私の推しコース「ジュニアゴルファー育成のフロントランナー・クレイトン アオタニさんに聞く」桂ゴルフ倶楽部
編集部:今回のゲストは、ツアープレーヤー出身で現在はハワイ島でのゴルフ場フルリニューアル、そしてジュニアゴルファーの育成活動に力を発揮されているクレイトンアオタニさんです。現在に至るストーリーを伺ってもよろしいですか?
クレイトンアオタニ氏(以下クレイトン):私はハワイで生まれて、小学校は日本、その後大学まではアメリカで過ごし、また日本に戻ってきました。ゴルフは父親に勧められて5歳のときに、東京の練習場で初めて球を打ちました。なにか自分に合うようなものを感じて、その後はプロを目指そうと思い練習に打ち込み、アメリカでも試合を重ねましたが、日本のほうが出場機会に恵まれるのではないかと思い、クォリファイングトーナメント(ツアー出場権を得るための予選会)を受け、チャレンジトーナメントを主戦場に戦っていました。
そんな中で、当時組織が立ち上がって2年目を迎えていたJGTO(日本ゴルフツアー機構)から声をかけられました。米国と日本の両方のゴルフを見てきた私の次の仕事は、ツアーの競技委員でした。ツアープレーヤーへの心残りはあまりなく、スパッと切り替えられました。インターナショナル・フェデレーション・オブ・PGAツアーという、各国のツアー機構で連携を取ろうという取り組みで海外トーナメントにも度々足を運ぶという、楽しい仕事でした。
編集部:その後、ゴルフ場の運営会社で、ジュニア育成プログラムに取り組まれたのですね。
クレイトン:ええ、PGM(パシフィックゴルフマネージメント株式会社)という日本全国で100数十コースを運営する会社からオファーを頂きました。私自身、子供の頃にゴルフを始めていましたし、日本のジュニアゴルファーの現状に課題を感じていましたので、ジュニアゴルファーに門戸を開いていこうというPGMの姿勢に共感しました。
ゴルフ場はもちろん、地元の小学校やコミュニティと協力しあい、コーチングからトーナメントを開催するところまで、この新しいプログラムのすべてが私にかかっていました。ゴルフ場も最初は全国で5コースしか賛同を得られませんでしたが、最終的には63コースがジュニアプログラムに参加することになり、一応の枠づくりはできたと思っています。ただ、そうしているうちに浮かんできたのが「所詮日本全国2500コースのうちの63コースか」という思いです。企業の枠を外さないとダメだ、と。そうしてアメリカ発祥のザ・ファースト・ティを日本に持ち込むことを考えました。PGMを離れた後、数社経験してきましたが、このNPOの活動は続けています。
このNPO法人はまだまだ成長段階ですが、ゴルフを通じた人間形成というところに非常に重点を置いています。スコアがすべて、ゴルフさえ上手ければいい、と言うようなジュニアゴルファーを作りがちな今までの日本のシステムとはかけ離れた団体です。賛同いただければ幸いです。
現在の私はOakキャピタル株式会社という会社で、ハワイのBig Island Country Clubというゴルフ場を、クラブハウスから分譲地に至るまでの何から何までリニューアルし、素晴らしいゴルフコースに作り上げるために忙しくしており、年の7割位はハワイに居ます。建設の許認可など課題が多く、正に現場の仕事です。日本にいる時はジュニアゴルファーの周りのことに時間を割くことが多いです。時間が足りないですね。
編集部:それではクレイトンさんの一押しゴルフ場を教えてください!
クレイトン:北海道の「桂ゴルフ倶楽部」を推します。北海道には名だたるトーナメントが行われるゴルフ場が多数存在しますが、私に言わせたらこのコースしかありません。私が気に入っている理由は、コースレイアウトがとても自然で、ティーインググラウンドから設計者R・T・ジョーンズJr.の演出が見えることです。ストーリーですね。こういう球を打ってください、という木の高さ・配置、フェアウェイのアンジュレーション、完璧だと思います。
羽田空港から1時間強、新千歳空港から15分ですから、「東京の自宅から一番近い」とおっしゃる方も居ます。アクセスの良さの他には、練習施設も特筆すべきところですね。桂ゴルフガーデンといって、ネットや支柱のない広大な360ヤードの距離を取って対面で練習できる打席に、本コースと遜色ないクオリティのショートコースも3ホールあります。そして、これをどうしてみんな言わないのかと思うのですが、東京近郊で開催コースへの選手輸送や宿泊施設に問題を抱えるようなら、いっそ東京オリンピックの会場はここがいいと思うのですが、いかがでしょうか? リオのコースなんか目じゃない、と思うのですが。
教えてくれた人 クレイトン アオタニ(くれいとん・あおたに)さん
ハワイ生まれ、アメリカ育ち。日本でゴルフと出会い、ツアープレーヤーとして日本のチャレンジトーナメント等に出場後、JGTO(日本ゴルフツアー機構)競技委員を務めた。その後はPGMでジュニア育成プログラムを立ち上げた後、ゴルフダイジェスト・オンラインや通信会社の職に就きながら、2011年より青少年育成プログラム、ザ・ファースト・ティ・ジャパンの活動にボランティア参画。現在はハワイ島のBig Island Country Clubでプロジェクトマネージャーとしてとして采配を振るっている。
取材・校正 キープペダリング