ゴルフクラブの平均飛距離は?番手別の目安を知ってスコアアップ!
ゴルフクラブの平均飛距離は?番手別の目安を知ってスコアアップ!
クラブでボールを遠くに飛ばすことは、ゴルフの醍醐味のひとつです。しかし、飛距離さえ出れば、いいスコアにつながるというわけではありません。
ゴルフはいかに狙った場所までボールを運ぶことができるかどうかが重要なスポーツです。そのため、クラブの番手ごとの飛距離を把握し、上手にコントロールができれば、コース攻略がスムーズになってスコアメイクにつながりやすくなります。
そこで本記事では、スコアアップを目指すために知っておきたい、ゴルフにおける飛距離の考え方と、クラブの番手ごとの平均飛距離について解説します。
プロフィール:出島正登(いでしま・まさと)
1972年生まれ。和歌山県出身。ゴルフ歴35年。ベストスコア70。研修生やクラフトマンを経てゴルフ専門の出版社に入社。現在はフリーのゴルフライターとして、プロツアーの取材をはじめ、雑誌、ウェブ媒体で執筆活動中。
ゴルフクラブ14本の飛距離は、どれも同じではない
ゴルフではルール上、コース内に持っていけるクラブの数は14本以内と決まっています。
この14本を構成するクラブは、大きくウッド・アイアン・パターの3種類に分けられます。そして、クラブにはそれぞれ役割があり、飛ぶ距離や弾道はどれも同じではありません。
ドライバーやフェアウェイウッドなどのウッドは、飛距離を重視したクラブです。アイアンはグリーンを狙うために使うことが多く、パターはカップまで転がして入れるためのクラブです。
まずは、基本のクラブセッティングと、飛距離に関する基礎知識について解説していきましょう。
クラブの種類と基本のセッティング
一昔前のクラブ14本の構成といえば、個人差はあるものの、ドライバーをはじめとするウッドが3〜5本、アイアンは7〜8本程度、パターが1本といった構成が主流でした。
ゴルフクラブの種類
しかし、近年はクラブとボールの進化によって、ウッドの飛距離が出るようになった影響から、アイアンの本数を増やす傾向があります。
例えば、国内外のツアーで活躍するプロゴルファーの石川遼選手は、一時期ウェッジを4本入れていましたが、これは上位のクラブ(ウッド)の飛距離が伸びた影響で、下位のクラブ(特にウェッジ)の本数を多くしてコントロールを重視するためであることが想像できます。
クラブでボールを遠くに飛ばすために必要な条件
ゴルフで飛距離を出すために重要な3大要素は、「ボール初速」と「打ち出し角」と「スピン量」です。まずは、それぞれについて解説していきましょう。
ゴルフで飛距離を出すための3大要素
● ボール初速:ボールを打った直後のスピードのこと。この数値が速いほど飛ぶ。
● 打ち出し角:地面の傾斜に対するボールの飛び出しの角度を表す数値のこと。クラブのロフト角にも関係があり、打ち出し角が高すぎたり、低すぎたりすると適正に飛ばない原因になる。
● スピン量:バックスピン(逆回転)量のこと。スイングやボールの種類によって変わり、基本的にはスピン量が少ないほうが直進性は高く、スピン量が多すぎると飛距離ロスにつながる。
弾道計測器による効能
ボール初速、打ち出し角、スピン量は、弾道計測器によって測ることができます。
最近は練習場の一部打席に、弾道計測器が設置されている施設も増えています。しかし、練習場で使用されているレンジボールは、いわゆるコースで使用する本球とは異なり、飛ばない構造になっているものが多いので注意が必要です。
より正確な数値を知るためには、レッスンスタジオなどで自分のスイングをプロにチェックしてもらい、正確な数値を測ることから始めるのがおすすめです。
飛距離はどうやって計算する?
自分が使っているクラブで、適正な飛距離が出せているかどうかの目安は、「ボール初速に4倍を掛けた数値」で確認することができます。
<飛距離の計算式>
飛距離=ボール初速×4
計算式からもわかるように、「ボール初速が速いほど打球は飛ぶ」ということ。なお、ボール初速は「ヘッドスピードにミート率を掛けた数値」で算出します。
<ボール初速の計算式>
ボール初速=ヘッドスピード×ミート率
ヘッドスピードとは、クラブを振る速さのこと。対するミート率は、クラブを振ったときに、その力がボールにどれだけうまく伝えられるかを数値化したものです。飛距離を出す、つまりボールの初速を速くするための条件は、ヘッドスピードの速さだけでなく、ミート率が良くなければなりません。男性のアマチュアゴルファーと、女性のプロゴルファーがほぼ同じヘッドスピードであるにもかかわらず、後者のほうが飛ぶ理由は、ここにあります。なぜなら、プロのほうがミート率は高いからです。
ロフト角が小さいクラブほど飛距離が出る
ゴルフのクラブは、ボールを打ち出すための角度であるロフト角が飛距離に大きく関係しています。
最も飛距離の出るドライバーは、ロフト角の数値が小さく、アイアンは番手が大きくなるほど、その数値が大きくなります。垂直に見えるパターにも、実はロフト角がついているんですよ。
ドライバーとアイアンのロフト角
なお、同じ7番アイアンでも、モデルやメーカーによってロフト角の設定が違うため、同じ飛距離が期待できるわけではありません。
番手ごとの飛距離は、クラブのソール面などに刻印されている7や8という番手の数字を基準にするのではなく、ロフト角を基準に考えるようにしましょう。
「テーラーメイド P770アイアン」の場合
7I(ロフト角33°)
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「テーラーメイド Qi HLアイアン」の場合
7I(ロフト角30°)
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飛距離のランとキャリー、最大飛距離と平均飛距離の違い
基本的にゴルフにおいての飛距離とは、ボールが最初に地面に着弾するまでの「キャリー」と呼ばれる距離と、着弾してから転がった「ラン」という距離の合計で表します。
アマチュアゴルファーが各クラブの飛距離を把握するために重視すべきは、キャリーの距離です。そのクラブを自分が使ったときに、最初に着弾した場所までの距離を知っておくことで、池やバンカーなどのハザードが手前にあったとしても、ターゲットまでの距離をしっかり打つことができます。
また、飛距離には「最大飛距離」と「平均飛距離」があります。アマチュアゴルファーの多くは最大飛距離を自分の飛距離と考えがちですが、あくまでも平均飛距離を参考にすることをおすすめします。
その理由は、ラウンド中にベストなショットができることのほうが少ないから。各番手の飛距離を、平均値で把握しておきましょう。
ゴルフクラブごとの平均飛距離の目安は?
では、一般的なアマチュアゴルファーのクラブごとの平均飛距離は、どのくらいなのでしょうか。それぞれのクラブの種類とともに見ていきましょう。
なお、これまで解説してきたとおり、飛距離はクラブの種類や個人のスイング、力量によっても大きく変化するため、あくまで目安として捉えてください。
ウッドの種類と飛距離
ウッドの種類には、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティーがあります。
ドライバーの平均飛距離
ドライバーは、ロフト角の値が一番小さく、最も飛距離の出るクラブです。一般的な男性アマチュアゴルファーの平均的なドライバー飛距離は200~260ヤードで、女性の場合は150~200ヤードです。
ちなみに、国内男子プロゴルファーの2023年度の平均飛距離1位は、河本力選手の322.58ヤード。国内女子プロゴルファーは神谷そら選手の260.82ヤードでした。
フェアウェイウッドの平均飛距離
フェアウェイウッドは、ボールが高く上がりやすく、ドライバーの次にキャリーが出やすいクラブです。3番ウッド(ロフト角15°前後)、5番ウッド(18°前後)、7番ウッド(20°前後)の使用が多く、メーカーによっては11番ウッド以下も展開されていますが、あまり一般的ではありません。
フェアウェイウッドの飛距離は、一般的な男性アマチュアゴルファーで3番ウッドが180~235ヤード、5番ウッドは170~210ヤード、7番ウッドは180ヤード前後です。女性の場合は、3番ウッドは150~180ヤード、5番ウッドは140ヤード前後、7番ウッドは100~120ヤードが目安です。
ユーティリティーの平均飛距離
ユーティリティーは、ウッドとアイアンを融合した役割を果たすクラブで、フェアウェイウッドよりも直線的な弾道が特徴です。ウッド型とアイアン型があり、メーカーによって表記方法は3Uや4Uだったり、ロフト角の数字を表記したりしています。
ユーティリティーの飛距離は、一般的な男性アマチュアゴルファーの場合、3U(ロフト角18°前後)で180~210ヤード、4U(22°前後)で170~200ヤード、5U(24°前後)で160~190ヤードが目安です。女性の場合、5U(26°前後)で120~150ヤードが目安です。
アイアンの種類と平均飛距離
アイアンは、ロングアイアン(2~4I、または5I)、ミドルアイアン(5~7I、または8I)、ショートアイアン(8I以下)、そしてウェッジの4種類に分けられます。
しかし、最近はロングアイアンを使う人は少なくなっており、代わりにショートウッドやユーティリティーを好んで使う人が多い傾向です。なお、アイアンの番手間は、約10ヤード刻みで設計されています。
アイアンの飛距離
男性・女性アマチュアゴルファーのアイアンの平均飛距離は、下記が目安です。
なお、2番アイアンはあまり使う人は少なく、女性の場合は5番以下からのセッティングであることが一般的なため、3番と4番のデータは記載していません。
一般的なアマチュアゴルファーのアイアン飛距離
一般男性 | 一般女性 | |
3I | 180ヤード前後 | |
4I | 170ヤード前後 | |
5I | 160ヤード前後 | 120ヤード前後 |
6I | 150ヤード前後 | 110ヤード前後 |
7I | 140ヤード前後 | 100ヤード前後 |
8I | 130ヤード前後 | 90ヤード前後 |
9I | 120ヤード前後 | 80ヤード前後 |
ウェッジの平均飛距離
ウェッジは、約100ヤード以内の距離を打ち分けるための重要なクラブです。一般的に飛距離の出る(ロフト角の値が小さい)順にピッチングウェッジ(PW)、アプローチウェッジ(AW)、サンドウェッジ(SW)といった種類があります。
ロフト角のバリエーションは無数にあります。例えば、有名なウェッジメーカーであるタイトリスト社のボーケイウェッジは、46°から2°刻みで62°まで展開しています。
ウェッジの飛距離は、一般的なアマチュアゴルファーの場合、ピッチングウェッジが70〜110ヤード、アプローチウェッジが80ヤード前後、サンドウェッジが60ヤード前後です。
ゴルフクラブごとの自分の飛距離を把握すれば、スコアメイクがしやすくなる!
ゴルフクラブの番手ごとに飛距離をしっかり把握することは、とても大切なことです。
ただし、同じ7番アイアンでも、メーカーやモデルによってロフト角の大きさといったスペックが異なること、また個人のスイングスピードなども飛距離には大きく関係するため、「7番アイアンだから150ヤードは飛ぶはず」という先入観は捨てましょう。
例えば、グリーンまで残り120ヤードの場合、「ターゲットまでの距離が出るクラブのはず」という思い込みでクラブを選ばず、確実に自分が120ヤードの距離を狙って打てるクラブを知っておくと、スコアメイクがぐんとしやすくなるはずですよ。