中井学の「ゴルフ・フィジカルを鍛える」第1回~スイングに効果のあるウォーミングアップをしよう
練習前、あるいはラウンドをする前に、みなさんはウォーミングアップをすると思いますが、ただ何となくカラダをほぐすのではなく、スイングでカラダのどの部分を動かすのかを知ったうえで、そこを集中してほぐす方が効率的です。
また、スコアアップのためにも、やはり普段の練習からフィジカルトレーニングを取り入れておきたいものです。
そこでここからは、練習場でもできる手軽なエクササイズメニューを紹介します。
(1) 柔軟性を高める
(2) 体幹力を鍛える
(3) 持久力を高める
(4) ケガを防止する
これらはどれもゴルフスイングの動きに大切な項目です。ショットの練習と合わせて、ぜひ取り入れてみてください。
柔軟性を高める
ゴルフスイングにおけるカラダの動き、上半身で重要なもののひとつが、肩甲骨の柔軟性です。肩まわりの筋肉がしっかり動かないと、スイングは中途半端なものになってしまいます。スイング中にカラダが柔軟に動いているからこそ、クラブが正しく振れるわけです。
ウォーミングアップの時、体を動かさず、筋だけを伸ばそうとする人がいます。これはアイソメトリックトレーニングといい、筋肉の長さを変えないトレーニング法なので、一般的に静的なトレーニングと呼ばれています。それをすること自体は間違っていませんが、ゴルフスイングの動きとして考えると、ほとんど意味がないので、なるべくやらない方がいいでしょう。
これに対して、ゴルフの動きに必要なのは、筋肉を伸縮させながら反復動作を行うアイソトニックトレーニング(動的トレーニング)なのです。
筋肉を動かす中で、柔軟性を高めることを知っておいてください。
■ 肩甲骨の筋肉を動かす
ゴルフスイングは手を上下方向に動かすのではなく(写真A)、手を横方向に動かすので(写真B)、肩甲骨も横方向に動かすことに重点を置きます。
まずは、左右ともに手を横に伸ばし、親指を回せるところまで内側に回転、次は反対に外側に回転させます。
これを数回繰り返します。
手のひらを動かすだけでも、肩全体の筋肉が動いているのが分かると思います。
このように肩甲骨が可動している意識をしながら、動かしてみてください。普段使っていない筋肉だと、少し温かくなる感じがします。それに、人によって、内側あるいは外側のどちらかが動きにくい感じがするかもしれません。
次にヒジを90度に曲げて、後ろ側にトントンと軽く反動をつけながら動かします。これも使っていない肩の筋肉が刺激されるでしょう。
■ バット(クラブ)を使った効果的な練習
練習用バット(ない人は複数本のクラブでも可)を使ったトレーニングも効果的です。
まずは右手でバットを持ち、バックスイングの状態で右胸を大きく張るイメージ(写真C)、次に左手に持ち替えて、フォローの状態で左胸を大きく張るイメージ(写真D)で肩まわりの筋肉を伸ばしてください。
ゆったりと大きな筋肉を使うイメージで、筋肉の熱量を徐々に上げればウォーミングアップとしても効果的です。
教えてくれた人 中井学(なかい・がく)さん
JGTOツアープレーヤー/プロコーチ
1972年4月14日生まれ、大阪府出身。14歳からゴルフをはじめ、高校3年生で日本ジュニアに出場。卒業後に渡米し、大学選抜で活躍。97年に帰国し、2003年よりプロコーチとして活躍。15年はプロテストに合格し、16年、17年はJGTO(国内男子ツアー)東建ホームメイトカップに出場。現在はテレビや雑誌等のレッスン企画に携わるほか、東宝調布スポーツパーク(東京都)でレッスンを行っている。
<スタッフクレジット>
撮影/石上彰(gami写真事務所)
撮影協力/東宝調布スポーツパーク(東京都)