【初心者必見】バンカーの基本の打ち方と練習法をプロが解説

【初心者必見】バンカーの基本の打ち方と練習法をプロが解説
ゴルフ初心者にとって、バンカーはまさに難関です。バンカーからなかなか脱出できず、何打もかかって心が折れてしまった経験は、誰しもあるのではないでしょうか。
バンカーは、コース設計者の意図や戦略に合わせて設置されており、状況に応じた攻略法やショット技術が求められます。
そこで今回は、グリーン周りのバンカーショット、いわゆるガードバンカーからの基本的な打ち方と練習法について、坂口プロに指南してもらいました。
※この記事では、右利きのゴルファーの場合で解説しています。
【プロフィール】坂口悠菜プロ
岡山県出身。作陽高等学校ゴルフ部卒業後、名古屋商科大学ゴルフ部でキャプテンを務める。現在は南秀樹プロが主宰する3.7.3ゴルフアカデミー(香川県)でレッスンを中心に活動。丁寧でわかりやすいレッスンが評判の人気コーチ。
バンカーショットの基本ルール
ゴルフコースのハザード(意図的に設計された障害物)のひとつであるバンカーは、フェアウェイの横や途中に設置されている「フェアウェイバンカー」と、グリーン周りに配置されている「ガードバンカー」の大きく2種類があります。
ガードバンカーはボールを高く上げる技術が必要となり、難度が高くなるため、手こずってしまう初心者も多いかもしれません。バンカーから打つ際のクラブは、砂に潜りすぎず、砂を滑るようにしてボールを打ち出しやすくなる構造の、サンドウェッジ(SW)を選択することが一般的です。
なお、バンカーにおけるプレーには、いくつか特有のルールがあります。バンカー内では、アドレス時やスイング前にクラブを砂にふれさせることは原則禁止です。素振りや練習スイングで砂にふれることもルール違反となり、2打罰が科されます。
また、バンカー内に落ち葉や小石など(ルースインペディメント)があった場合は取り除くことができますが、その際にボールが動いた場合は1打罰です。
バンカーショット後は、マナーとして使用した部分をレーキなどでならし、整えることを忘れないようにしましょう。
バンカーショットの基本のセットアップ
バンカーショットは通常の芝の上から打つショットとは異なり、ボールではなく砂を打つショットになります。
「なぜボールをクリーンに打たないの?」という質問をよく受けますが、その理由は、砂のやわらかさにあります。芝と違ってやわらかい砂の場合、クラブのヘッドはボールの下に潜りやすくなるため、クリーンに打つこと自体が難しく、ミスにつながる確率が高くなるのです。
そのため、バンカーショットはクラブで砂ごとボールを飛ばしたほうが確実に脱出でき、距離感も合わせやすくなります。これがいわゆる、エクスプロージョンショットです。
なお、初心者の方は、砂ごと打つ感覚がどうしてもイメージしにくいかもしれません。その点を含めて、バンカーショットの基本のセットアップについて解説していきましょう。
グリップは上から握る
バンカーでのグリップの握り方ですが、左手から握って右手をセットします。このとき、左手も右手もグリップに対して上から手をかぶせるように握ってください。クラブのヘッドを上から下の、縦の動きにスイングしやすくなるためです。
下からグリップを握ってしまうとヘッドが下から入りすぎてダフってしまったり、あおり打ちになったりしてトップのミスが出やすくなってしまうので注意しましょう。
ただし、グリップを上から握ると、体とクラブの関係性を変えずに振れるメリットがある一方で、手首の形がロックされるため、腕に力が入りやすくなるデメリットもあります。そのため、手首やひじの力感は、緩めておいてください。クラブを浮かせて持った状態で、グルグルとヘッドを回せるような力感が理想です。
バンカーの場合、ヘッドを地面(砂)から浮かせた状態でグリップを握ります。通常は、ヘッドを地面(芝)に置いた状態でグリップを作る方が多いと思いますが、バンカーではペナルティになってしまうため、日頃の練習場などでもヘッドを浮かせてグリップを作る練習をすることがおすすめです。
フェースは少し開くだけで十分
「バンカーショットはクラブのフェースを開く」と教えられることが多いと思います。これは、フェースをいつもより、ボールを打つ方向に対して右に向けた状態にすること。通常は目標に対してフェースは真っすぐ直角になっている状態(スクエア)にしますが、その面が右を向くことでロフト角が増え、ボールが高く上がりやすくなるからです。
しかし、実は極端に開いて打つのは、バンカーの縁が大きくせり上がっていたり(アゴが高い)、グリーンの下り傾斜にカップの位置があったりするなど、特殊な状況のみです。
技術的にも難しくなりますので、サンドウェッジの場合、フェースを極端に開かなくても、通常のアゴの高さであれば十分にボールの高さを出すことができます。初心者のうちは、フェースは少し開く程度でセットアップしましょう。
スタンス幅は肩幅が目安
スタンス幅に関しては、距離にもよりますが基本的に肩幅より少し広めにセットします。スタンスをセットする際に行ってほしいのが、砂の上で足をぐりぐりして足場を固めることです。
やわらかい砂の上では足が滑りやすくなってしまうので、できるだけ安定させておくことが重要です。
ひざは深めに曲げて重心を下げる
バンカーショットでスタンスを広めにする理由は、重心を下げるためでもあります。このとき、ひざをやや深めに曲げるようにしましょう。
体重配分でいうと、ややかかと寄りになるイメージです。左ひざの角度をキープしたままフィニッシュまで持っていくことを意識してください。
両ひざを落として重心を下げる。特に左ひざは、アドレス時の角度をキープしたまま振り切る。
ひざが伸びていると重心が高くなり、クラブを上から下に振り下ろしにくくなる。
左ひざの角度をキープしたままフィニッシュまで振り抜く。
体重配分は左足7に対して右足3の割合で
バンカーショットにおける体重配分は、左足に7割が基本です。バンカーショットでボールを高く上げよう(バンカーから出そう)とすると、無意識に右足に体重がかかりやすくなります。しかし、この状態ではヘッドを上から入れられない、つまりヘッドが下りてくる途中(最下点の前)でボールをとらえられなくなってしまいます。
エクスプロージョンは爆発という意味があり、ヘッドを上から入れない限りは爆発させる(ボールといっしょに砂を飛ばす)ことができません。そのため、体重配分はアドレスの段階で7対3にセットして、スイング中もその体重配分をキープするよう、意識しましょう。
体重配分は左足7に対して右足3のイメージ。
ボールを上げる意識が無意識に強くなってしまうと、右足体重になりやすくなるので注意。
バンカーショットを打つ際のポイント
バンカーショットのセットアップが完成したら、次は打ち方について見ていきましょう。ここでは、バンカーショットを打つ際のポイントについて解説します。
勇気を持ってダフらせる
バンカーでは、ボールの手前の砂を薄く取るイメージで打つのが基本です。うまくダフれない方は、ボールを見ながら振っている可能性があります。
ショット時に見るのはボールではなく、ヘッドを落とす位置です。ボールの手前の砂を見ながらスイングするようにしましょう。
飛距離は通常のショットの半分が目安
バンカーショットで難しいのは距離感です。私の場合、通常のサンドウェッジのフルショットが約60ヤード、エクスプロージョンショットでは約30ヤードの距離となります。
エクスプロージョンショットでは、スタンス幅が広めで通常のフルショットよりは小さめのスリークオーター(フルショットの4分の3程度の振り幅)になりますが、それでも約半分の距離しか飛ばせません。そのことを頭に入れておかないと、スイングが緩む(本来のスイングスピードとは異なり、手元が緩んでボールに力を込めて打てない)原因になります。
緩みながらダフると距離はまったく出せません。自身のサンドウェッジのフルショットの距離をしっかり把握した上で、バンカーショットの距離感をつかむようにしてください。
打ち込んで終わりではなく振り切る
バンカーでは、ボールに対して上から下にヘッドを下ろしますが、最後まで振り切ることが重要です。ボールを砂ごと運び出すイメージで、しっかりフィニッシュをとってください。
砂をうまく爆発させられない方は、打ち込んで終わりになっている可能性が高いといえます。
バンカーショットは下半身をどっしりと安定させてスイングするため、上半身が主体になります。よく「手打ちでもいいですか?」と聞かれることがありますが、手先の動きだけに頼るのは間違いです。グリップの握り方でも説明しましたが、手首やひじをリラックスさせた状態で、上半身は積極的に回転するように意識しましょう。
テークバックで胸をしっかり開き、フォローではターゲット方向におへそを向けていきます。下半身は安定させますが、あくまでも回転運動が基本です。
バンカーショットの練習法
砂から打てる環境があれば、2本のラインを引いて、自分から見て右のラインにヘッドを落とし、左のラインから振り抜くイメージで砂を取る練習が効果的です。砂を取る感覚を、体で覚えることが重要です。
バンカー練習場のような環境がない場合は、練習マットに2本のテープなどを貼ることで、同じように練習できます。その場合は周囲にテープが飛んでしまわないように、十分注意してください。
バンカーショットをマスターし、スコアアップにつなげよう
バンカーショットの成功の秘訣は、正しいセットアップとスイングの思い切りの良さです。思い切りの良さといっても力いっぱい振るという意味ではなく、しっかり振り切ってフィニッシュをとるということ。どれだけパワーがあっても、セットアップと振り方を間違えていると、ピンに寄せるどころか脱出すら難しくなります。
ただし、バンカーショットは、なかなか練習ができないことも多いでしょう。特に、初心者の方は砂を飛ばす感覚を身に付けることが重要なので、ラウンドはバンカー練習場があるコースを選ぶなどして、練習を重ねるようにしてください。
スクールに通っている方なら、ラウンドレッスンに参加してみるのもおすすめです。基本を忠実に守り、バンカーの苦手意識をなくしてスコアアップにつなげてくださいね。
協力/志度カントリークラブ