QP関雅史の「100をつかむアプローチテクニック」第6回~ファーストバウンドはどこに落とす?適したクラブは?
第6回 ワンクッション、どこでさせる?
アプローチでは、ファーストバウンドをどこに落とすかというジャッジメントが大切です。
距離を合わせるためには、キャリーでどこまで飛ばして、さらにそこからどれだけ転がるかを計算します。しかも、同じ状況は二度とないため、単純な距離だけではなく、ライの状況、グリーンまでの距離、ピンの位置、グリーン手前の状況、グリーンの硬さと速さなど、さまざまな条件を加味してその都度判断しなければならず、それによって使うクラブも変わってきます。
ファーストバウンドをさせる場所で使うクラブが決まる
例えば、下り傾斜のグリーンに落とす場合。
上手な人はグリーン手前のラフでワンクッションさせて球の勢いを殺して止めるというテクニックも使います。しかし、一般レベルのアマチュアの場合は、ファーストバウンドはグリーン面に落とすのが鉄則です。
その理由は、着地した後の転がりがある程度読めるからです。ラフにぶつけてもラフの状態や落ちた場所によって、どれくらいボールのスピードが落ちるのか正確には予測できません。下手をすればグリーンに届かず、難しいアプローチが残って大叩きする可能性もあります。
とりあえずグリーンにのせることができれば、あとは2パットか3パットで上がることができます。スコアメイクのためには、成功の確率の低いスーパーリカバリーをねらうよりも、あくまでグリーン面に落として寄せる安全策を模索すべきでしょう。
エッジから2、3歩の距離に落とせば距離感を合わせやすい
では、ファーストバウンドのねらいめはどこでしょう。一番やさしいのはエッジから2歩目か3歩目あたりです。あまりグリーンの際をねらうと届かずにラフで止まってしまうリスクがありますが、エッジから2~3歩のあたりならそれほどプレッシャーを受けることなく打っていくことができます。また、ある程度手前に低く打っていくことで落ちてからのラインや転がりもイメージしやすいはずです。
ファーストバウンドを落とす場所を2~3歩目と決めておけば、使うクラブも自ずと決まってきます。たとえば、ピンが近いときはロフトの大きなサンドウェッジで高い球を打って止めるイメージが湧くでしょう。逆に、ピンが遠い時はロフトが立っているアプローチウェッジなどで低めに打って転がして行く方がイメージしやすくなります。
ファーストバウンドを毎回どこに落とすかで悩むよりも、ある程度ねらい場所をしぼっておいて、その時に適したクラブを持てるようにする方が、状況判断のミスも打ち方のミスも減らせると思います。
教えてくれた人:関 雅史(せき・まさし)プロ
関雅史プロ
1974年9月28日生まれ、PGA公認A級インストラクターとクラブフィッターの二足のわらじを履く異色プロ。これまで指導したゴルファーは延べ1万人以上、クラブフィッティングは3000人以上。東京都北区でゴルフスタジオ『ゴルフフィールズ』を主宰する傍ら、雑誌・テレビ等メディアでも活躍中。ニックネームはQP。
構成/吉田宏昭(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀人 撮影協力/ゴルフフィールズ