平野茂の100切り宣言!第3回~アイアンのミート率アップは尻に注目
グリーンに乗せるはずのショットがダフって数ヤードしか前進しない。ダフったと思ったら次はトップしてしまい、見当違いの方向に飛んでしまった…。アイアンでそうしたミスを繰り返しているとスコアを大きくロスしてしまうことになる。
ダフリでは距離が出ないし、トップは一歩間違えればグリーン奥にOBという危険性をはらんでいる。
多くのアマチュアゴルファーを100切りに導いてきた平野茂プロによれば「グリーンに乗らないとしても、グリーンの近くまで運ぶだけの技術を身につければスコアが簡単に縮まります」という。アイアンでのミスを防ぐことで100切りが現実味を帯びてくる。
ダフリやトップの原因は右足体重のインパクトにある
クラブヘッドの軌道を時計の振り子に置き換えて考えてみよう。
ドライバーショットの場合、ティアップしたボールを打つのでクラブヘッドがスイング軌道の最下点を通過し、やや上を向きかけた地点でインパクトを迎える。しかし、芝の上のボールを打つアイアンショットではボールの先にスイング軌道の最下点がなくてはならない。よくいわれるダウンブローだ。
「シーソーの上に立ってスイングするとします。プロや上級者たちはバックスイングで体重がいったん右足に乗りますから、シーソーが右に傾きます。そしてダウンスイング以降で体重を移動し、シーソーが左に傾いてからインパクトします。ところが、多くのアマチュアはシーソーが右に傾いた状態でボールを打ってしまうのです」
するとスイング軌道の最下点がボールよりも手前側となる。ダウンスイングで右肩が下がり、体の軸が右に傾くため、クラブヘッドが早く落ちてボールの手前の芝をたたいてしまうのだ。ダフった後にフェースのリーディングエッジがボールに当たればトップが生じる。結局はダフリとトップは紙一重で原因は同じであるというケースが多い。
自分から見てスイング軌道の最下点はボールよりも左側にあるという意識を強く持つことが、ダフリやトップを防ぐ一番のポイントだという。
右のお尻を浮かせた体勢でインパクトすれば絶対にダフらない
シーソーが右に傾くということは自分の体がボールから遠ざかり、左のお尻を浮かせた体勢でボールを打ってしまうことになる。そこで体重が右足に多く乗った体勢でインパクトを迎えてしまう欠点を早急に修正しよう。
平野プロに修正方法をアドバイスしてもらった。
「シーソーのイメージでいえば、ダウンスイングでシーソーを左に傾けてからボールを打つことを心がけてください。ボールの先がスイング軌道の最下点になるためには、右のお尻が左のお尻よりも高くならなくてはいけません。ダウンスイングで右のお尻を浮かせてからインパクトすれば一発で解決できますよ」
家で練習するときはクラブを持たずに、テークバックで左のお尻を浮かせて、切り返しで今度は右のお尻を浮かせて腕を振るシャドウスイングを繰り返すと効果的だ。「イチ、ニ」「イチ、ニ」と繰り返すと、お尻の連動がスムーズな体重移動を促すことを体感できる。スイングを特別に変えなくても、お尻の動きを修正するだけでダフリやトップが簡単に直り、インパクトの正確性がアップするという。
右のお尻を持ち上げるということは自分で左足下がりの状態をつくり、左足軸でスイングしやすくし、スイング軌道の最下点をボールの左側にキープすることに通じるのだ。
右のお尻を持ち上げればバランスをとろうとして頭が残りやすくなるが、インパクトで左のお尻が上がる人は頭で体重移動しようとするため、上体が突っ込んでしまう動きが加わりやすく、やはりダフリやトップの原因となる。
スムーズな体重移動はお尻のヒップアップが大きなカギを握っていることがわかれば、アイアンショットがメキメキ上達し、一気に100が切りの道が大きく切り開かれる。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成/三代崇 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ