平野茂の目指せコースデビュー!第5回~理想のトップがつくれるとっておきの方法!「本当はトップなんてない」の意味とは?!
トップとはバックスイングからダウンスイングへの折り返し地点のことで、正しくはトップオブスイングという。
スイングの折り返し地点である以上は、クラブを正しいトップの位置に上げなくては、ダウンスイングでも正しい軌道で振り下ろせないことになる。
そのためにトップのフォームやクラブを上げた位置を細かくチェックしようとするゴルファーをよく見るが、多くの初心者ゴルファーを指導してきた平野茂プロは、「トップはあってないに等しい。というより本当はトップなんてないのです」と断言する。
トップはないなんてゴルフを始めたばかりの初心者が耳にすると、ますます混乱してしまいそうだ。そのあたりをわかりやすく説明してもらうとしよう。
トップを自分でつくろうとするのは間違いだ
ツアープロや上級者のトップを見ると、クラブがいったん静止しているように見える。だが、そこに落とし穴があるのだ。
トップでクラブをいったん止めて、切り返しでクラブを振り戻すのだが、自分でトップをつくろうとしてしまうと、逆にクラブをどう下ろしていけばいいのかわからなくなる。初心者たちが最初に突き当たる壁が、トップから切り返しにかけての部分だろう。
「クラブは何でもいいから、トップとフィニッシュの間を往復させる連続素振りをしてみてください。しばらく続けていると手やクラブがトップの位置に達したとき、下半身はもうダウンスイングに入っていることがわかるでしょう。フィニッシュまで振り抜いて、そこから振り下ろすときも必ず下半身が先行します」
手やクラブがトップの位置に達したとき、上体だけを見えれば静止しているように見えても、下半身は動いている。極論すれば、全身の動きが止まったトップなんて存在しないのだ。
そう考えればトップは自然につくられるもので、自分でつくる必要がないということも理解できるだろう。
連続素振りで下半身主導の動きを覚えれば上達が早い
自分でトップをつくるということは、アドレスがいらなくなってしまうことにもなる。それなら自分が正しいと思うトップの形を最初からつくって、そこからボールを打てばいいことになってしまう。アドレスやテークバックの動きはボールを飛ばすパワーをためるためのものだから、それを無駄にしないためにも、トップで止まってはいけないのだ。
「とにかく連続素振りに取り組んでください。切り返しのタイミングとか、スムーズな動きやリズムなどを体感し、その感覚をマスターすれば初心者の人たちだって見違えるほどスイングがレベルアップしますよ。動きが止まって見えるアドレスとトップ、フィニッシュの3つをチェックしなさいといいますが、それはナンセンスです」
つまり、スイングとは「静」で覚える部分などはなくて、「動」で覚えるべきなのだ。連続素振りを日課にして、下半身主導の感覚を先にマスターしておけば、上達が驚くほどスピードアップするという。
特に初心者はトップからの切り返しで、腕や手を先に戻してしまうような間違った動きが癖にならないように留意しよう。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロを志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ