極!平野茂の100切りラウンド術 第6回~コースの幅を広く使えるドローの打ち方
プロやシングルゴルファーたちは自分の持ち球を決めてコースを幅広く使って攻めている。80切りを目指す人も当然、自分の持ち球をつくることが必須だ。
多くのゴルファーを80切りに導いてきた平野茂プロは「持ち球ができてくると、打ったあとのイメージが変わります。球筋をコントロールする力もつきます」という。
ジェイソン・デイ、ジョーダン・スピースやロリー・マキロイら世界のトッププレーヤーを例にあげるまでもなく、今はドローが全盛だ。持ち球をマスターする第一歩は平野プロもドローを推奨する。距離の出るドローをマスターするのは難しいといわれるが、ドローの打ち方のヒントをいただくとしよう。
前傾角度をキープするとドローが永遠に打てない
両手で車のハンドルを持つとしよう。
ドローを打ちたいのなら、打ったあとにハンドルを左に切るように両腕を左に旋回させるのがコツだ。両ひじから先の前腕部だけを左に捻るのではなく、腕の全体を左にローテーションさせるのだ。手をこねる動きとは違うから、両ひじのところにハンドルがついているとイメージするといい。
「フィニッシュでは右ひじがターゲット方向を指し、左ひじは真下を向きます。最も大事なポイントはフォロースルーへとクラブを振り抜いたら上体を起こして、前傾角度を無理にキープしないことです。前傾角度を保とうとすると、ハンドルを左に切るのが難しくなってしまいます」
大抵のゴルファーはハンドルを左に切るような動きができず、逆に右方向に切るような動きになっているという。右ひじが下を向き、左ひじが後ろを向いてしまう人が多いわけだ。
これは球筋をコントロールする力がまだ備わっていない点もあるが、一番の要因は前傾キープに縛られていること。いつまでも前傾角度をキープしていると、ハンドルは右折のままだ。ドローを打ちたいなら前傾キープの呪縛を解こう。
球筋をコントロールする力がつくと状況対応の幅が広がる
ボールを打ったあとのハンドル操作をイメージすると、スイングの修正したいときはコースマネジメントなどにも大きく役立つ。
チーピンがよく出る人はハンドルを右に切る動きを思い描けばインパクトで両手が急激に変える悪癖を解消できるし、ラウンドしていて「今日はいつもより右に曲がるな」というときは、ハンドルを少し左に切る動きを加えると曲がりを軽減できる。
また、ボールはフェアウェイ上にあるけど、前方の木がスタイミーになってグリーンが狙いにくいケースで右からフックをかけたい場合は、ハンドルを目いっぱい左に切るイメージでスイングするといい。
「ドローを打つときもそうですが、球を左に曲げたいときは腕を先に左折させてから体を指せることが大切なポイントです。体を先に左折させてしまうと、腕が左折できなくなるから注意してください」
ハンドルを左に切ってから、背骨を起こす。このタイミングを間違えないようにしよう。
プロたちは「あっ、こすったかな」と瞬間的に感じたときは、打った後に腕を左にひねって体を起こすことがよくある。実際、そんな光景を見たことがあるだろう。「ミスしたのかな?」と思ったら、ちゃんとフェアウェイをキープしている。フィニッシュの形が決してきれいとはいえないが、本能的にアジャストすることで球筋をコントロールしているのだ。
こうした球筋をコントロールする力がつくと、飛距離の出るドローが打ちたいときに打てるようになるという。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットゴルフフィールド