私の推しコース「エンジョイゴルフ＆スポーツジャパン代表・佐々木信也さんに聞く」彩の森カントリークラブ
編集部：今回のゲストは、世界のゴルフ関連製品を扱う会社の代表で、集中力開発に焦点を当てたメンタルトレーニングであるフォーカストレーニングを日本に展開し、啓発に携わっている佐々木信也さんです。「好き」を「仕事」にしようと起業された佐々木さんですが、最初はゴルフのことを嫌いだったとか？
佐々木さん（以下佐々木）：そうなんです。学生の頃、父親の練習に付き合ったりしてはいましたが、ラウンドデビューは社会人になってからで、22歳の夏に職場の先輩に誘われてのことでした。でも、ゴルフに行くために「ブレザーを買え」と言われたのがまずストレスで（笑）。当日は電車で待ち合わせ場所までゴルフバッグを担いで行って、そこから２時間位かけてゴルフ場へ行って、汗だくで走り回って、怒られまくって… 大事な週末をこんなふうに過ごすなんてありえない！ と思いましたね。ゴルフのことは一気に嫌いになりました。
ただ、この数年後に別の友人にゴルフに誘われます。そのゴルフは、確か草津だったと思うんですが、温泉に泊まって、大好きなお酒とセットだったのでとても楽しかったのを覚えています。そうしてエンジョイゴルファーとして家族、夫婦、友達とのコミュニケーションを図りながらゴルフを楽しんできました。
編集部：ゴルフが趣味というごく一般的なゴルファーだった佐々木さん、どういった視点でゴルフ業界に飛び込んだのですか？
佐々木：前職でゲーム会社の立ち上げに関わったのですが、ゲーム業界のエンジニアさん達のゲーム好きの度合いがすごかったんですよ。彼らの、お金なんて要らないくらいの情熱とか、寝食を忘れるくらいの打ち込み方を見ていたら「とても幸せな生き方だなぁ」と。私はスーパーマリオをやったことがある程度で、ゲームの仕事は文字通りの「仕事」としてこなしている、そんな自分の生き方にコンプレックスを感じてしまったんです。そこで、自分の好きなことってなんだろうと見渡してみたら、ゴルフだったんですよね。うまくなりたくてTVや雑誌の情報収集は欠かさなかったですし、神宮の練習場で朝練するくらいにのめり込んでいた時期でした。
とはいえ、ゴルフにビジネスチャンスがあるかどうか、ちゃんと考えましたよ、世界を回って（笑）。アメリカ、イギリス、デンマーク、スウェーデンなど数か国視察に行きました。その際、冬場の日照時間が少ない地域で見たのが、ゴルフ場のクラブハウスにあったゴルフシュミレーター。地元の方たちがそこで陽気にお酒を飲みながらゴルフを楽しんでいました。当時の日本ではまだゴルフバーなんて無いし、ゴルフ場は遠いし、インドアゴルフ練習場も私には魅力が感じられず、ゴルフとゴルファーとをつなぐ接点をもっと気軽で楽しいものにしたい、という想いで、起業しました。ゴルフ場経営の再編が始まっていた時期でもあり、古いものが変革していく匂いがしました。
編集部：今はフォーカストレーニングの認知拡大に務めていらっしゃいますね。マレーシアに拠点を移されたのも何か関係がありますか？
佐々木：ゴルフ環境が素晴らしいことと、日本に比べて成長の余地があって、伸びている国の新しい発想や感覚が欲しくて、ここに移ってきました。フォーカストレーニングとは直接な関係はないかな（笑）。けどアジアンツアーの選手たちにもフォーカストレーニングを行う機会はあるので、僕自身のチャレンジという意味ではとても良い環境です。
フォーカスバンドというツールを知ったのは数年前、知り合いのプロから相談されたことがキッカケだったのですが、頭にヘッドギアみたいなものをつけて脳波を計測するなんて、最初は怪しげで、これを日本に持ってくるのは簡単じゃないと思いました。でも既にUSＰＧＡツアーで活躍しているプロがプロトタイプを使用して成果を出していることもあったので、直接開発者に話を聞くためにオーストラリアに行きました。すると、まったく怪しいものではなく、きちんと研究されていて面白かったんです。私もかなり勉強しました。
今では私の周りのツアープロや、ゴルフに限らず格闘家・ビジネスマン等にもフォーカストレーニングは効果を上げています。人間の能力を邪魔する「イライラ」や「モヤモヤ」を除いて本来のパフォーマンスを発揮できるようにする、そういうトレーニングです。不安や心配があって練習の成果が出せない、その原因を本人も気づいていない状況がほとんどですが、 トレーニングを繰り返し、高度な集中状態を作り出すことを意識していきます。集中力って日常生活でも大事なものなので、皆さんにも興味を持って欲しいですね。
編集部：それでは佐々木さんの「イチ推し」ゴルフ場を教えてください！
佐々木：埼玉県の「彩の森カントリークラブ」を推します。私が15年くらい前「電車でゴルフ」にハマって月一で通っていたゴルフ場です。電車でゴルフに行けるって最高じゃないですか。車でゴルフ場に行くのと違って、お酒が飲めるんです。 遠足気分にもなるし、私にとっては色んな人と出会う舞台になった思い出のあるゴルフ場です。
秩父というとアップダウンが激しくて難しいんじゃないかと思われがちですが、ここはフェアウェイが平らでめっちゃ広いです。クラブハウスからの景色は雄大で感動しますよ。この開放感は女性受けも良いと思います。気をつけないといけないのが10番ミドルホールと４番のショートホール。グリーンの中にバンカーがあるので、狙い目には要注意です！
教えてくれた人：佐々木信也（ささき・しんや）さん
株式会社EnjoyGolf&SportsJapan 代表 佐々木信也氏
1975年生まれ、札幌出身。東京大学経済学部卒業後、コンサルティング会社での業務を経て、複数のインターネットベンチャーの立ち上げ、運営に携わる。現ガンホーオンラインエンターテイメント、現モビーダホールディングスの取締役を歴任し、2006年7月、株式会社EnjoyGolf&SportsJapanを設立し、新しい視点、切り口、テクノロジーをもってゴルフ業界に参入。様々なゴルフ関連プロダクトを取扱い、現在はフォーカスバンドというデバイスを使ったフォーカス＆パフォーマンスコーチとしてプロゴルファーのサポートもする。
取材・構成／キープペダリング
