平野茂の目指せコースデビュー!第7回~飛距離が格段に変わってくるフォロースルーの基本!プロとアマの差を分けるものとは?!
フォロースルーは、ボールをヒットしたあとのスイングの部分であるから、ボールの飛距離や方向性には関係ないと思ってしまう人もいるだろう。
しかしフォロースルーで正しい軌道をクラブヘッドが通っていかないと、インパクト前でヘッドの加速度が落ち、フェースの方向も狂ってしまう。
実際には、フォロースルーでクラブヘッドの加速スピードが最大となり、クラブヘッドの遠心力によってスイング弧も大きくなって、体が引っぱられるように回転する。
多くの初心者ゴルファーを指導してきた平野茂プロは、「一番アマチュアとプロで違うのがフォロースルーです」と明かす。
そのあたりのところにボールをまっすぐ、遠くまで飛ばすためのヒントがありそうだ。そこで、正しいフォロースルーをつくるためのポイントを教えてもらうとしよう。同時にグッドショットを約束するフィニッシュのつくり方も紹介していく。
フォロースルーは手を返しているようで実際は返していない
ボールをまっすぐ飛ばそうとして両腕を目標方向にどこまでもまっすぐ出そうとすると、フォロースルーで両わきが大きく開いてしまう。クラブをアウトサイドに振り出すだけでは体の回転がそこで止まってしまい、ボールにパワーが伝わらない。フォロースルーでこうした動きになるということは、インパクトの段階でフェースが開いてしまうことになるのだ。
また、ボールをつかまえようとしてインパクトで両手を急激に返すとフォロースルーでクラブを左方向に引っぱるような動きとなる。フェースがかぶって当たるため、ボールは目標よりも左に飛んでしまう。どちらにしてもショットの方向性が安定しない。
「理想的なフォロースルーがつくれているかどうかを簡単にチェックできる方法があります。クラブを左腰の高さくらいに振り抜き、シャフトが地面と平行になったところで止めてください。そして胸が目標に正対するように両足を左に90度移動します。そのままクラブを地面に下ろすと、フェースの向きがスクエアとなるようなアドレスの姿勢に戻せるのが正しいフォロースルーです」
クラブをアウトサイドに振り抜いたり、インサイド方向に低く引っぱったりしては、フォロースルーの姿勢のバランスが崩れるため、アドレスの姿勢に戻せないことがわかる。逆にいえばアドレスの姿勢から胸を左に90度回し、腕とクラブを胸と一緒に動かして、クラブを左腰の高さまで上げればフォロースルーの形がつくれてしまうのだ。
こうしてみるとフェースを意識的に返す必要がないことに気がつくし、スイング中は腕とクラブが常に体の真正面にあることも理解できる。
フィニッシュのフォームが安定すればスイング軌道も安定する
フォロースルーでクラブヘッドを加速させたら、最終的にはフィニッシュのポジションへと振り抜かれる。スイングの「終着点」であるからにはバランスよく立てるような安定したフォームをつくれるようになりたいものだ。
体をしっかりと回転させることも大事だが、トップと左右対称形のとなるようなフィニッシュをイメージするといいという。
「フィニッシュでは右ひじを、トップのときの左ひじの位置まで持ってくるつもりで体をターンさせましょう。そうすると独楽のように体を軸回転させる感覚がつかめてきます。ここで注意しなくてはいけないのは腰をオーバーターンさせないことです。腰が肩と一緒に回ってしまうと腰が引けて体重がどんどん右足に乗り、いわゆる明治の大砲になってしまいます」
体重がしっかりと左足に乗り、右ひざと右足甲が目標を指して右足が完全につま先立つのがフィニッシュの理想的なフォームだ。左足だけでも立てるような体勢というわけだが、腰がどんどん回ってしまうと結果的に左足がめくれて、このバランスが崩れてしまうという。
左足の裏で地面をしっかりつかむ感覚で左足を踏ん張れば、左足がめくれることがなく、安定したフィニッシュがつくれる。
フィニッシュがきれいに決まると、いかにもゴルフの上手な人に見える。それにスイング軌道のブレが少なくなるため、グッドショットの確率も大幅アップする。終わりよければすべてよしというわけだ。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロを志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ