ドライバーは打ってみなければボールがどこに飛んでいくかわからないような広角打法では、いつまでたっても90台のスコアは出せない。完璧なショットとまでいかなくても、自分が狙った方向から大きく外れなければ合格点といえる。

そこでショットの方向を安定させるためのポイントを、多くのアマチュアゴルファーを100切りへ導いてきた平野茂プロに訊くと、「スイングをよくすることももちろん大事だが、それ以上にアドレスの姿勢を安定させることが重要」だという。

いつも同じ姿勢で構えることを心かけるだけでスイング軌道のブレまで少なくなり、ナイスショットの回数が増えて100切りに大きく前進できる。

直立の姿勢からアドレスをつくる習慣をつけよう

ドライバーがスライスしたと思ったら、次のホールは引っかけ。そして、たまにチョロも出てしまう。こうなるとクラブをどう振っていいかわからなくなり、パニックに陥ってしまうことになる。スイングをあれこれといじっているうちに1日のラウンドが終わるようでは何の収穫も得られず、上達のきっかけすらつかめない。

100切りのゴルファーにとって、ラウンド中のスイング修正はとても難しくて、逆効果になるケースがとても多い。「それよりもアドレスの姿勢のつくり方に着眼してほしい」と平野茂プロはいう。

「ミスショットの原因の８割近くは、実はアドレスの狂いにあります。同じに構えているつもりでも、ワンショットごとにアドレスの姿勢が変わってしまうから、クラブを振る動作も変わってヒッティングポイントが安定しないのです。まずはアドレスをつくる手順を一定させて、いつも同じ姿勢で構えられるようにしたいものです」

プロたちは調子が悪くなるとスイングよりも先にアドレスをチェックするという。アドレスがよければ、スイングも自然によくなるからだ。スイングがバラバラになってしまったときほど、アドレスをチェックすべきだ。

では、バランスのいい姿勢で構える方法を教えてもらおう。

「まず両手でクラブを持ち、直立の姿勢になります。飛球線の後方側から見て、背骨とクラブが直角となるように持つのがポイントです。すると両手首とクラブの角度が約120度となりますが、この120度を意識してください。そして骨盤を前に倒しながら、軽くお辞儀するように上体を前傾させて、最後に両ひざを軽く曲げればアドレスが完成です」

こうしたアドレスの手順を心がけると、ボールと体の間隔を一定に保ちやすくなるという。ボールの近くに立ってハンドアップの姿勢になりすぎたり、ボールから遠く離れてハンドダウンの姿勢になりすぎたりすることがなくなって、いつも同じ姿勢で構えられるようになる。アドレスの安定によってスイングの軌道がブレにくくなり、ドライバーの方向性が安定してＯＢも減るというわけだ。

ところで、手首の角度はなぜ120度がいいのだろうか。

スイング中、手首の120度は常にキープする

「手首の120度はバランスのいいアドレスをつくるための基準であると同時に、スイング中の体の動きを整えるための基準でもあります。両手の５本指を思い切り広げてパーをつくってみてください。親指と人さし指の角度が約120度に開きますよね。いってみれば120度は体の動きをスムーズにする上でナチュラルな角度なんです。アドレスでつくった手首の120度をキープするだけでショットの方向がかなり安定しますよ」

スイング中に手首が伸びて180度になったり、手首を折りすぎて90度になったりしては、結果的に体の回転と腕の振りが同調せず、スイング軌道を狂わせてボールを狙った方向に飛ばせない。

プロたちの連続写真を見るとダウンスイングで手首を90度近くまで折り、大きなタメをつくっているように見えるが、真正面からのアングルからはそう見えるだけで、真上から見るとダウンスイングの手首の角度は、120度で常に一定なのだ。

スイングをあまり複雑に考えずに、とにかくアドレス時の手首の120度を最後まで変えないようにクラブを振ることを心がけよう。バランスのいいアドレスがインパクトの正確性をアップさせることを実感できたらシメたものだ。

教えてくれた人：　平野茂（ひらの・しげる）プロ

1973年9月29日生まれ。早稲田大学卒業後、プロ野球選手を目指すが、ゴルフに転向。2007年にＪＰＧＡ公認インストラクターの資格を取得。東京・五反田に『フラットフィールドゴルフ』を開設し、チーフインストラクターとして多くのアマチュアを指導している。師匠は叔父の中山徹プロ。
構成／三代崇　撮影／田辺恵理　撮影協力／フラットフィールドゴルフ

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