私の推しコース「ティーチングプロ・上田栄民さんに聞く」都ゴルフ倶楽部
編集部：今回のゲストは、東京、神奈川でゴルフアカデミーを7校展開されているティーチングプロの上田栄民さんです。ゴルフを始めてからプロになるまでのいきさつを聞かせていただけますか？
上田さん（以下上田）：シングルプレーヤーだった父から教わったのが最初です。10歳の時に父と練習場へ通い始めました。当時（1974年）は、まだパーシモンヘッドが主流で、小学生にはクラブが重く、手に負えなくて困りました。ゴルフのほかにも様々なスポーツをしてきましたが、その頃からゴルフが一番難しいと思っていました。その後サラリーマンも経験し、アマチュアでゴルフを楽しんできましたが、スポーツ選手になることが子供の頃からの夢でしたので、改めてプロを目指して、幸運ながら今現在に至っています。
編集部：レッスンプロのお仕事は、私たちに見えない努力があると思います。
上田：ティーチングは、もうね、国語の授業です(笑)。私たちが技術的なことを理解しているのは当たり前として、いかにその生徒さんに合わせて、その人の腑に落ちるような表現で、その人の身体が勘違いしない伝え方ができるかどうかなのです。例えば下半身の伝え方一つにとっても、数百通りあると思っています。その中からベストチョイスをするのが難しい。これは経験がモノを言うと思います。私はこれまで一万人以上教えてきましたから自信があります。
ギア情報についても知識がないといけません。生徒さんからはギアの正確な情報を尋ねられますし、メーカーさんや販売店さんからは現場でレッスンするプロの推薦を期待されていますので、情報を蓄積することも、結構大変ですね。日々勉強です。「プレーヤーは俺様であれ！ コーチはお陰様であれ！」の気持ちで頑張っています。
自分の好きなことを仕事にできているのは幸せなことですが、仕事になった分、楽しむだけではだめなので、そこにいい意味での窮屈さは感じています。ゴルフを仕事にしていると、自分のスイングの事や翌日のラウンドの事ではなく、レッスン内容や生徒さんのことばかり考えるようになります。「昨日のレッスンはあれで良かったのか？」「あの人をこの先どう導いていってあげるべきなのか」とか。
ただ、ゴルフ業界のことがよくわかる立場でいられるのは楽しいことですね。2020年に開催される東京オリンピックのゴルフ競技の会場の話題も、業界の中で見ていると興味深いものがたくさんありますから。ゴルフを仕事に出来る事は、やはり幸せだと思っています。
編集部：私達アマチュアの自主練習ではどんな工夫・考え方が必要でしょうか？
上田：ゴルフというスポーツは、球を打つスポーツではありません。クラブを振るスポーツです。こう言うと「はっ？」って言われてしまいそうですが、これを理解している人とそうでない人の間には、とても分厚い壁があります。最初のうちは言っている意味が分からないかもしれません。練習で毎回ナイスショットをしようとしている人は、もしかしたらまだ理解していないかも。いい球を打つことも大切ですが、まずは自分の理想とする、またはレッスンで習ったスイングを覚えることです。そして、そのスイングをした結果、振られたクラブが球にうまく当たるのだという過程を理解することです。
練習では、「何が正しい動きなのかを探す練習」ではなく「正しい動きを身に着ける練習」をすることが上達の近道です。耳の痛いことを言いますが、多くの場合、アマチュアの方々が考えているところに正解はないと思った方が良いです。まずはレッスンにじっくり通って正しい動きを知り、正しい道筋を教えてもらって欲しいですね。
また、最近ではたくさんの練習ツールが出てきています。中でも私のお勧めはEPSONのMトレーサーというスイング診断ツールです。クラブに装着して使うものなのですが、驚くほど正確にスイングが解析され、自分のスイングが視覚化されたものをスマートホンでチェックすることができます。私自身も使っていますし、私のスクールでは全校で利用しています。ゴルフは自分の身体の動きを目視することが難しい競技ですから、その理解を助けてくれるツールはぜひ使うべきだと思います。
それでは上田さんの「イチ推し」ゴルフ場を教えてください！
上田：山梨県の「都ゴルフ倶楽部」を推します。まず、コースコンディションが素晴らしい。フェアウェイの芝も密集していて、グリーンもメンテナンスが行き届いています。富士山にほど近いロケーションのため、グリーンの芝目が強いという特徴がこのゴルフ場にも当然あるのですが、時期によっては更に速く仕上げられていることがあります。そんな時期は私も試合のような緊張感を持ったラウンドができるので、とても充実したラウンドになります。
コースは直線的でダイナミックに攻めていけるアウトコースと、やや起伏がありショットの正確性を求められるインコース、どちらも挑戦意欲をそそります。また、アプローチ、バンカー練習場があり、バンカーの砂なども定期的に追加されるので、とても良い練習ができます。
スタッフの方々はとても親切でフレンドリー。フロントの女性は皆さん美人で、受付ではちょっと緊張します(笑)。レストランでは、何を食べてもおいしい！ これ大切です。また、宿泊も安く、部屋もとてもきれいでゆったりできます。なにより翌朝の朝食が楽しみ。大きな肉厚の焼鮭の乗った朝定食が絶品です！
教えてくれた人：上田栄民（うえだ・えいみん）さん
1964年生まれ、東京都出身。日本プロゴルフ協会ティーチングプロＡ級、日本プロゴルフ協会認定ジュニア指導員。1996年から本格的にレッスン活動を開始、2002年にエイミンゴルフアカデミーを立ち上げ、現在は屋外練習場のスクールとインドアスクールを東京、神奈川を中心に7校運営。それぞれの施設・設備に合わせたレッスンは上級者にも支持されている。また、2015年にはゴルフに特化した機能を持つおしゃれなショートソックス「golfsox36」をプロゴルファーの目線で開発し、販売を開始。ツアー参戦しているプロにも愛用者増加中。
取材・構成／キープペダリング
