私の推しコース「ゴルフキャスター・薬師寺広さんに聞く」キャメルゴルフリゾート・大原御宿ＧＣ
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編集部：今回のゲストはゴルフキャスターの薬師寺広さんです。ＰＧＡツアーは桁外れにすごい、と感じたのはどんなときでしたか？
薬師寺さん（以下薬師寺）：ＰＧＡツアー選手のここぞというときの「ドライバーの飛距離」「止めるアイアンショットの球の高さ」「ロングパットを決めてくる精神力と技術」、この３点についてはやはり眼を見張るものがあります。1996年にアメリカフロリダ州のオーランドへ渡り、ゴルフの実況・解説を担当して長く経ちますが、どんな時にそれらを感じたかと言われれば「初めて見たときから、そして知れば知るほど」でしょうね。まず飛距離を取り上げましょうか。日本人選手も一発の飛びなら負けないと思います。しかし、ＰＧＡツアーで戦っている彼らは4日間最後まで飛ばしまくりますし、更に言うとシード獲得の125位のうちの30人位は「平均」飛距離が普通に310ヤードとかですから。また、ＰＧＡツアーの舞台はグリーンも最高に仕上げられていて、コンパクション（グリーンの硬さを表す数値）が高いのですが、それでもピンをデッドに攻めていきます。スピンの効いた高い球が打てなければ戦えないのです。そしてどんなロングパットでも、寄せるパッティングでは無く狙って入れるパッティングで常に戦闘体制マインド。全てが規格外と言っても過言ではないと思います。
4大メジャー大会で、個人的に好きなのはどの大会でしょうか？その理由もお聞かせください。
薬師寺： （迷いなく）マスターズです！ 4大メジャーの中では一番歴史の浅い大会ですが、この大会はマスターズ委員会から招待状の届く「招待試合」で、世界で活躍していると認められたプレーヤーのみ出場が許される、という特徴のある大会です。誰もが憧れる4大メジャーのうち全英、全米のようなナショナルオープンには出場権をかけた予選会が存在し、ハンディキャップの少ないアマチュアプレーヤーでもチャレンジすることが可能ですが、マスターズにはそれがありません。日本からは前年の賞金王が招待されるという慣習が以前はありましたが、数年前からそれもなくなりましたね。権利を獲得して出場する種類の試合ではない、ということです。ですので、マスターズの会場で見る出場プロの晴れやかな、そして自信のみなぎった表情とたたずまいは、他の大会とは一線を画すものですね。マスターズの舞台であるオーガスタナショナルゴルフクラブに足を踏み入れている充実感や誇りがプロの能力をさらに引き出すのでしょう。
究極のコンディションに仕上げられたコースはその美観とあいまって最高の舞台になります。こんな大会は他には見られません。観客のことをギャラリーと呼ばずパトロンと呼ぶのもこの大会独特のもので、アメリカのドネーション（寄付）文化が伝わる素晴らしい大会です。また、パトロンたちのマナーはゴルファーとして見本中の見本です。マスターズには「BE QUIET!」のサインボードが無いことに皆さん気づいていたでしょうか？ そんなものはこの会場に必要ないのです。もし私が実況をするなら、声のトーンを落とし、選手紹介も最小限に、大会そのものの魅力を見たままに、映像の力を最大限に引き出したいですね！
薬師寺さんの「推し」のゴルフ場を教えてください！
薬師寺：キャメルゴルフリゾートと大原・御宿ゴルフコース（ともに千葉県）の１泊2日、２ラウンドを推薦します。
まず1日目はキャメルゴルフリゾート。遅めのスタートにすれば、都心から電車とクラブバスを利用してもティータイムに間に合う立地です。御宿の開放感あるロケーションを存分に堪能してください。そして、夜は街に出て地のものをたくさん頂きましょう。「たなか寿司」の伊勢海老は間違いない！ ステマじゃないですよ（笑）。グループやカップルにオススメなのが、施設内に併設されたリゾートヴィラの宿泊です。設備、調度品、そして朝起きたら眼下に広がるコース眺望は、男性諸君から女性へのおもてなしとして喜ばれること間違い無し。記念日などにもお薦めです。
2日目は気分を変えて巨匠井上誠一設計の大原・御宿ゴルフコースへ行きましょう。井上誠一設計とはいえ、木々が空中のハザードを作り出すいかにも井上誠一的な林間コースとは趣の違う、御宿ならではの南国情緒にあふれる広いフェアウェイが気持ちいい。しかしながらバンカーの配置などの戦略性に富んでいることは間違いなく、様々な楽しみ方のできるコースです。2日目のスタートを早めにすれば、車で行ったとしても渋滞にはまらずに都内へ帰れますよ。
教えてくれた人 薬師寺広（やくしじ・ひろし）ゴルフキャスター
1956年岡山県生まれ。KSB瀬戸内海放送アナウンサーとして８年間勤務し、フリーに転進。後に米国のゴルフ専門TV局に６年間勤務。現在はゴルフネットワークを中心にトーナメント中継を担当。渡米中の2000年には米国PGAのPAT（技術認定テスト)に合格し、全米オープンの予選会やカナダツアーのマンデートーナメント、ミニツアーに挑戦した経験を持つ。海外経験や知識を活かし講演、執筆活動も行う。JGJA日本ゴルフジャーナリスト協会会員。
取材・構成／キープペダリング
