極！平野茂の100切りラウンド術 第８回～フェアウェイキープ率が劇的に向上する軸の作り方
100切りを達成し、順調にレベルアップして80台のスコアで回れるようになった。ここまでいけば今度は70台のスコアを目標にさらなる上達を目指したいところだ。
ドライバーでは、フェアウェイキープ率を上げるためにショットの精度を向上させる必要がある。…と、くれば、かなり高度な技術を身につけなくてならない感じもするが、決してそうではない。
多くのゴルファーを80切りに導いてきた平野茂プロは「ドライバーの安定感のためには、スイング軸が安定し、常に崩れないことが大事です」という。
ボールに当てにいったようなスイングでフェアウェイに置けたとしても、なかなかそのようなショットは１ラウンド続かない。ミスしてもケガが小さくてすむように、スイング中に軸を崩さないことを第一に考えるのだ。
バランスを崩さないコツを教えてもらうとしよう。
ボールを見ようとしてインパクトが詰まる人が多い
ボールが飛んでいくラインと自分が立っているラインは２本のレールのようなもので、目標方向に向かってどこまでも平行に続いている。14本のクラブの長さが全部違うから、持つクラブによって線路の幅も異なる。つまり、14種類のレールがあるということだ。
14本の中で一番長いクラブはドライバーで、線路の幅が最も広い。そこに、ドライバーショットの際にバランスを崩しやすい要素が潜んでいる。
「ドライバーはボールから一番離れた場所で打つことになります。でも、ボールをよく見ようとして、あるいは真上から見ようとして、45インチくらい離れた場所から40インチくらいまで近づこうとしてしまいやすい。体が近づくことでクラブヘッドがアウトサイドから下りてきてカット軌道となる。インパクトで詰まり感が出てフォロースルーで左ひじが引けてしまうわけです」
平野プロによれば、80切りを目指すゴルファーにもこうした傾向が多く見られるそうだ。上達を実感していながら、もうひとつ殻を破れないでいるのは、スイング軸が安定しないという欠点があるのではないかと疑ってみよう。ドライバーの正確性を上げようとしてスイングの軌道を整えようとしても、肝心の軸が動いては軌道が安定しない。
軌道をよくする前に、軸の安定が大事なのだ。
バランスディスクなどを利用してバランス感覚を磨こう
両足をそろえて壁に後頭部、背中、お尻、両足かかとをつけて立ってみよう。そして、その姿勢から上体を少しずつ前傾させていく。頭がどんどん前に出て行くと、体が前によろけることがわかるだろう。
スイング中にバランスを崩してしまうのは、このように重心が前になってしまうからだ。
頭を前に出した分、お尻を後ろに下げてないと体のバランスが保てなくなる。体の前側と後ろ側の重心バランスが整っていれば、どんなときも体がフラフラしないのだ。
「プロたちの連続写真を見てください。アドレスしたときの頭のてっぺん、背中の中心、お尻の３つのポジションはインパクトでも同じ位置に保たれています。ところが80切りのゴルファーでもこの３つのポジションが動いて軸が崩れてしまうケースがとても多いのです。では、どんな練習をすればいいかというと、２つのバランスディスクに片足ずつ乗せて体がよろけないように素振りしたり、足場が不安定な場所でスイング練習したりすると効果的です」
また、クラブを持たずにアドレスの姿勢をつくり、左手を左ももの上に乗せて右手だけでシャドウスイングする練習も役に立つ。インパクトで左手がアドレスと同じように左ももの上にあれば、頭のてっぺん、背中の中心、お尻の３つのポジションがしっかり保たれていることになる。
「80を切るにはミスショットは絶対に許されない」なんて考えないことだ。たとえミスしても曲がりを小さく抑えられて、セカンドショットでグリーンの方向に打てればＯＫだ。100点満点のショットが滅多に出なくても、ドライバーショットの平均点数を70～80点くらいまで上げれば70台が自ずと見えてくる。そのためにも、スイング軸をもう一度見直してみよう。
教えてくれた人： 平野茂（ひらの・しげる）プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にＪＰＧＡ公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成／三代崇（ゴルフライター） 撮影／田辺恵理 撮影協力／フラットゴルフフィールド
