私の推しコース「トップアマ＆ゴルフイベント運営会社経営者・豊島豊さんに聞く」浜野ゴルフクラブ
編集部：今回のゲストは、日本ミッドアマチュアゴルフ選手権競技2015年度覇者の豊島豊さんです。ご自身がゴルフを始めたきっかけと、現在に至る競技歴を教えてください。
豊島さん（以下豊島）：私が15歳の中学生の時でした。父親が仕事の付き合いでゴルフを始め、練習場についていったのが最初ですね。その頃野球部だった私はチーム競技しか経験がなく、「個人競技も面白そう」と思えたのも、その後ゴルフを続けられた理由の一つかもしれません。
高校生になり、ゴルフ練習場でアルバイトを始めましたが、相変わらず父親のクラブを借りてゴルフをしていました。電車で行けるゴルフ場に、ハーフラウンドだけしに行く。それが、当時お金も無い高校生の私が出来る精一杯のことでした。縁あって大学では体育会系ゴルフ部に入部しましたが、ジュニア時代から競技に出ていたような同級生達に比べて私は競技歴が浅く、４年間のうちアンダーパーで回れたのはわずか一回だけでした。大学時代は恵まれた環境でゴルフばかりしていたはずですが、練習する時間を捻出することすら大変な「今」のほうがゴルフはうまいです。なぜでしょうね。
社会人になって数年後にホームコースを持ちました。競技に参加するようになったのはそのタイミングからですね。同じコースの実力者からIDゴルフ、いわゆるコースマネジメントを学び、理論立てたスイングレッスンを受けてクラブを変えて、それまでの「シングルプレーヤーは２番アイアンを打てなきゃ」というような意識を捨てました。練習だけに頼らないやり方でレベルを少しずつ上げてきました。
編集部：そうすると社会人としてのゴルフの競技歴は相当になりますね。今までに「やってしまった！」というような失敗はありますか？
豊島：（大きなため息をして）はい。実は一回だけ失格になったことがあります。社会人になってすぐくらいの時、優勝争いをしていた試合でのことです。終盤まで私がリードを守っていたのですが、逆転されてしまいました。しかも、相手がPar4の２打目を入れるという劇的なイーグルで、です。もうショックでしたね。それまで張り詰めていた気持ちが急に切れてしまって、ボーっとしてしまったんです。スコア提出のときによく確認もしないで、１ホール過少申告してしまっていることすら気が付かず、そのまま提出してしまっていました。気がついたら失格でした。
あれは本当に痛くて情けない思い出です。それ以来、時間をかけすぎるくらいに何度も何度もスコアを確認するようになりました。
編集部：手痛い失敗もあれば、逆に楽しいこともありますか。
豊島：そうですね。競技ゴルフはやはりスコア、勝敗、結果が醍醐味なのですが、良い緊張感の中でするゴルフが好きです。強い選手と同じ組で回れたり、優勝争いをしていたり、「出場資格のある選手の中で、社会人では俺が最上位だ」と思いながら回るラウンドはピリッとしますね。プライベートなラウンドの時でも自分で目標を設定して緊張感を持つようにしています。
編集部：それでは豊島さんの「イチ推し」ゴルフ場を教えてください！
豊島： 千葉県の「浜野ゴルフクラブ」を推します。2グリーンからなるレイアウトでどちらのグリーンでも難易度の差を感じさせない、ゴルフそのものをとても楽しませてくれるゴルフ場です。クラブハウスからコースに出ていく時の雄大さは、設計者井上誠一氏の晩年の作で、27ホール相当の敷地面積に18ホールしか作っていない贅沢な設計ということが身をもって理解できます。また、これは個人的な理由ですが、歩きで周れるコースが好きなんです。フェアウェイを歩き、自分のボールに辿り着くまでの時間にレイアウトや風を感じて次のショットに結びつけるというゴルフの楽しみを感じてほしいですね。
教えてくれた人 豊島豊（とよしま・ゆたか）さん
ゴルフイベント運営会社 株式会社ツーリッチ 代表取締役
1977年生まれ、埼玉県出身。ゴルフ事業のスタートは東京広尾にあった老舗プロショップ入社から始まり、数々の競技やイベントをプランニングしてきた経歴を持つ。ゴルフイベントのプロデュースは自分が出場したいと思える事をコンセプトに掲げ『ゴルファーの気持ちはゴルファーこそが知る』と今も現役にこだわる社会人競技アマチュアゴルファー。学生時代には成しえなかった日本アマ出場を27歳で果たし、遂に2015年の第20回日本ミッドアマチュアゴルフ選手権を制し社会人ゴルフの日本タイトルを手にした。
取材・構成／キープペダリング
