goralife > プロゴルフ > 杉澤伸章の「プロキャディというお仕事」第12回
プロゴルフ

ツアー プロゴルフ

杉澤伸章の「プロキャディというお仕事」第12回

杉澤伸章の「プロキャディというお仕事」第12回
写真/getty images

PGAツアーのキャディはめちゃめちゃ稼げる

日本ツアーは選手の数よりもキャディの数が少ないので、競争がそれほど激しくありませんが、PGAツアーは選手の数に対してキャディの数が多いから、競争が激しいという話をしました。なぜPGAツアーはキャディの数が多いのかと言えば、ぶっちゃけ稼げるからです。

PGAツアーは2007年からプレーオフ制度を導入して、年間王者になると1000万ドル(約10億7000万円)のボーナスがもらえるようになりました。2015-2016年シーズンの年間王者はロリー・マキロイ選手が勝ち取りましたが、そのボーナスのうち100万ドル(約1億700万円)をキャディに支払ったという報道がなされました。マキロイ選手はこれ以外にも多額の賞金を稼いでいますから、キャディ自身も1億円をはるかに超える報酬を手にしていることになります。

欧米はキャディの仕事に対する重要度が高い

なぜ、欧米の選手がこれほど多くの金額をキャディに報酬として支払うかと言えば、キャディの仕事に対する重要度が高いからです。

マキロイ選手のキャディにしても、元々はダレン・クラーク選手など欧州出身選手のキャディをやってきて、そして現在はマキロイ選手のキャディをやっているので、知識や経験はキャディのほうが多いわけです。

そしてマキロイ選手は、そのキャディーが持っている知識や経験を活用しながら、自分のテクニックを伸ばしていくというスタイルになっています。したがって、マキロイ選手がボーナスの支払いをケチれば、キャディは他の選手に乗り換えることになり、そうなると困るのは選手ということになります。

日本の場合、選手がボーナスをケチッて、キャディが「じゃあボクは他の選手に行きます」と言ったら、間違いなく「どうぞ」って言われます(笑)。日本はプロキャディの歴史が浅いので、まだまだ選手のほうが上の立場です。

タイガー・ウッズの全盛期にキャディをやっていたスティーブ(・ウィリアムス)は、タイガーが運転する車の助手席に乗っていましたからね。日本ではまず考えられない光景です。それくらいキャディが重要視されているのです。

日本でも理想的な関係を築く選手とキャディが出てきた

ただ、最近は日本でも欧米のような関係性を築く選手とキャディが出てきたと感じます。一番分かりやすいのが、イ・ボミ選手とノリさん(清水重憲キャディ)です。

ノリさんは田中秀道さんとか谷口徹さんとか、女子で言えば上田桃子選手とか、いろんな選手とのコンビで知識と経験を得てきてイ・ボミ選手のキャディをやっているので、イ・ボミ選手にしたらすごく必要な人だし、ノリさんが持っている知識を使って自分の技術をさらに上げていくというスタイルになっています。

このようなパートナーシップを築けるプロキャディが増えていけば、日本でもプロキャディの地位が向上していくと思います。

教えてくれた人 プロキャディ 杉澤伸章(すぎさわ・のぶあき)さん

1975年7月5日生まれ、愛知県出身。愛鷹シックスハンドレッドクラブの研修生を経て、横田真一選手の専属キャディとなる。2002年からはプロキャディとして丸山茂樹選手と契約し、米国男子ゴルフツアーを転戦。現在は宮里優作選手と契約している。ゴルフに関する的確なアドバイスに加え、選手の状態を見極めたメンタルコントロールを得意とするアドバイスのプロフェッショナル。


構成/保井友秀(ゴルフライター) 撮影/斉藤秀明

GORA LIFE