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20世紀最高のゴルファー 帝王ジャック・ニクラス

20世紀最高のゴルファー 帝王ジャック・ニクラス

(写真・getty images)

20世紀最高、最強のゴルファーといえば、メジャー通算18勝を誇る帝王・ジャック・ニクラスの名が浮かぶ。その強さの象徴が1986年のマスターズ最終日。ニクラスは首位と4打差の2アンダーでスタートした。そして、キャディに起用した長男ジャッキーの目の前で、誰もが目を見張る猛チャージを開始した。トップは6アンダーのグレッグ・ノーマン。さらにセベ・バレステロス、トム・カイト、ニック・プライスら各国の強豪がひしめく展開。しかもニクラスは1980年の全米プロ以来、メジャーの優勝から遠ざかり、前年の全米オープンと全英オープンでは予選落ちを喫していた。すでに46歳となり、ニクラスは限界説とともにこの年のマスターズを迎えていた。

マスターズ史上最大の盛り上がりとなったニクラスの逆転劇

しかし15番パー5に来たとき、首位を走る7アンダーのセベ・バレステロスとニクラスの差は「2」まで詰まっていた。ここから後々まで語り継がれるオーガスタ史上最大の歓声がオーガスタの森を揺るがすことになる。

残り202ヤード、4番アイアンで放たれたセカンドショットは、3.5メートルのイーグルチャンスにつく。大型ヘッドのパターから放たれたボールがカップに消えると、コースは地響きのような大歓声に包まれた。逆転劇の幕が開いた瞬間だった。16、17番でもバーディを奪い、一気に9アンダーまでスコアを伸ばす。

パトロン(ギャラリー)たちからは「USA! USA!」の大合唱。オーストラリアのノーマン、スペインのバレステロス、ジンバブエのプライスら外国勢のライバルたちを、ゴボウ抜きにしたことで自然に沸き起こった「USA」コールだった。

この大歓声は、46歳で限界説がささやかれていたニクラスの復活を、ファンが心底喜んだ証だった。ニクラスのゴルフ人生で最高のクライマックス。このあとシニアでも活躍することになるが、檜舞台であるレギュラーツアーでのゴルフ人生を、史上最年長Vで飾ることができたのは、スーパースターの証明でもある。

デビュー当初はアーノルド・パーマーに立ち向かう悪役だった

父のすすめでゴルフを始め、「オハイオの怪童」と呼ばれたニクラスは、プロデビュー当初はヒール役だった。オハイオ州立大を経て1962年から米ツアーに参戦し、その年にオークモントで行われた全米オープンでいきなり優勝を飾った。しかも相手は当時のスーパースター、アーノルド・パーマー。オークモントはパーマーの地元だったこともあり、肥満気味でいかつい顔をしたニクラスはすっかりヒール役にされてしまった。

しかし5年後、バルタスロールの全米オープンで再度パーマーに競り勝つと、ニクラスの人気も上昇。1969年には減量に成功したことで、「オハイオの白熊」という別名は消え、「ゴールデンベア」のニックネームが定着した。

メジャー18勝の中には、1980年に同じくバルタスロールで青木功と一騎打ちの末に勝った全米オープンも含まれる。初優勝が全米オープンで、最後の優勝がマスターズ。20世紀で最も偉大なゴルファーという評価もうなずける。

文/小川朗(ゴルフジャーナリスト)

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