私の推しコース「ゴルフ用品総合カタログ発行人・村田辰也さんに聞く」オリムピック・スタッフ足利ゴルフコース
編集部:今回のゲストは、総頁数800ページに及ぶ業界のバイブル、「ゴルフ用品総合カタログ」を発行されている、ユニバーサルゴルフ社の村田辰也さんです。ゴルフを始めたのは今の会社に入られてからなんですね?
村田さん(以下村田):31歳の時に縁故(義父が経営者)で、いま代表を務めているユニバーサルゴルフ社に入社しました。上司から「ゴルフの仕事をするのだから、ゴルフをしたほうがいい」と言われ、何も分からないままついて行き、日本橋丸善屋上の林由郎先生が運営するインドアスタジオに通い始めました。しかし、毎回「クラブは上げて下ろす」しか言わない先生に対してぶち切れてしまい、1ヶ月で辞めてしまいました。今から思うと何も知らなかったとは言え、もったいない話ですね(笑)。翌年の秋頃に、ゴルフ用品界社の片山社長とコトブキゴルフの安本社長が主催する「二代目の会」のコンペに誘われました。場所は茨城ゴルフ倶楽部という名門ゴルフ場、同伴競技者はそうそうたるメンバー。雨の中、クラブ数本持って走り回り、精算時3万円払ったことに対して、正直「そんな価値はない!」 と思ったことが鮮明に記憶に残っています(笑)。
ゴルフが面白くなったきっかけは、やはりドライバーの飛びでしたね。あるコンペに誘われた時に360ヤード、パー4で左ドッグレッグだったのですが、ティーショットしたボールがコースなりに曲がっていって、グリーン手前20ヤードまで飛んでいました。計算では340ヤード飛んだことになりますね。その後も年に1回はそのようなビッグドライブが出るようになって飛ばしの楽しみにハマりました。
しかしながら、私の最大の楽しみは仲間と和気藹々リラックスしてプレーをすることです。一人で回って60台を出しても面白くないですよね。やはり、仲間がいて成立するスポーツだと感じています。ゴルフが上手い、下手ではなく、ゴルフをすることで会話が弾むし、一緒にプレーすることで気心が繋がるし、性格を見極められるし、人間社会の中で最も重要な人脈作りにも役立ちます。ゴルフを始めるのに今のこの時代は、最適な時代と言えるのではないでしょうか。一昔前に比べてクラブは安い、プレー代も安い、ショートコースに気軽に行ける、年齢や性別を問わないなど環境は最高です。ゴルフへの好奇心を少し高めるだけで、他では得られないメリットがあります。
編集部:「ゴルフ用品総合カタログ」に長く携わっていらっしゃいますが、ゴルフギアの奥深さ・魅力ってどんなところでしょうか?
村田:これはですね、歴史を遡ると凄く感じます。約500年前にゴルフがうまれた時代は、クラブもボールも手作りでした。木製クラブ1本で、羽毛を詰め込んだボールを打っていたようですね。その後、クラブは金属へ、ボールは樹脂へと進化しました。ギアの進化は、もっとボールをコントロールしたいという人間の欲望の現れですね。
私がゴルフクラブ選びは重要だと気付いた時の話をしましょう。入社数年後に自分のためのドライバーを買おうと気合いをいれて某ショップに行きました。まずは、フレックスSで試打したところ、店員さんが測定値を見て、あまりにヘッドスピードが速いということで一段硬いフレックスXを渡してくれました。しかし、結果は1球目から空振りで、その後も全く当たりませんでした。そういった自分の経験から、ヘッドスピードが速いから「硬いシャフト」「ロフトが立っているドライバー」が良いという常識に疑問を持ち、ゴルフクラブの研究にどっぷりハマりました。
ゴルフギアの奥深さや魅力は、最愛の伴侶を見つけることと同じように、1本のクラブに出会うまで探す過程にあると言えると思います。人それぞれ体型も体力も骨格も違うので、自分に合ったクラブに出会うことがゴルフの醍醐味じゃないでしょうか。
編集部:ご自身のお気に入りクラブはなんですか?
村田:今、一番気に入っているクラブは、イーデルゴルフのトルクバランスパターです。当然チューニングしてありますが。実は10年ほど前にパターイップスになってしまったのですが、その病気を治してくれたのが川越の久津間幸雄先生でした。当時使っていたオデッセイ・2ボール・センターシャフトパターのシャフトエンドに70グラムのおもりを挿入して頂いた所、非常にストロークが安定して手が動くようになったのです。ゴルフのスコアやプレーの流れを決めるのはパターです。私はシャフトの延長線でボールを構えやすいパターが好きです。
編集部:それでは村田さんの「イチ推し」ゴルフ場を教えてください!
村田:栃木県の「オリムピック・スタッフ足利ゴルフコース」を推します。100切り、90切りをこのコースで経験し、そして70台を達成しそうでできなかった悔しい思いもこのコースで体験したという、私の何もかもが詰まっているコースです。最大の見所はクラブハウスからの優雅な景色ですね。大半のホールを見渡すことができます。
10番パー4は、超打ち下ろしのホールで、飛ぶ人はワンオンを狙いたくなりますが、左右OBなのです。INスタートの場合は、朝イチショットがこのしびれるティーショットになるので、緊張感がたまりません。戦略性も高く、結果オーライを許しません。ミスはミスとしてカウントされる、公平なコースだと思います。北関東道が通って、アクセスも格段に良くなりましたね。
教えてくれた人:村田辰也(むらた・たつや)さん
株式会社ユニバーサルゴルフ社 代表取締役
1964年生まれ。中学時代は野球、高校・大学はボートの選手というスポーツマン。大学時代は3年間で全日本大会の金メダルを9個獲得。輸入車販売店、スキューバダイビング業界、モータースポーツ広告代理店という一箇所に落ち着けない乱暴者(本人談)。31歳の時に妻の紹介でユニバーサルゴルフ社に入社。以後、ゴルフクラブ研究・計測にはまりすぎてクラブメーカーの設備以上の計測機器を揃える。クラブはアンティーククラブを含め1,000本以上、古いボールも収集し、将来は、ゴルフミュージアムを開設するのが夢。
取材・構成/キープペダリング