平野茂の100切り宣言!第8回~バンカーから一発で脱出できるバンスの使い方
100切りを目指すゴルファーたちが特に苦手とするバンカーショット。「あのバンカーの大たたきさえなければ…」と嘆くくらいバンカーから一回で出せない人が多い。
クラブヘッドを上から鋭角に打ち込んで大ダフリ。ボールを上げようとして今度はフェースの刃がボールに直接当たって、低い角度で飛び出し、バンカーのアゴの手前の砂に刺さってしまい、完全にパニック状態。
そんな失敗の体験からバンカー恐怖症に陥って、ますますバンカーが嫌いになってしまう…と、100の壁をなかなか突破できない。
多くのゴルファーを100切りに導いてきた平野茂プロは、バンカーから1回で出せるようになるキーワードは「バンスを使うこと」にあると説明する。バンスって何?というゴルファーのためにわかりやすく教えてもらった。
バンスを使うにはフェースを開いて構えることが大前提
バンカーショットではサンドウェッジを使うのが基本だ。
サンドウェッジのクラブヘッドの底を見るとほかのクラブに比べてソールが厚くて、少し出っ張っている部分があることがわかる。この出っ張りの部分をバンスという。
バンカーショットの場合、ボールを直接打たずに、ボールの少し手前からクラブヘッドを入れて、ボールをまわりの砂ごとピンの方向に飛ばすことで脱出させる。しかし、フェースをスクエアにセットしたり、フェースをかぶせたりするとインパクトでリーディングエッジ(フェースの刃の部分)から入り、砂の深くまでもぐってしまうことになる。砂を多く取りすぎてインパクトが詰まり、フォロースルーが満足に取れない。そのため、キャリーが十分に出ず、脱出に失敗してしまうのだ。
「バンスを使うにはフェースを開くことが絶対条件です。フェースを開けばインパクトでリーディングエッジよりもバンスが先に砂に着地します。そうすればソールの部分が砂の中を滑っていき、クラブヘッドがスムーズに振り切れます。ボールのまわりの砂をピンの方向に飛ばすことができ、キャリーも十分に出ます」
ただし、フェースを開く手順を間違えないようにしよう。
通常のショットと同じように構えてから両腕を自分から見て右側にひねってフェースを開いては、インパクトで両腕を左にひねり戻すことになり、フェースの刃から砂にもぐってしまい、脱出失敗結果の憂き目を見る。先にフェース面をピンの右側に向けるようにして開き、それから左手、右手の順でグリップを握り直すことだ。そして、開いた分だけオープンスタンスで構えよう。
トゥを上げてハンドダウンに構えればピンのほうに飛ばせる
フェースの開き方はわかった。
でも、フェースの面がピンの右を向いていてはボールだって右に飛んでしまいそうな気がするが…。
「そのとおりです。フェースを開けばバンスが使えるようになり、一発脱出の成功率は相当アップしますが、それだけではまだ足りません。ピンの方向にきちんと飛ばすには、両手の位置を少し下げてハンドダウンに構えるのがポイントです。クラブヘッドのトゥ側が上げることでフェースの面がピンのほうを向きますから、あとはそのままスイングするだけでオーケーです」
ツマ先上がりの傾斜地からのショットを例にあげて説明しよう。両足よりもボールの位置が高い場所で構えると平地と比べてクラブヘッドのトゥが上がるため、フェース面を目標方向に向けたつもりでも、実際には目標の左を向くことになる。バンカーショットではこの原理を応用するというわけだ。
フェースの面に磁石付きの棒をつけて試してみるとよくわかる。フェースを開いたままでは棒が右を向くが、ハンドダウンに構えてトゥ側を上げると棒がまっすぐ向く。どのくらいハンドダウンに構えればよいかも、自分で確認できる。また、ハンドダウンに構えることでバンスがより使いやすく、バンカーショットが簡単に打てるようになるという。
一発で脱出できるコツがつかめたら自信もついて、バンカーでの大たたきもなくなるはずだ。
教えてくれた人: 平野茂(ひらの・しげる)プロ
1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にJPGA公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成/三代崇 撮影/田辺恵理 撮影協力/フラットフィールドゴルフ