極!平野茂の100切りラウンド術 第5回~グリップを緩めなければカップに入る!
80の壁を突破する最後の決め手は何といってもパットだ。
スコアの約4割をパットが占めるといわれるほどで、80切りを目指す人は1ラウンドで30パット以内にまとめることが目標となる。1メートルにも満たない短いパットを外してしまったがために、その1打が80切りを拒んでしまうことにもなりかねない。
多くのゴルファーを80切りに導いてきた平野茂プロは「パットが入らなくなるときは、大抵はグリップが緩んでいます」と明かす。
ショートパットの上達のコツは、意外にも基本中の基本的なことのように感じるが、1打に泣かないためにもグリップが緩んでしまうミスを防ぐ方法を、練習法と合わせて伝授いただこう。
パットの連続素振りで適切な握り圧を把握しよう
長いパットをカップの近くに寄せたいのはもちろんだが、最も警戒すべきなのはショートパットのミスだ。パーオン率が50%まで上げられたとしても、半分は外すわけで、寄せワンでいかにパーを拾うかが大事になる。アプローチでうまく寄せられたとしても、最後は短い距離を入れ続ける必要がある。
入って当たり前と思えるショートパットを一度外してしまうと、次のホールでも不安が先行して負のスパイラルに陥りやすい。
10メートルもの長いパットの場合は、転がす距離を長くしようとしてインパクトでパンチが入ることがよくあるが、1~2メートル以内のパットは「入れたい」気持ちが先行して、インパクトでグリップが緩みやすい。フェースが開いたり手首が折れたりしてフェースがかぶったりしてフェースの芯を外してしまい、ボールがまっすぐ転がらない。
「グリップが緩まないようにするには、最初に構えたときのグリッププレッシャーをストローク中も絶対に変えないことです。その感覚をつかむには、連続素振りが有効です。ボールの真後ろからカップやラインを見るときに、パターを連続して振るのです。実際にやってみるとよくわかりますが、グリップが緩むと連続素振りができません」
このように連続素振りでのグリッププレッシャーを常に感じておき、ストローク中も素振りと同じ握り圧でパターを振ることを心がけよう。フェースの芯に当たる確率がアップし、確実にカップインできる。
パターを振るスピードは転がしたい距離に応じて変化をつけるといい。ロングパットならボールの初速が速いから速めのテンポ、ショートパットは小さい振り幅でゆっくりめのスピードが適しているといえる。
打ち終えたらパターヘッドを少し引き戻す感覚
また、連続素振りをするとフォロースルーでパターヘッドがカップ側に行こうとする遠心力に対して引き戻そうとする求心力も一緒に感じ取れる。結果的に転がしたい距離に適応した振り幅でストロークしやすくなるという利点もあるのだ。球離れを早くしてあげる感覚だが、そうすることで小さめのストロークでもボールがスムーズに転がっていく。
「1センチか2センチだけでも構いませんから、ヘッドを少し戻してあげる意識を持ってください。フォロースルーでヘッドを出していくだけでは頭も一緒に動いてしまいやすいのですが、少しヘッドを引き戻すと頭が動かなくなります」
体の軸のブレがなくなるから、フェースの芯に当てやすいというのだ。フェース面でボールをカップのほうに運ぼうとするのはミスに直結する。ボールを押し込もうとするとストロークの振り幅が大きくなるし、ストロークの軌道も揺れやすい。それだけフェースの芯も外してしまいやすくなる。
その点、連続素振りの感覚を取り入れたストロークなら振り幅が大きくなりすぎることもなく、グリップを最後まで緩めずに正確にインパクトできる。早速試してみよう。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学時代は東京六大学野球で2年生からレギュラーとして活躍しプロを志す。野球を極めた独自の視点で編み出したスイング理論で、短期間でゴルフも上達し、2007年プロ入会を果たす。現在、東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、「飛ぶようになった」「体の使い方が初めてわかった」と多くのアマチュアを短期間で上達させることに成功している。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ