私の推しコース「クラブフィッター・吉田智さんに聞く」フォレスト鳴沢ゴルフ&カントリークラブ
編集部:今回のゲストは、東京は世田谷区にある大蔵ゴルフスタジオでフィッティングマネージャーをされている吉田智さんです。まずはご自身がゴルフを始めたきっかけを教えてください。
吉田さん(以下吉田):ずばり父親の影響ですね。僕が子供の頃の父は、一年の半分はゴルフ練習場に居るような熱心なエンジョイゴルファーで(笑)。携帯電話なんて無い時代だったので、夕飯の時間になると父親を呼びに練習場に行くような日常でした。「息子と一緒にゴルフしたい」という想いをずっと持っていたらしく、まんまと父親の野望にはめられました(笑)。
僕は高校では野球をやっていて、県の優秀選手に選ばれたりもしたのですが、肘・肩・腰、と身体をだいぶ酷使してしまって、大好きだった野球を続けられなくなってしまったんです。そんな様子を見ていた父親が、今度は僕を研修生としてゴルフ場に送り込みまして。その時の僕の実力、たった一回まぐれで出たベストスコアが85、だったんですけどね(笑)。
編集部:フィッティングではどういうところを見るのでしょう? 身長・体重といったら体格や体力とクラブとは相関関係がありますか?
吉田:正しいスイングを作っていくために、まずはライ角が大事、ということを覚えておいて欲しいですね。その人にとっての適正ライ角は、身長と手の長さ、クラブを構えたときの手の高さ(床から測る)によって決まりますから、身長だけで「はい、あなたはこれ」ということも無いし、体格やヘッドスピードだけでも決まらないです。
これは、芝の上から直接ボールを打つアイアンで特に大事にして欲しいポイントなのですが、このライ角が合っていないと、正しくボールにコンタクトしないのでスイングの悩みが増えるばかりです。
信頼できる販売店や工房、店員さんと信頼関係を作り、ライ角を解決すること、これがスコアアップの近道ですよ。
編集部:では、初心者が初めてクラブを選ぶ際のポイントを教えていただけますか?
吉田:ゴルフクラブって種類がたくさんあるから選ぶのは大変ですよね。当店もシャフトだけで300本以上ありますし。でも、できるだけたくさんのクラブに触れて、納得して、買ってほしいです。お店に行けば自分のレベルに合わせてアドバイスを受けることができますし、試打することもできます。どんどん質問して店員さんの知識を吸収してください。
先程お話したライ角の話をもう一度すると、アイアンは「軟鉄鍛造」のモノを選んで欲しいです。「軟鉄鍛造」であれば、買った後、もしくは譲ってもらった場合でも、自分に合わせて調整が可能だからです。一昔前の「軟鉄鍛造」は一般ゴルファーには難しいと言われていましたが、今は製法の技術も進歩し、易しいモデルも出てきているので、食わず嫌いせずトライして欲しいですね。
編集部:それでは、吉田さんの「イチ推し」ゴルフ場を教えてください!
吉田:山梨県の「フォレスト鳴沢ゴルフ&カントリークラブ」を推します!ここは本当にコースコンディションが素晴らしいです!食事は何を食べても美味しい。
レストランメニューに「アーノルド・パーマー」という飲み物があるのですが、これはアイスティーとレモネードを割ったもので、今年惜しまれながら亡くなったプロゴルファー、アーノルド・パーマーが好んで飲んでいたということから名前がついたものです。アメリカでは普通に注文できる飲み物ですが、日本で提供しているところは少ないと思いますから是非飲んでいただきたいですね。
フォレストというくらいで木が多くて、アスリートの挑戦欲をかき立てる難しさがありながら、二人乗りカートでフェアウェーに乗り入れができるなど、初心者でも気持ちよく楽しめます。標高が高いので、冬の間の季節はクローズになりますが、それがまた芝の状態を良くしていると思うんです。クローズ明けの春は本当に最高です。そんなふうに四季を楽しむ、それがゴルファーなんじゃないかな!
教えてくれた人 吉田智(よしだ・さとし)さん
大蔵ゴルフスタジオ フィッティングマネージャー
1980年生まれ、栃木県宇都宮市出身。気がついたらゴルフをしていた幼少期を過ぎて、野球特待生で高校進学。県の優秀選手に選出されるも怪我に泣き、ゴルフの道へ舞い戻る。ゴルフ場研修生、老舗ゴルフメーカー営業職、地クラブメーカー総合職を経て現在に至る。自身が組み立てたウェッジを使用したプロがシニアツアーで優勝した経験も持つ。ベストスコア68。
取材・構成/キープペダリング