極!平野茂の100切りラウンド術 第10回~アイアンでパーオン率を上げる秘訣はフィニッシュにあり
70台を出すには、パーオン率をもうワンランク上げ、グリーンまわりの罠を避けられるようになることが必須条件となる。
それにはアイアンの縦の距離感を合わせることももちろんだが、ミスしてもグリーンの幅に乗せられるようになるくらいの方向性の確保も必要になってくる。また、グリーンを狙う距離はさまざまなので、どの番手を持っても、同じスイングで打てることが必要になってくる。
多くのゴルファーを80切りに導いてきた平野茂プロは、「アイアンの精度を上げるにはフィニッシュでバランスよく立てることが決め手となります」と語る。
ボールを打ったあとのフィニッシュが同じ姿勢になれば、アドレス、インパクトなども自ずと同じスイングで打てるようになる。そのポイントを教えてもらおう。
距離をコントロールして打つショットにも求心力が欠かせない
アイアンショットは狙ったターゲットにボールを運ぶことを目的とするので、プロやシングルゴルファーたちはほとんどフルスイングをしない。
フルスイングの4分の3くらいの力感と振り幅でコントロールを重視して打っている。距離感を合わせると同時に、当然方向性もあわせている。
「あらゆるスイングで、ボールを打ったあとにクラブを引き戻す求心力を働かせることがスイングのバランスをよくする上で重要なポイントですが、アイアンにおいてが一番大事です。上級者やプロとの精度の差はその部分における差といっても過言ではありません」
クラブを放り投げるように振り抜いたら、そのままにしないで引き戻る力を働かせるのだ。クラブが遠くに行こうとする遠心力に対して拮抗する求心力を意識することで、スイング全体のバランスがよくなり、ショットがコントロールしやすくなるという。
求心力が難しければ、まずは短い距離のアプローチを9番アイアンで転がして打ってみるといい。9時から3時くらいの振り幅で打つ。プロたちは小さな振り幅でも打ったあとに必ずグリップエンドを、刀を鞘に納めるように引き戻している。この鞘の位置、つまり左腰の前に引き戻す動きが求心力というわけだ。
クラブを振り抜いた位置で止まるのがアマチュアで、鞘の位置まで戻るのがプロや上級者だ。
グリップエンドを左腰に戻すには腰のオーバーターンは禁物
フルスイングするとクラブを振り抜く勢いで求心力がたまたま働くことがあるが、振り幅を小さく抑えたハーフショットになると、80切りを目指すゴルファーもほとんどがクラブを振り抜いた位置で止めて、目標方向に押しっぱなしの体勢になっているという。
この求心力をハーフショットでもフルショットでも意図してできるようになると、アイアンの精度は格段に上がるという。
「打ったあとにクラブをパッと引き戻すようにすると、シャフトのしなりを最大限に活用することになって好結果が得られやすいのです。ボールを打ったら、グリップエンドを必ず鞘の位置に戻すことを心がけてください。フィニッシュが決まるということは、スイングのどこの部分でもバランスよく振れている証拠ですし、打ったボールもイメージどおりの高さの弾道や球筋が打てるようになります」
引き戻す力がないとクラブが進みっぱなしで、止めたい位置に止められなくなる。80切りレベルのアマチュアはパンチショットすると、インパクト付近で止めることができるが、そこからフォロースルーを足していこうとすると止められなくなる。腰の回転量が大きくなり、クラブを鞘に納めることができないのだ。
どうしてもできない人は、腰の回転量を抑えることにも注意したい。打ったあとの腰の回転角度は45度くらいを目安にするといい。結果的に放出した力に対して引き戻す力の相乗効果が得られて、スイングのバランスが一段とよくなるという。
アイアンのどの番手を握っても、一定のリズムで一定のスイングで打てるようになれば、パーオン率は自ずと上昇する。インパクトやトップに意識がいきがちだが、フィニッシュがとれることを目指せば、スイング全体のバランスもよくなっていく。
ツアープロや上級者を観察してみると、どのクラブを握っても同じスイングリズムで打てているが、求心力がコントロールできている証拠だ。ぜひ参考にしたい。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロを志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ