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杉澤伸章の「プロキャディというお仕事」第14回

杉澤伸章の「プロキャディというお仕事」第14回

日本人キャディはPGAツアーでも絶対に通用する

PGAツアーのキャディはめちゃめちゃ稼げるという話を以前しましたが、金を稼ぐという目的に加え、世界を舞台に活躍するという意味でも、PGAツアーを目指す日本人プロキャディが、もっと出てきてほしいですね。

ボクはPGAツアーで8年間キャディをやりましたが、正直に言うと欧米のキャディさんって、そんなにすごいと思わなかったんですよね。別に特別なことをしているわけじゃなくて、右とか左とか真っすぐとか、そういうことをただ単に言い切っているだけという人が大半でした。中にはもちろん、すごいアドバイスをする人もいましたけど、ごく一部でした。

それに比べて、日本人キャディは世界でも誇れる気の使い方をするので、欧米の選手たちも気に入ってくれると思うんです。言葉の壁さえ乗り越えれば、十分にチャンスがあると思います。

日本人は空気を読む力が格段に優れている

日本人のいいところって、空気を読むというか、気配を察するというか、そういう部分が欧米人と比べて格段に優れているんです。選手が気持ちよくプレーするという面では、日本人キャディのほうが空気を作るのが得意だと思います。

一方、欧米人キャディの場合は空気を作るというよりも、選手の迷いを消す作業が上手です。「これ、絶対にこうだから!」と言ってあげることで、選手はやることがシンプルになります。

これはどちらがいいとか悪いとかいう話ではなくて、好みの問題だと思います。たとえば、人から料理を勧められる時、「これ、絶対にうまいから食べてみな!」と言われるのが好きな人と、「お口に合うかどうか分かりませんけれども、どうですか?」と言われるのが好きな人の違いです。

空気を読む力に決断力が加われば最高のキャディになる

どちらの言い方が好きかは選手が決めることですが、ボクとしては「お口に合うかどうか分かりませんけれども、どうですか?」という言い方のほうが、相手に選択権を与えることになるので、そのほうがいいんじゃないかなと思います。

そして、日本人の空気を読む力に加えて、欧米人の決断力がついたら、ものすごくいいキャディになると思います。ボクはそこを目指しています。

その際の決断力というのは、確率論で言えば100パーセントじゃなきゃいけないというくらいの気持ちでボクはやっています。たとえば、「フックかスライスか」という選択であれば、「フックです。なぜならば、これこれこういう理由で、こうだからです。だからフックで行きましょう」といった具合に、選手がスムーズに決断できるアドバイスをするように心がけています。

そういったやりとりを積み重ねて信頼関係を築き、この人の意見だったら聞いてみようという間柄になり、その言葉を信用して選手がトライしていくというのが理想的ですね。

教えてくれた人 プロキャディ 杉澤伸章(すぎさわ・のぶあき)さん

1975年7月5日生まれ、愛知県出身。愛鷹シックスハンドレッドクラブの研修生を経て、横田真一選手の専属キャディとなる。2002年からはプロキャディとして丸山茂樹選手と契約し、米国男子ゴルフツアーを転戦。現在は宮里優作選手と契約している。ゴルフに関する的確なアドバイスに加え、選手の状態を見極めたメンタルコントロールを得意とするアドバイスのプロフェッショナル。


構成/保井友秀(ゴルフライター) 写真/getty images

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