平野茂の目指せコースデビュー!第1回~上達するグリップは左手に注目!「両手の人さし指で方向を感じ取れるように握る」べし!
2021.11.11
クラブを持ったこともないまったくの初心者といっても、何か道具を振るという感覚がまったくない人は珍しいだろう。ただし、自己流で始めてしまうと上達のスピードは遅くなる可能性が高く、正しい理論に沿ってやっていくと上達は早い。
多くの初心者ゴルファーを指導してきた平野茂プロは、「グリップは体とクラブをつなぐ唯一の接点です。グリップの握り方ひとつでスイングのよし悪しが決まってしまいます」とグリップの重要性を真っ先に挙げる。正しいグリップが正しいスイングをつくるのだ。
今回は、これからゴルフを始める方や始めたものの壁に当たってしまっている人に向けて、上達が早くなるグリップをご紹介していく。
左手のナックルが2つ見えるようにストロンググリップで握る
まずグリップの握り方だが、左手親指のシャフトへの乗せ方で、次の3種類に分かれる。
・スクエアグリップ 左手親指がシャフトの真上にくるように握り、左手の甲と右手のひらが目標に正対する握り方。
・ストロンググリップ 左手親指がシャフトの真上よりも右側にくるように握り、左手の人さし指と中指のナックルが自分から見えるくらいに左手の甲をやや上に向けて、右手のひらを左手甲の向きに合わせて握る。左手の親指と人さし指の付け根のY字が右わきを指し、右手のY字も右わきを指す。
・ウイークグリップ 左手親指がシャフトの真上よりも左側にくるように握り、右手をかぶせる握り方。
これからゴルフを始める方には、断然ストロンググリップがおすすめ。現在ではストロンググリップこそがスタンダードだと力説するティーチングプロも多いくらいだ。
野球でプロ野球選手を目指したこともある平野プロによれば、「野球のバッティングフォームで、スラッガーといわれる人に共通しているのがインパクトの左手甲の向き。投手が投げてくるボールの勢いに対抗するために、最も打ち負けず、最も力が入れやすく、グリップが固定しやすい形を追求した結果、左手甲がほぼ真上を向いています。ゴルフでいうストロンググリップになりますが、ゴルフでは止まったボールを打つとはいえ、やはり、グリップはストロンググリップが最も力が入りやすく、打ち負けないのでおすすめです」
余談だが、本格的にゴルフを始めたのが20代も半ばになってからという平野プロだが、短期間で上達した秘訣は、旧来のゴルフ理論にとらわれず、野球の打撃理論や骨格や筋肉の構造からスイングを作っていたためだ。
また、右手と左手の接し方は3つある。
・オーバーラッピンググリップ 右手の小指を左手の人さし指、もしくは左手の人差し指と中指の中間に乗せる握り方。プロアマ問わず、多くのゴルファーは採用しているもっともポピュラーなグリップ
・インターロッキンググリップ 右手の小指と左手の人差し指を絡める握り方。両手の一体感に優れており、この握り方を採用しているゴルファーも多い
・ベースボールグリップ 左手親指をグリップの真上に添えるだけで、バットを持つよう左右の手を分離する握り方。両手の一体感はやや欠けるが、初心者にとっては馴染みやすい握り方といえる。「それぞれの握り方の違いはありますが、自分で試して最もクラブが振りやすいと感じられる握り方を選んでください」とのこと。
両手の人さし指で方向を感じ取れるように握るのが重要なポイント
左手をややかぶせて、右手を浅く握るストロンググリップの効用としては、左手にそれほど力を入れなくても、左手の小指、薬指、中指の3本でしっかり締めるように握ることができ、スイング中に手の中でクラブがグラグラすることなく安定感が出るということだ。
また、左手をかぶせることで、バックスイングで左腕をねじる動きをしなくてもトップで左手親指にシャフトが乗るので、シンプルなスイングになりやすい。余計な動きが排除されることで上達が早くなる。
「ストロンググリップの最大のメリットは、人差し指で方向をイメージしやすいという点です。両手を握ってから、両手の人さし指を伸ばしてみてください。左右の人さし指が目標側を指すことがわかるでしょう。この2本の向きがそろうように方向を意識することがグリップで一番大事です」
例えば、フリスビーを投げる瞬間も、人さし指が投げたい方向に向くだろう。それと同じで、両手の人さし指が地面のほうを向くような握り方では方向感覚を出しにくいという。
これからゴルフを始める人や壁に当たってしまっている人は、ぜひグリップの重要性を認識していただき、正しいグリップを身につけることで最短で上達する方法を進んでほしい。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロを志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ