【初心者必見】パターの打ち方の基本とは?コツや握り方をプロが解説
【初心者必見】パターの打ち方の基本とは?コツや握り方をプロが解説
ゴルフでは、ドライバーで300ヤードを飛ばす特大のショットも、わずか30cmのパットも同じ1打です。ショットの飛距離は身体能力や筋力なども大きく関係しますが、パッティングはプロゴルファーの技術をまねしやすく、距離感を身に付けることでスコアを劇的に縮めることもできます。
今回は、初心者への丁寧な指導に定評がある坂口悠菜(さかぐちゆうな)コーチに、スコアメークする上で重要なパターの打ち方の基本と練習法について教えてもらいました。
【プロフィール】坂口悠菜コーチ
岡山県出身。作陽学園高等学校ゴルフ部を経て、名古屋商科大学のゴルフ部でキャプテンを務める。現在は南秀樹プロが主宰する「3.7.3ゴルフアカデミー」(香川県)で、レッスンを中心に活動。丁寧でわかりやすいレッスンが評判の人気コーチ。
パターの打ち方の基本と考え方
パターは、グリーン上でボールを転がしてカップインする際に使用するクラブです。ドライバーやアイアンのようにボールを上げるクラブとは異なり、転がすことが目的のため、ボールがあたるフェース面には、ロフト角(傾き)がほとんどついていません。
パターの上達には、どちらかというと技術面よりは、ボールが回転するイメージや距離の感覚を養うことが重要です。
パターが得意になれば、スコアアップにつながります。自宅でも練習できるので、磨きをかけておきましょう。
パターのヘッドとネックに注目
パターには、さまざまな形状があります。プロゴルファーでも、同じパターを長く使い続ける選手もいれば、そのときの調子や目的に合わせて異なるタイプのパターを使い分ける選手もいます。パターを選ぶ際には、ヘッドとネックの形状に注目してみてください。
ヘッドの形状
パターのヘッドの形状は、大きく「ピンタイプ」「マレットタイプ」「ネオマレットタイプ」の3つに大別できます。
ピンタイプ
ピンタイプは、最もオーソドックスなパターのヘッドで、プロゴルファーの愛用率も高くなっています。フェースの開閉がしやすいので、ショットに近い感覚でストロークできるメリットがあります。
マレットタイプ
大きめのヘッドのいわゆるマレットタイプと呼ばれるパターは、アドレス時の安定感があり、構えやすいのが特徴です。また、ヘッドを機械的に真っ直ぐ動かしやすくなるので、ショートパットに安心感を持って打つことができます。
ネオマレットタイプ
ヘッドの形状がマレットタイプよりも大型になっているパターが、ネオマレットタイプです。ヘッドが重く、シャフトから重心までの距離も深いため、ヘッドの重さを感じながら真っ直ぐストロークしやすくなっています。
ネックの形状
パターのネックには、大きく「クランクネック」「ベントネック」「センターシャフト」「ショートスラントネック」の4種類があります。
クランクネック
最もスタンダードなパターのネックの形状がクランクネックです。ピンタイプのヘッドのパターに多く、フェースがシャフトの中心よりも後ろ(右側)に位置するオフセットの構造になっています。
ベントネック
パターのネック部分がほとんどなく、シャフト自体が湾曲している構造がベントネックです。大型ヘッドのパターと相性が良いため、ネオパレットタイプに多く採用されています。
センターシャフト
フェースの芯から真っすぐシャフトが装着されているネック形状のパターがセンターシャフトです。パター以外のクラブに、この形状はありません。こちらも、マレットタイプやネオパレットタイプのパターと相性が良いです。
ショートスラントネック
ネック部分の距離が短く、クランクネックとベントネックの中間に位置する形状のパターがショートスラントネックです。ネオマレットタイプのパターに多く採用されています。
自分に合ったパターを見つけるには、ストロークの軌道も大きく関係します。
しかし、初心者のうちはまだ安定しないことも多いため、最初は構えやすかったり、振りやすかったり、見た目が気に入ったりした一本を、自分のフィーリングで選ぶのがいいと思います。
パターの打ち方のポイント
パッティングが通常のショットと大きく異なる点は、体の回転を使わないこと。土台となる体を安定させてストロークすることがポイントとなります。
ここからは、パターの打ち方を「握り方とグリップの種類」「スタンス幅」「ボール位置」「体重配分」「腕の形」「振り方」の順に、右利きの方の場合を例に解説します。
握り方とグリップの種類
パターの握り方のポイントとして重要なのが、グリップを下側から支えるように握ることです。ほかのクラブでのショットと違い、パッティングでは手首の余計な動きを抑えたいので、手首の角度が鋭角にならないよう、ヘッドの重さを常に感じるように握ります。
グリップの下側からクラブを支えるように握るのがポイント。
パターのグリップは、ショットと近い感覚で握ることができる「オーバーラッピング」や「逆オーバーラッピング」のほか「クロスハンドグリップ」があります。
オーバーラッピング
オーバーラッピングは、最もスタンダードなパターの握り方です。パター以外のクラブと同じように、左手の人差し指を右手の小指あたりに被せるように握ります。
逆オーバーラッピング
逆オーバーラッピングは、右手の小指を左手の人差し指あたりに被せて握る、パターの握り方です。パッティングのストロークは、ショットに比べて手首が動きすぎないようにしなければならないため、このような握り方をします。
クロスハンドグリップ
初心者の方にはあまりおすすめしていませんが、クロスハンドグリップは手首の動きを抑えるという意味で効果的なパターの握り方です。左腕を主体としてストロークできるので、プロも多く取り入れています。
ただし、距離感などの感覚を出すには慣れや練習が必要になるため、最初はオーバーラッピングや逆オーバーラッピングの握り方をおすすめします。
スタンス幅
パッティングのスタンス幅は、基本的に肩幅よりも少し狭くするのが基本です。ただし、ショートパットの場合は振り幅が小さいので、体を安定させる意味でやや広めでも問題ありません。
一方のロングパットの場合は、スタンスが広いと振り幅に限界があり、無理に動かそうとすることで体がぶれる原因となるため、少し狭めにしておくようにします。
両足の内側の幅が、肩幅よりも少し狭くなるように構えるのがスタンス幅の基本。
ロングパットでは、スタンスが広すぎると振り幅に限界が出てしまうので注意。
また、ショートパットでもロングパットでも共通なのが、両足のつま先をハの字に開かないことです。両足のつま先を真っ直ぐにすることで、体の余計な回転を防ぐことができるだけでなく、おなかに力を入れやすくなるので、体がぶれにくくなります。
両足のつま先は真っ直ぐにして構える。つま先をハの字に開くと、体の余計な回転が生まれてしまうので注意。
ボール位置
ボール位置は、ヘッドの軌道に影響を及ぼすため、非常に重要な要素です。パッティングでは、自分の利き目によってボールをセットする位置が変わります。
ボール位置が間違っていると、ヘッドを上から入りすぎたり、下からあおるような軌道になってしまったりするため注意が必要です。しっかりボールの真横からヘッドを入れるために、まずは自身の利き目をチェックしてみましょう。
右目が利き目の方は左目の真下に、左目が利き目の方は両目の幅分だけ左にスライドさせた位置が自身のボール位置です。
利き目が右の方は左目の下の位置、利き目が左の方は、左目から両目の幅の分だけ左にスライドした位置がボール位置の基本になる。
利き目がわからないという方は、次の方法で簡単にチェックできますのでやってみてください。
アドレスした状態で、まずは両目で見ながら地面にあるボールに対して親指と人差し指で作った丸の中に入るようにセットします。頭の位置を動かさず、片目をつぶってそれぞれチェックすると、どちらかの目で見たときに指で作った丸の中からボールが外れると思います。
このとき、両目で見た最初の状態と同じ見え方(ボールが指で作った丸の中にある状態)のほうが利き目です。
スタンスした状態で、片目ずつつぶり、指で作った丸印からボールが見えるほうが利目になる。
体重配分
パッティングの際の体重配分は、少しだけ左足に荷重します。ただし、荷重しすぎると体がぶれる原因になるので注意してください。
ポイントは、左右同じバランスの体重配分で構えた後、体のポジションはそのままに左腰(尻)を少しだけ左に移動すること。これで、左足に僅かに体重がのるはずです。
体の中心で構えたまま、体重を少しだけ左側に荷重する。
体が左にのりすぎても、右に残りすぎても良いストロークはできないので注意。
腕の形
腕の形はさまざまな意見がありますが、おすすめは五角形と三角形の中間で、三角形に近いゆるい五角形です。注意してほしいのが、ひじをピンと張るような構えをすること。ひじを張ると両肩に力が入りやすくなり、スムーズなストロークができなくなります。
ゆるい五角形を作る際のポイントは、両ひじの向きです。両ひじが体の外側を向くような形は作らないよう、両ひじがおなか側を向くように意識してください。
ゆるい五角形が理想の腕の形。
両ひじが外側の向く五角形にはしない。両ひじを突っ張ってしまうと肩に力が入りやすくなる。
振り方
パターは、アドレスでできた腕の形をキープした状態でストロークすることを意識します。ストロークのポイントは、リズムです。3拍子で、アドレスで「イチ」、テークバックで「ニー」、ダウンからフォローにかけてが「サーン」という感じで、口ずさみながら練習するのも効果的です。
2拍子では、ヘッドを上げて下ろす動きが不安定になるのと、ヘッドを振る速さもバラバラになりやすいので、距離感が合わせにくくなります。ストロークのリズムが良くなると、ヘッドを振る速さも一定になり、距離感も合いやすくなるはずです。
特に、ショートパットでは、フォローでヘッドを低く出すことを意識しましょう。ヘッドが高く上がってしまう方がとても多いです。インパクトのあたり方が安定しないと、転がりの良いボールを打つことはできませんので注意してください。
イチ
ニー
サーン
最後のフォローも、ヘッドは低く出すことを意識する。
状況別・パターの距離による打ち方の基本
グリーンオンした後、ボールとカップの距離によって注意したい点があります。ショートパットとロングパット、それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
ショートパットの注意点
特にショートパットで起こりやすいのが、振り幅が左右対称にならないことです。基本は、テークバックに対してフォローも同じ振り幅にすることですが、距離が短いパットになると、オーバーすることを警戒してフォローが小さくなりがちです。
また、パッティングを打つ前に、ボールにフェース面をきっちり合わせることも忘れないようにしましょう。目標にセッティングしやすいようにアライメントデザインが入ったボールや、ラインを書き込んだボールを用いて、フェースをスクエアに合わせることを意識するのも効果的です。
ロングパットの注意点
ロングパットは振り幅が大きくなるため、大きく振っても体がぶれないよう、スタンス幅を少し狭くしておくのもおすすめです。少し上体を起こすように立ちぎみで構えると、長い距離を出しやすくなります。
ロングパットの距離感を合わせるのはなかなか難しく、経験や練習量がある程度は必要ですが、まずはイメージを作ることが大切です。カップまでの距離とラインを確認したら、「これくらいのスピードでボールが転がればカップに寄っていく」とイメージすること。そのイメージどおりにボールを転がせばいいわけです。
その際に覚えておいてほしいのが、ボールのスピードはヘッドを振る速さと同じだということ。打ちたいボールのスピードをヘッドを振る速さに反映させれば、思いどおりの距離を打ちやすくなります。
ロングパットの場合は、スタンス幅を狭くすると体が動かしやすくなる。
ヘッド振る速さとボールが転がる速さは、同じとイメージしておく。
パターを上達するための練習法
パターの練習は、パターマットを使えば自宅や庭などで手軽に行うことができます。1日5~10分程度、5~10球程度でもいいので、空いた時間に練習することで確実にレベルアップが可能です。
ロングパットの練習法
距離感が合わせにくいロングパットで効果的な練習法は、ターゲットを見たまま打つ練習です。体が自然に反応してくれるので、距離感を合わせることができます。
よく、ゴミをゴミ箱に投げるような感覚と言われますが、ボールを見ずにターゲットを見ながら打つことは、感覚を磨くのに効果的な練習法です。
ショートパットの練習法
ボールの先50cmくらいに目標を作って、とにかくそこにボールを通す練習をしましょう。パターを真っ直ぐに打ち出す練習にもなりますし、正しくヘッドをセットする練習にもなります。
パッティング上達のポイントは、いかに打ち出しを正確にできるか。この練習であれば、自宅の絨毯の上でもできるので、ぜひ取り組んでみてください。
パターの基本の打ち方をマスターして、レベルアップしよう
パッティングは、プレーの前に少し練習するだけという方も少なくありませんが、普段から練習すれば必ず結果につながります。スコアを大きく縮め、そして比較的楽にレベルアップできるのがパターです。
なお、よくパッティングの距離感の合わせ方に関して、「振り幅で合わせるのか」「感覚が良いのか」と質問されることがありますが、初心者のうちは振り幅で覚えるのがおすすめだと思います。ただし、3mはこれくらい、5mはこれくらいと決めるのではなく、プレーするその日の朝のグリーンで練習をした上で、振り幅と距離の目安を作るようにしましょう。
グリーンの速さは、コースや季節によっても変わりますので、当日のコースの状況によって柔軟に考えることもパッティングでは重要です。
とにかくパターは、練習をすれば、プロレベルになることも夢ではありません。今回の基本の打ち方を参考に、自宅でぜひパター練習に取り組んでみてくださいね。
※本記事は2024年12月時点の情報です。