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極!平野茂の100切りラウンド術 第9回~飛距離を20ヤード伸ばすためのヘッドスピードアップ術

極!平野茂の100切りラウンド術 第9回~飛距離を20ヤード伸ばすためのヘッドスピードアップ術

70台を目指すレベルになると、ドライバーの飛距離はせめて240ヤードは欲しいところだ。

アプローチとパットに磨きをかけてスコアを組み立てる方法もよいが、体力がなくてもヘッドスピードを上げるコツさえつかめば誰でも簡単に10~20ヤードは飛距離を伸ばせるという。

ヘッドスピードを上げるにはシャフトのしなりを活用してスイングすることが大事であることはよく知られているが、多くのゴルファーを80切りに導いてきた平野茂プロは「クラブをビュッと振るスピードや遠心力だけでは、本当の意味での飛距離アップにはつながりません」という。

では、どうすれば飛距離を伸ばせるかをアドバイスしてもらおう。

遠心力と求心力の相互作用でヘッドスピードを上げる

マックスのヘッドスピードで振るにはインパクトからフォロースルーにかけてヘッドを最大限に加速させることが絶対条件だ。クラブで空を切る「ビュッ!」という音が左耳で聴けるようにスイングするわけだ。

クラブヘッドが目標方向に飛んでいこうとする力が遠心力だが、クラブをどんなに速く振れたとしてもクラブが目標方向に行きっ放しでは体が目標方向に流れてよろけてしまう。目標方向に働こうとする遠心力を逆側に引き戻そうとする「求心力」を働かせることが重要なポイントになる。

「ヨーヨーだって糸を伸ばしてから勢いよく戻す感覚がありますよね。糸を伸ばしたままでは上手にできません。空手の瓦割りも腕を真下に落とすスピードに勢いよく引き戻すスピードを加えるとパンチがさらに強大となります。ゴルフのスイングにもそんなイメージを植えつけて欲しいのです」

また、平野プロは雪かきの例もあげてくれた。スコップを雪の塊に入れてそのまま前に出すだけでは雪をあまり飛ばせないが、スコップを背中側に投げ飛ばすくらいまで引くと遠くに飛ばせるようになる。このようにスコップを背中側に投げ飛ばすまでがスイングであり、決してインパクトで終わりではないのだ。

左肩の高さから速く振って引き戻す練習を積もう

フィニッシュはスイングの終着点であり、「終わり良ければすべてよし」といわれるくらいに、フィニッシュがきれいに決まったかどうかでショットの成否が決まるといっても過言ではない。

体重がしっかりと左足に乗り、クラブを振り切った姿勢のままで3秒間立っていられればバランスのよいスイングを実行したといえるが、それだけではフェアウェイキープ率が上がっても、飛距離アップにはつながらない。フィニッシュまで振り切ろうとして、フィニッシュの形ばかりを意識しても効果は薄いということだ。

「ロリー・マキロイやジェイソン・デイにしても、インパクトでヘッドを前へ出す動きとフォローで引き戻す動きが見てとれます。引き戻す動きで、フィニッシュの最後の最後までスピードを上げることがとても重要です。そうすることで軸の位置がまったく変わらず、飛距離が伸びるし、方向を安定させる効果が高いのです。これを体感する練習法としては、フォロースルーの左肩くらいの高さから両ひじを素早くたたみ、フィニッシュまでできるだけ速く振って、元の位置に速く引き戻すドリルがおすすめです」

マキロイやデイはたしかにフィニッシュまで振り切った位置でクラブを静止してはいない。驚異的なスピードで振り抜いた反動でクラブと両手を胸の近くに戻している。それでいて下半身はクラブを振り抜いた姿勢のままだし、頭の位置もまったく変わっていない。
体のやわらかい人がきれいなフィニッシュをつくれるわけではなく、引き戻す力を働かせればフィニッシュが自然につくられる。

教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ

1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットゴルフフィールド

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