壁などをたたく音がパンパンと時間差が生じるのです。なぜそうなるかというと、ダウンスイングで左肩が早く開くためです。体を回すことばかり意識すると左肩の開きが早くなり、左手が先にゴールしてしまいます。クラブを持ってスイングするとインパクトでフェースが大きく開いてしまい、右に大きく曲がるスライスが発生します。初心者の9割が最初につまずいてしまうパターンがこれなのです」
多くの初心者はクラブを構えた位置に戻しているつもりでも、実際は右手が遅れているからクラブヘッドも遅れてしまう。そのためフェースがスクエアに戻り切らず、フェースが右を向いたままでボールをヒットすることになる。これを修正するにはダウンスイングからインパクトにかけて右手が遅れないように腕を振るしか方法はない。
「クラブを構えるとき、右手は左手よりも体から遠い位置にあります。ということは右手を左手と同じスピードで振っては、どうしても遅れてしまうのです。右手を左手よりも早くゴールさせるイメージを持ってこそ、クラブヘッドが遅れずにフェースもスクエアに戻せるようになります」
クラブを持って素振りするより、クラブを持たないでシャドウスイングを繰り返し、右手が遅れないように腕を振る感覚をマスターしよう。それだけでも曲がりのひどいスライスを簡単に解決でき、早い上達につながるという。
インパクトで両手の人さし指が目標を指すイメージを持とう
クラブを持ってボールを打つときは、まっすぐ飛ばそうとしてフェースの面を意識してしまいがちだ。フェースの向きばかりに目がいくとインパクトでボールに合わせにいったり、フェースを返そうとして手首をこねたりすることになり、スイングに悪影響を与えてしまう。
右手が左手に遅れないイメージで腕を振り下ろし、両手を同時にゴールインさせることが大事なポイントだが、方向感覚を出すには両手の人さし指を意識するとより効果的だという。
「シャドウスイングで右手と左手を同時に戻して壁にタッチする練習をするにしても、右手と左手の人さし指が同時にゴールするイメージを大切にしてください。インパクトの瞬間は、両手の人さし指が目標方向を向いている感覚です」
左手の甲をやや上に向け、右手は手のひらを左手のひらと平行に握るストロンググリップに握ることが前提となるが、こうすると両手の人さし指を目標に向けるイメージが生じる。アドレスと同様、インパクトでも両手の人さし指が同時に目標を指すように戻せば、フェース面もスクエアに戻りやすくなり、グッドショットの確率がアップするという。
フェース面を考えると動きが複雑になりそうだが、人さし指を意識すれば動きが案外シンプルになる。フェースの向きはショットの方向性に密接につながっているため、スイングの中でも最重要なポイントになる。ぜひ試してみてほしい。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロを志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ