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ボールを曲げる技術で魅了したスペインの英雄、セベ・バレステロス

ボールを曲げる技術で魅了したスペインの英雄、セベ・バレステロス

(写真・getty images)

どんな状況からもボールを自在に操り、ピンに寄せていく。この分野において、歴史上のいかなるゴルファーもかなわないだろうと称賛され続けたのが“スペインの星”セベ・バレステロスだった。

今も伝説として語られているのが、1979年、ロイヤルリザム&セントアンズで行われた全英オープン最終日、16番ホールのセカンドショットだ。ティーショットを大きくプッシュアウトして、なんと駐車場へ。ボールは車の下にもぐり込んだ。

救済措置により車を移動すると、その下にあったボールはベアグラウンドの上。ここからセベは平然と第2打を放ち、ピンそば4メートルにつけてしまう。このパットもあっさりと決めてバーディー。後世まで「パーキング・ロット・ショット(仮設駐車場からの1打)」と呼ばれる伝説のシーンである。

17歳で欧州ツアー2勝を挙げ、世界的な活躍が始まった

こうした多彩なショットのルーツは、3番アイアンにある。7歳のときにすぐ上の兄・マニュエルからもらったクラブを、宝物にして育った。

貧しいながらもゴルフをする環境は整っていた。おじさんは有名プロのラモン・ソタ。長兄・パルメドロからボセンゾ、マニュエルと続く3人の兄たちは、羊飼いの父を助けるためキャディのアルバイトに勤しんでいた。そんな兄たちを横目に近くのビーチで練習するうち、セベはボールを自在に操るようになっていく。

10歳にしてキャディトーナメントに出場。最初のパー3で10をたたきながらも、ハーフ51で回ってきた。翌年、42のスコアで2位に入ると、その次の年は12歳で18ホールを79で回り、見事優勝を飾った。13歳では65をマーク。月明かりの夜、コースに忍び込んでまで練習した成果だった。

表舞台での快進撃は17歳で始まる。欧州ツアーでいきなり2勝。2年後の1976年にはランコムトロフィーなどで2勝して賞金王となった。

メジャー5勝を挙げ、世界殿堂入りも果たす

この後、日本オープン連覇(1977年、1978年)のほか、フレンチオープン、スイスオープンなど欧州各国のナショナルオープンを制覇していく。3年連続の賞金王となった1979年が、冒頭の全英Vだ。

翌1980年、グリーンジャケットに袖を通したときも全英と同様だった。最終日、17番のティーショットを大きく曲げて隣の7番へ。しかし、ここから林を超えて見事2オン。バーディーを奪ったときには、誰もが驚愕の表情を浮かべた。

1983年にマスターズ2勝目を挙げると、1984年、1988年と全英も3勝。1997年のライダーカップでは主将として米国を撃破。この年に世界殿堂入りも果たしている。

2011年に54歳の若さで死去

それから11年後の2008年、10月6日にマドリードの空港で倒れ、意識不明のまま病院へ。検査で脳腫瘍が見つかり、4度にわたる開頭手術の末、奇跡の生還を果たした。

一時は子供たちとのレッスンイベントを開くまでに回復。2011年3月11日、東日本大震災を知ると励ましのメッセージを送ってくれた。しかし、それから2か月にも満たない5月7日、54歳の若さで死去した。

あの世へと旅立ったのは、生を受け、3番アイアンを友達にして育った故郷・パドレーニャからだった。

文/小川朗(ゴルフジャーナリスト) 

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