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平野茂の100切り宣言!第10回~ビハインド・ボールの呪縛を解けばダフリはもう出ない

平野茂の100切り宣言!第10回~ビハインド・ボールの呪縛を解けばダフリはもう出ない

ティショットで折角フェアウエイをキープしたのに、アイアンで打ったセカンドショットが大ダフリ。ひどいときにはザックリしてしまい、ボールが4~5ヤード転がっただけということもある。100切りゴルファーにそんな悩みを抱えている人が多いと聞く。

ボールの手前をダフってしまうのはダウンスイングでクラブヘッドが早く落ちるために、スイング軌道の最下点がボールよりも手前になるからだ。正確なアイアンショットを打つにはスイング軌道の最下点はボールの先にならなくてはいけない。頭ではそれが分かっていながら実行できないのは、自分なりのチェックポイントが大きく邪魔していることが考えられる。

多くのゴルファーを100切りに導いてきた平野茂プロは、その典型が「ビハインド・ボール」だと明かす。

頭をボールの右にキープすれば良いわけではない

「ビハインド・ボール」は、ゴルファーなら誰でも耳にしたことのあるレッスン用語で、いわばゴルフの常識だ。正確には「ヘッド・ビハインド・ザ・ボール」といわれており、インパクトで頭をボールよりも右側にキープしておくという意味だが、これを真に受けるとアイアンの上達を阻害することになるので注意が必要となる。

頭をボールよりも右側にキープしておこうとすると、ダウンスイングからインパクトにかけて体重を左足に移動するのが難しくなる。結果的に左のお尻が浮いて、右足体重のインパクトになってしまう。そのためにスイング軌道の最下点がボールよりも手前となり、ダフリが生じるのだ。

「少年の頃にメンコで遊んだ経験があるでしょう。相手のメンコを裏返しにするには、相手のメンコの右側を叩きますよね。当然、目線もメンコの右側に注ぎますが、自分の頭の位置はどこにあるかを考えてみてください。相手のメンコを取ってやろうと強く叩こうとするほど、メンコよりも頭が左にあることが分かるはずです」

ゴルフの上達にはスイングの軸を一定に保つことが重要なポイントであるから、ビハインド・ボールも基本の一つだ。

しかし「頭がボールよりも右にあればいい」と単純に考えるのは早計だ。インパクトで左のお尻が浮いても、頭さえボールの右側にキープしていれば正しいスイングができていると思い込んで、右脚の上で一生懸命体を回し続けることになる。いつまでも左足への体重移動ができず、アイアンのダフリ病から抜けきれない悪循環に陥ってしまう。

ビハインド・ボールを一度忘れて、平野プロが教えてくれたようにメンコのイメージでスイングしてみると有効だ。

目線のキープが本当のビハインド・ボール

メンコのイメージならインパクトで自分の体がボールを追い越していいことになる。体重が左足に移動し、左脚の上で体を回転させる感覚が生まれる。自分の体の軸が左足の前に来てこそ、相手のメンコの右側を強く叩けるという理屈だが、すごく矛盾しているような気もする…。

「実は、これが本当のビハインド・ボールなのです。頭がメンコよりも左側に出ていても、メンコの右側を見ていればビハインド・ボールとなります。ヘッドを頭ではなくて、目線と置き換えて考えれば正しい動きを理解しやすいでしょう」

自分の体をメンコよりも右側にキープすることをビハインド・ボールと考えると、確かに動きが不自然になってしまう。頭がメンコの右にあっても、目線がメンコの左側に注がれるとヘッドアップという現象が起こる。結局のところ、頭がメンコよりも右にあっても本当の意味でのビハインド・ボールとはならないのだ。

これをゴルフのスイングに置き換えて考えるといい。本当は体重が左足に乗り、左の股関節の上で体を回転させて頭を残しておくことが大切だ。

しかしながらインパクトで左のお尻が浮いてダフリを多発させているうちは、メンコのイメージでスイングして悪癖を断とう。頭がボールを追い越しても、体重を左足に移動し、ボールの右側をしっかり見るのだ。そうすればインパクトでアゴが上がらず、頭がしっかり残った体勢がつくられて、ボールを正確にとらえられるという。早速試してみよう。

教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ

1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。

構成/三代崇(ゴルフライター) 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ

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