Step01.ゴルフの基礎知識
Step02.ゴルフを体験しよう
Step03.上達への道
3-1
アドレスやスイングのイロハを紹介!ゴルフの「動き」にまつわる基本を学ぼう!
3-2
ゴルフを独習するなら?上達のための練習場&動画活用方法
Step04.ラウンドしよう!
ゴルフでは全身の動きを組み合わせて止まっているボールを打ちます。下半身、腰、上半身、腕、手首など、それぞれの動きがかみ合わないと、正確に力を伝えることはできません。「アドレス」と「スイング」はこうした動きの基本であり、基本を理解して練習することがゴルフ上達に欠かせないものです。より早い上達のお手伝いが出来るように、この記事で伝えたいと思います。
ゴルフ上達のためにはアドレスやスイングの基本を身につけることが何より大切です。正確なショットをするためには、正しく安定したスイングをすることが必要であり、スイングのスタートとなるアドレスから基本動作が一定して安定していることが重要です。
正確なアドレスからの安定したスイングにより、ショットの方向性・正確性と本来の飛距離を得ることが出来るので、最終的にスコアの向上につながるでしょう。まずは正しい基本を習得することで、さまざまな状況やクラブを使ったショットに応用でき、高度なテクニックやコース攻略戦術を身につけられます。
「アドレス」とはゴルファーがボールに対してとる最初の姿勢やポジションのことで、スイングの起点となる構えです。正しいアドレスを取らないと、正しいスイングをしていてもボールコントロールは安定しません。
例えば、無意識に目標に対し、右を向いたアドレスをとっていると、正しくスイングしてもボールは右方向に飛びます。すると右に出ないように球筋を修正しようとしてクラブフェースやスイング軸を左向きにしてしまい、ボールを引っかけてしまいます。アドレス方向の間違いに気づかないままスイングで補正しようとすることで、スイング自体が壊れていってしまうリスクがあるのです。
アドレスは正確なショットを身につけるための大切な基礎なのです。
正しいアドレスとはどのようなものなのでしょうか。PGA公認ティーチングプロの矢嶋信之プロにアドバイスをいただきました。
アドレスの時に注意するポイントはスタンス、クラブ(ボール)の位置、身体の向きです。アイアンのアドレスについて、矢嶋プロによれば、
「ボールは左目の真下に置くイメージです。初心者の場合は、トップブレード(クラブの上のライン)をターゲットに対して直角にセットする意識を持つと良いと思います。確認ポイントとしては、クラブのグリップエンド(先端)が左足の腿の付け根を向いていること」
だそう。ゴルフ初心者の場合は、なるべくシンプルな方が覚えやすいですね。
細かく知りたい方は、以下の要素を参考にしてみてください。
肩幅程度に両足を開き、ボールを上から見るように背筋を伸ばしたまま上体を傾けます。このとき膝を曲げ過ぎるとスイング軸が狂う上に、インパクト時のクラブヘッドの高さが安定しなくなってしまいます。体重は均等に両足に分散し左右のバランスを保つようにしましょう。
開いた両足の間にボールを置くのですが、クラブに応じて常に一定の位置に置くことが正確なショットのために重要です。ボールの左右位置の決め方には色々な方法(基準)があるので、自分に合った方法を選びましょう。
アイアンの場合は、左目の真下にボールがくるように構えるのがおすすめです。ティーアップするドライバーとの違いは後述しますが、ドライバーではより左足寄りにボールをセットします。
ボールの前後位置は、クラブ毎のセット位置に応じてしっくりくる位置としましょう。遠いなと感じたり窮屈だなと感じたりする場合は、正しいボール位置とはいえません。
アドレス時はグリップを身体の正面、真下に置くイメージでセットします。こうすれば、手首とクラブシャフトとには一定の角度が作られます。
目標とボールを結んだラインに対して身体が平行になるようにセットします。身体の向きとは、両足の向き、腰の向き、肩の向きの全てです。
方向性と球筋に大きな影響を与えるのがこの身体の向きなので、ショットの正確性に影響を与える前述の要素と共に大変重要なものです。
正しいアドレスを身に付けるコツを矢嶋プロに伺いました。
「初心者の場合は、右肩が入りすぎてしまうことが多いので、右手を背泳ぎするイメージで後ろから回してから構えるのもおすすめです。肩のラインや腰のラインが水平になるようにと言われることも多いと思いますが、身体の正面で小さく前に倣えをして、写真のように親指と人差し指の間にクラブを乗せてみると正しいイメージを持てると思います」
「また、下の写真のように、剣道の面のポーズをイメージして後ろからクラブを振り下ろしてくると、正しいアドレスをとりやすいと思います」
ほかにも、アライメントスティックという細い棒を使ってアドレスをチェックする方法があります。練習器具ですが、無ければクラブなど、まっすぐな棒で代用可能です。目標に向かって構えてから、両足のかかとまたはつま先に付くようにスティックを置きます。スティックの向きと目標が一致しているかどうかを後方から確認してみてください。思った以上に目標から外れているかもしれません。自分の癖(利き目の影響)で右を向きやすいのか、左を向きやすいのかを意識しておきましょう。
コースでは、目標とボールを結ぶライン上で1メートル程先に目印(スパッツ)を定めます。アドレスの時にボールとスパッツが同時に見えることで、目標ラインが判り易くなります。後は目標ラインに平行に構えることに集中します。スパッツは色違いの芝や葉など、自分が認知できれば何でも構いません。
練習場ではマットにラインが引いてあるのが一般的ですから、方向を合わせるには苦労はいりません。しっかりヒット出来るボールの左右位置をクラブ毎に確認しながらショットするようにしましょう。悪い当たりの場合には、アドレスが悪いのかスイングに問題があるのかを正しく理解しておくことが重要です。
ゴルフのショットに求められるのはボールコントロールです。飛距離無制限(とはいっても各自が飛ばせる飛距離はほぼ決まっていますが・・・)のドライバーを除けば、狙った縦距離をコントロール出来ることが何より大切です。方向性も勿論大切ですが、プロではないので大きく外れなければ良しです。方向性が特に大事なのは林の中などで脱出する際でしょう。
となると、スコア作りに障害となるのは「ダフリ」でほとんど飛ばない一打、「トップ」してアプローチで大きくオーバーしてしまう一打、大きく右にスライスして林の中に入ってしまう1打、引っ掛けて左の谷に落としてしまう1打、等です。正しいスイングを身につければこうしたミスが出なくなるので、必然的にスコアは良くなるはずです。以下では正しいスイングを理解するために、ステップ毎に解説していきます。
「テイクバック」とは、スイングの始動にあたる動作であり、スイング軌道を決定づける大事な動作です。「トップ」はバックスイングからダウンスイングに移るスイングの切り換え点であり、振り上げたクラブヘッドが振り下ろされる瞬間なので、ヘッドは一瞬静止します。ここからダウンスイングに入るのでシャフトがしなり、ヘッドが加速していきます。「テイクバック」と「トップ」の間のスイングを「バックスイング」と呼びます。
<テイクバック~バックスイング~トップ>
クラブは、手先で振り上げるのではなく、背中の軸を意識して、身体全体を廻旋させるイメージで、振り始めます。大きく振り上げようとして左ひじが曲がらないように、手首が甲側に折れないように注意してフェースの向きが身体の正面に対して一定になるように維持します。
「シンプルに考えるのであれば、左ひじが伸びている状態でトップの位置では左腕とクラブでアルファベットのLを作るイメージです。(矢嶋プロ)」
一般にバックスイングとダウンスイングの時間比率は3:1程度と云われているので、自分のダウンスイングのスピードに応じてバックスイングのテンポを一定にしていってください。
「ダウンスイング」は、トップからインパクトに向かってクラブを振り下ろしてくいくスイングです。クラブヘッドを一気に加速させていくために、身体の各所の動きが連動して行われます。
「インパクト」はクラブがボールをヒットする瞬間のことです。インパクトの時のクラブフェースの向きで打球の打ち出し方向が決まります。球筋はスイング軌道で決まるので、正確なショット(真っすぐ飛ばす)の為には、正しいインパクトと正しいスイング軌道が必要ということになります。
<ダウンスイング~インパクト>
一つ一つを意識しても全体の動きはなかなか理解できないので、意識しなくてもスイング軌道を維持しながらクラブヘッドを加速する感覚を身につける必要があります。
ダウンスイングで大切なのは、切り返しのタイミングです。左足を踏み込むタイミングで手首をボールの位置に向かって一気に落としていきます。左足に向かって体重が移動するので自然に腰が回転し、更に肩が回転していきます。クラブヘッドが加速する感覚が感じられるよう多くの素振りをして手首の使い方を覚えることが上達の秘訣です。
ダウンスイングで初心者がミスしやすい、いくつかの類型をあげてみましょう。
<インパクト~フォロースルー~フィニッシュ>
「フォロースルー」はインパクトの後のクラブと身体の動きです。また、スイングの最後の姿勢を「フィニッシュ」と言います。
フォロースルーは正しいスイング軌道であるかどうかのチェックポイントでもあります。正しく大きなスイングをしていると、フォロースルーも大きく身体に巻き付いていき、グリップ位置も高く収まります。フォロースルーが収まらないという場合は、スイング軌道が正しくないのを無意識に補正してヒットしている場合が多いのです。
「右手と左足をできるだけ遠くに持っていくイメージにすると良いと思います。後程、練習のコツを紹介しますが、正しいスイングを身につけるには、繰り返すことが大切です。(矢嶋プロ)」
クラブの中で一番長いのがドライバーですが、ドライバー→ウッド→ユーティリティ→アイアン→ウェッジと徐々にクラブは短くなっていくので、ボールに対してのアドレスの際の身体の位置が徐々にボールに近づき、スイング軌道もフラット気味(横振り)からアップライト気味(縦振り)になっていきます。
クラブヘッドを加速していくスイングの基本は同じでも、クラブの長さによってスイング軌道(主に軌道の傾き度合い)が異なることを理解することがミスショットを減らすコツです。
ドライバーは少しでも飛距離を出したいので強いインパクトにつながるスイングになりますが、アイアンはクラブ毎の本来の飛距離を再現するのが目的ですから、正確なヒットで再現性の高いスイングが必要です。ドライバーもアイアンも力みすぎるスイングはミスにつながるという点は共通です。
「アドレスの違いを見てもらうとわかると思いますが、アイアンは左目の真下にボールが来るように構えます。ドライバーの場合はやや左足よりにセットします。体重も右足寄り(6:4ぐらいのイメージ)にかけるので、自然と右肩が下がった状態になります。また、クラブが長い分、ボールと身体の距離は離れ、上体もやや起き上がります。(矢嶋プロ)」
アイアンショットとスロー再生
ドライバーショット
正しい基本スイングを身につける為に参考になるようにいくつかのコツを伝授したいと思います。まずは、矢嶋プロがおすすめする練習法をご紹介します。
「基本のスイングを身につけるには連続素振りがおすすめです。アイアンの場合は構えた位置にクラブが毎回戻ってくるか、ドライバーの場合はゴムティーを毎回打てているかが確認するポイントになります。スイングのリズムやタイミングを覚えやすく、スイングの流れを身体に覚えさせるのに最適だと思います。(矢嶋プロ)」
連続素振り
スイングはリズムやタイミングが重要です。スムーズに一定のリズムを保ちながら、インパクトの瞬間やクラブを振り抜くタイミングを身体で覚えることが大切です。
まずはアドレスやグリップ、スイングプレーンなど、基本的な動作を正しく理解して練習しましょう。基本をしっかり習得できれば、応用としての高度なテクニックに移る際にも安定したスイングが維持できます。基本を理解しないまま反復練習したり、数多くの球を打ったりすると、一時的にうまくいく事があると正しいと勘違いして再現性の低い誤ったスイングを身につけてしまうリスクがあります。一度身についた悪い癖を直す労力と時間を考えると、やはり基本の理解が何より重要です。
プロからスイングを学びたいとお考えの方は、『初心者はプロに学ぶレッスンがおすすめ!後悔しないスクール選びのポイントを解説』を参考にしてみてください。
初心者がミスショットにつながる間違ったスイングや陥りがちなミスについて、代表的なものを紹介します。
「初心者の場合は、特に右手に力が入りすぎるなど誤った状態でスイングし、ミスショットを引き起こしているケースが多いです。例えば、ターゲットに対し、飛ばそうと意気込んでクラブを振り上げてしまうと、右手を過剰に引いてしまってオーバースイングになってしまいます。また、ターゲットを見ながら右手を振ってしまうと、ヘッドアップの原因になります。(矢嶋プロ)」
オーバースイングはバックスイングの際に過剰にクラブを振り上げてしまう状態を指します。飛ばそうとするあまり、大きく振りかぶっているケースがこれにあたります。この場合は、トップの位置で左腕とクラブで作るL字を意識すると、改善される可能性が高いです。
また、ヘッドアップは、ボールの行方が気になって、インパクトの直前または同時に頭を上げてしまうことにより、身体が早く起き上がってしまうミスです。この場合、右手がボールの上を叩いてしまい「トップ」になる事が多いです。結果が特に気になるアプローチの際に、発生する事が多いでしょう。結果はなるべく目で追う程度にして、しっかり頭を残す習慣をつけましょう。
ミスショットの例。このようになっていませんか?
「初心者の場合、クラブの面を球に当てようという意識が働きがちです。そうすると、ダウンスイングの際に減速してしまったり、面を合わせようという意識が働きすぎるあまり、ボールにうまくヒットしない可能性が高まります。この場合、原因は手にあるケースがほとんどです。ダウンスイングの際、クラブを球に当てるのではなく、グリップを引っ張ってくる意識を持っておくと、このミスを減らすことができると思います。(矢嶋プロ)」
いわゆる「手打ち」と言われるミスもこれが原因であることが多いです。身体を回す意識を持つことも重要ですが、手が動けば身体も自然と動くものです。まずはグリップを引っ張ってくる意識でスイングすることを心掛けてみてはいかがでしょうか?
練習場では平らな環境でアドレスしスイングを習得しているので、実際のコースで傾斜地でのショットをする際にアドレスが狂ってしまいます。特にボールの位置とスイング軸の傾きが狂いやすくなってしまいます。適切なアドレスをとれないままにスイングしても、当然のようにミスショットとなるでしょう。
経験値を積むまでは、傾斜地ではミスになるとの前提でコンパクトなスイングを心がけ、ナイスショットを期待しないで対応するように考えることが大叩きを避けるコツです。
必要に応じて、ラウンドレッスンで実践経験を積むのもひとつの手です。ラウンドレッスンについては、「プロに手取り足取り教えてもらおう!本物のゴルフ場で全て学べる便利なラウンドレッスン」で詳しく紹介しています。
初心者にとって、池越えや谷越えのショットは大きなプレッシャーがかかります。正しいアドレスをとっていても、無意識にりきむ(上体に力が入る)事が多くなりますし、強く打とうとしてスイングが早くなりがちです。更に結果が気になってヘッドアップのミスもでやすくなります。
メンタルの罠に陥らないようにするためには、平常心と自信が大切です。自分を信じて、正しいアドレスと正しいスイングをすることに集中しましょう。
ゴルフの上達には様々な方法と経過がありますが、スキルが向上してくるにつれ、ショットの意味がどんどん変わっていきます。つまり、最初は当ればよい、真っすぐ飛べば良いという単純な結果を求めるスキルからのスタートなのですが、飛距離や弾道のコントロール、狙ったポイントへ運ぶスキルが身についていくことで、コース攻略ルートの考察や池越え・谷越えなどのメンタルストレスを克服することができるようになり、ラウンドの楽しみや狙い通り成功した時の喜びを味わうことが出来るようになります。
更にその先には、ショットの高低の打ち分けやスピンコントロール、様々なアプローチのテクニックなどでコースでの障害を乗り越えていくという、ゴルフのスキル追求の奥深さを実感しながらゴルフの実力が上がっていくことになります。つまりスキルアップはゴルフの楽しさを感じる最も重要な要素なのです。時間と労力を惜しまずスキルアップに励むことで、ゴルフの楽しさと奥深さを存分に味わえるようになってください♪
矢嶋信之プロ
日本大学豊山高校から上武大学と野球部に在籍し、大学時代には全国大会に出場。
大学卒業と同時にゴルフに興味を持ち中山徹プロに弟子入り、ゴルフの基礎を学び、ツアー選手を志す。
その後、植村啓太との出会いをきっかけにティーチングに興味を抱き、2007年より植村に師事。本格的にレッスン活動を始める。2008年にPGA公認ティーチングプロの免許を取得。
ジュニアからシニアゴルファーまで、お客様個々の体力レベルに応じたスイング作り をモットーにレッスンを展開している。
取材協力:レッツゴルフ銀座
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