私の推しコース「プロゴルファーのマネージャー・伊井祥訓さんに聞く」鶴舞カントリー倶楽部
編集部：今回のゲストは、韓国出身のプロゴルファーのマネージメントを手掛ける株式会社SANGBI代表取締役の伊井祥訓さんです。まずは具体的なお仕事の内容を教えていただけますか？
伊井さん（以下伊井）：韓国人プロゴルファーが日本で試合に出場するためのあらゆることをお世話するのが仕事です。日本人プロゴルファーには必要の無いビザの申請手続・手配から、通訳、日本国内の保証人を務めることもあります。様々な契約管理やメディア対応、宿泊・食事・移動手配など、選手の不安要素を減らし、効率よくツアーを転戦できるための何もかも、ですね。やはりシーズン中の3月から12月中旬は忙しい時期です。
多い時で男子プロ7名女子プロ1名、その他にも予選会に出場する選手達のケアをしてきました。業務ですのでもちろん大変だったり苦労もありますが、本当にたくさんの良い選手と出会い、彼らが優勝したり世界の4大メジャーに出場したりするなど、貴重な経験をさせてもらっています。
編集部：伊井さんご自身もKLPGA（韓国女子プロゴルフ協会）での下部ツアー参戦経験がおありなんですよね？
伊井：実は母が大のゴルフ好きで、小学３年生の時に連れて行ってもらった練習場で初めてボールを打ったことを覚えています。ただ、中学受験や中学時代の寮生活などのため、しばらくゴルフは出来ませんでした。その後、アメリカの高校に留学したのですが、その学校の目の前がゴルフ場という素晴らしい環境で（笑）、そこで、ゴルフ部に所属し本格的に再スタートしました。母の影響で始めたゴルフでしたが、いつのまにか私もゴルフが好きになり、生活と切り離せない存在になっていました。
進路を考える段階になってゴルフに関わる仕事がしたいと思い、サンディエゴ ゴルフアカデミーという学校で、プレー以外も含めたゴルフビジネスを学びました。そして、KLPGAの準会員に合格し、１年間下部ツアーに参戦しました。その後、大学で学んだ事やツアー参戦で経験した事を活かし、日本に来る韓国人プロゴルファーが増えていた時期でもあったためマネージメントをスタートさせます。現在はスポーツ選手へより良いものを、との想いでWADA（世界アンチ・ドーピング機構）の承認取得済みのカナダ産のアミノ酸やプロテイン「BIOSTEEL」という製品の輸入代理店業務も始めました。
編集部：韓国のプロゴルフツアーの現状は日本と比べるとどんな感じでしょうか？
伊井：韓国男子ツアーは試合数が減る傾向にあり、2016年度は13試合でした。日本に比べて賞金額も少なく、メジャー大会になると他のツアー機構との共同開催のためシード選手でも全員出場できないような状況なので、より条件が良く魅力的な国外のツアーに目を向けるのは当然の流れだと思います。多くの選手が韓国ツアーと並行してアジアンツアーに参戦していますが、日本ツアーが一番魅力的だと選手たちは言っています。競争はタフだけれども、日本ツアーはコースコンディション、賞金額、知名度、そして世界に羽ばたけるチャンスもありますので、自国とは違う、頑張れば頑張っただけのリターンのある世界だという捉えられ方をしていると思います。
韓国女子ツアーは逆に試合数が増えています。2016年度は34試合開催され、知名度もあり、賞金額も男子ツアーより上なんです。ですので新人プロがどんどん参戦し成績を残しています。そういった環境の違いから、男子選手に比べ海外にトライする数は少ないのですが、むしろ実力の有る選手達が次のステップアップとしてアメリカツアーや日本ツアーを目指しています。そして、海を渡ったからには、タダでは自国に帰れないとの思いで、さらなる高みに向け必死に頑張っているのです。
鶴舞カントリー倶楽部
編集部：それでは伊井さんの「イチ推し」ゴルフ場を教えてください！
伊井：千葉県にある「鶴舞カントリー倶楽部」を推します。見た目はそれほど難しく感じませんが、実際プレーすると、セカンドショットを考えてティーショットしなくてはいけないホールが沢山あります。短いホール程、難しく出来ていますし、ホールを囲っている松や杉の影響で風が抜けるホールや硬くて速い砲台グリーンの周りのバンカーなど、見えない罠と見える罠がたくさん有り、何度プレーをしてもまたトライしたくなるコースです。
桜も有名なコースですので春はおすすめの季節です。お食事も美味しく、私はここのザーサイが大好きです。サイドオーダーの一品に是非お試しあれ。
教えてくれた人：伊井祥訓（いい・しょうぐん）さん
株式会社SANGBI 代表取締役社長
東京都出身。日本語・韓国語・英語のトライリンガル。アメリカのサンディエゴ ゴルフアカデミーにてゴルフビジネスを学び、韓国女子プロゴルフ協会主催下部ツアーに参戦。自身の知識・経験を活かし、日本ツアーでの活躍を目指す韓国人選手たちのマネージメントを一手に引き受け、献身的なサポートでの評価が高い。2016年BIOSTEEL製品の日本総代理店業を開始し、プロアスリートを幅広くケアしている。千葉の実家の韓国料理店は昨年、本場韓国の漢方のお茶をメインとした韓方茶屋「ありらん」にリニューアル。韓国人プロゴルファーたちの憩いの場所でもある。
取材・構成／キープペダリング
