平野茂の100切り宣言!第5回~スライスの曲がり幅を少なくしてOBを減らそう
「100切り」はゴルファーの多くが最初につき当たる大きな壁だ。
99と100の間には単なる1打以上の大きな溝があるが、コンスタントに100を切れるようになるためには、どんなことを克服していけばいいかを、多くのアマチュアゴルファーを100切りへ導いてきた平野茂プロに訊くと、「ラウンド全体に関わってくるのが、まずドライバーのスライスの曲がり幅を軽減させること。これができるようになればOBが減ってきて、ティーショットを第2打が打てる場所に置けるようになり、平均スコアがグンとよくなる」という。
その改善方法を語ってもらった。
スライスが出てしまうのは体を回そうとしすぎるから
100切りを達成するにはダブルボギー以上たたくホールを4~5ホールまで減らし、ほかをボギー以下に収める必要がある。
とするとティーショットのOBは致命的だ。ホールが狭いなどOBを打ってしまう要素は様々だが、100切りゴルファーの場合、ドライバーのスライスの曲がり幅が大きいのが一番の要因といえる。
平野茂プロも最初に克服する課題として、スライスの矯正、もしくはスライスの曲がり幅を少なくすることを挙げた。OBが減るのはもちろん、林に打ち込んでそこから出すだけで1打を損してしまうこともグンと減る。
では、その克服方法を教えていただくこととしよう。
「スライスが出るのはインパクトでフェースが開いてしまうのが原因です。なぜそうなるかというと体を回すことに意識がいって、体の回転よりもクラブヘッドが遅れて下りてくるからです。本当はクラブヘッドの遠心力を使ってスイングすることが大事なのですが、遠心力を感じる前に体をどんどん回そうとするからフェースが開いて当たるのです」
スライスが発生するスイングの傾向はわかった。ではどうすれば直すことができるのか?
平野プロに、誰でも簡単にできるドリルを教えてもらおう。
「まず、クラブを持たずにアドレスの姿勢をつくり、両手の間隔を縦に30センチほど広げます。そして、バックスイングし、両手を元の位置へと振り下ろします。すると、ほとんどの人は左手が先に戻ってしまうことでしょう。両手の左側にキャディバッグを立ててもいいし、両手を壁に当てた体勢から同じ要領で腕を振ってもかまいません」
この方法でインパクトの地点で両手が同時に戻る人はボールをまっすぐ飛ばせるという。しかし、左手が先に戻り、右手が遅れて「タンタン」と二段階の音が出てしまうようでは両手を戻す動きにタイミングのズレが生じていることになり、ドライバーで打った際には曲がりの大きなスライスが発生する。
それでは、右手のタイミングが遅れないようにするコツは何だろうか。
体幹をゆっくり回せば両手を戻すタイミングが合ってくる
クラブを構える姿勢は左手が体の近くにあり、右手は左手よりも体から離れた位置でグリップする。
「これを陸上のトラック競技に例えれば体に近いほうの左手はコーナーに近い第1コースの走者であり、右手は第2コースの走者、そしてシャフトが一番長いドライバーの場合、クラブヘッドはコーナーから最も遠い第8コースの走者となります。体から一番遠いクラブヘッドが遅れないようにするには、左手よりも右手のほうを先に元の位置に戻して上げる意識が必要です。そのくらいの気持ちがないと、両手を元に戻すタイミングが合いません。極論すれば体を回している暇などないのです」
左手が先に戻ると右手が遅れて、第8コースの走者であるクラブヘッドはどんどん遅れてインパクトでクラブフェースが大きく開いてしまうことになる。
小学生の運動会で台風の目といって、4人くらいの子供が横に並んで棒を横に持ち、ポールのまわりをぐるぐる回る種目があるが、ポールを回るとき内側の子供の動きはゆっくりで、外側の子供は速く動く。そうしないと4人の動きがそろわないからだ。
プロたちのスイングもそれと同じ理屈で、体幹の動きはゆっくりでもクラブヘッドは驚くほどのスピードで動いていることがよくわかる。両手を離してシャドウスイングを繰り返し、左手よりも右手を先に戻す動きのマスターにつとめよう。
体を回そうとするほど右手が左よりも遅れてしまうことがわかれば、スライスの曲がり幅が小さくなり、OBの憂き目を見なくなるはずだ。これで100切りへ大きな前進となる。
構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。